家の修復完成
「どうじゃ?この機能と威厳を備えた、美の極致!芸術これまさに極まれりとはこのことよの!」
ヒナタのキックと声は同時に発動された。
「こんなところ、住めるかっ!」
天使となったヒナタのキックは、以前より鋭さを増していた。その跳び蹴りは魔王の顔に命中して、魔王はうずくまった。
「ベル様、ヒトには、郷にいては郷に従え、という教えがございます。ヒトとはかなりわがままな生物です」
レオンはベルに深々とお辞儀をした。タケルは、彼女が本当に偉い魔王なのだなと、あるためて思った。
「ふんっ!そんなもの知らんわ!嫌なら誰も入れてやらんぞ」
「魔王ベル様。ここであまりことを荒立てますと、悪魔や天使の注意をひくことになります。そうすれば我らもただではすまないかと」
「…住みにくいのう、ここは。何故わしが、愚かなヒトのしきたりに習わねばならんのじゃ…」
ぶつぶつ言って再び呪文をとなえるベル。その城を構築していた物はまた新たなへとグニャグニャうごめいた。タケルは思った。
「材質はなんでできてるんだろう…」
家は完成した。3階建てで、隣の家を立派に模してある。しかし屋根にはやはり土くれの「穴空き目玉」が残っている。そのエリアだけはやや薄暗い。ベルは疲れた様子で、それでも怒鳴った。
「こ、これ以上は譲れんぞ!最上階はわしの居城じゃ、これで文句なかろう!」
「はい、さすがは魔王ベルゼバブ様でございます。このチカラ、並居る魔王の中でもハイクラスかと尊敬いたします」
レオンは真面目に芝居を続けた。
「すげえ、家だ。ハルヒ家だぞ!」
タケルは有頂天になってヒナタを抱きしめた。あの絶望からの『復活』だ、無理もない。
だが事情に疎いヒナタは、彼にもベル同様の蹴りを披露した。
「キモイ!セクハラで訴えるぞ!」




