第十六章 力の在り方
「昨日の続きを話そう。」
朝食を終えた二人は、昨日と同じ書斎へ向かった。
机を挟んで向かい合うと、アレフは静かに口を開く。
「昨日は適性だけを調べた。」
「今日は、その意味を話そう。」
フィオナは小さく頷いた。
「はい。」
アレフは机の上に一枚の紙を置き、一本ずつ指を折りながら話し始める。
「魔法には七つの属性がある。」
「火、水、風、地、木、光、そして闇。」
「それぞれに性質がある。」
「火は燃やし、破壊する力。」
「水は流れ、砕く力。」
「風は巡り、切り裂く力。」
「地は集い、剛となる力。」
「木は侵し、柔となる力。」
「光は癒やし、与える力。」
「そして──」
「闇は蝕み、奪う力。」
フィオナは静かに耳を傾けていた。
火も、水も、風も。
同じ魔法でも、それぞれがまったく違う役割を持っている。
今まで想像もしなかった世界が、少しずつ形になっていく。
「もっとも、それはあくまで性質の話だ。」
アレフは穏やかな声で続けた。
「火で命を救うこともあれば、光で人を傷つけることもある。」
「逆に、闇が誰かを救うこともあるだろう。」
「魔法に善悪はない。」
「善悪を決めるのは、いつだって、それを扱う者だ。」
その言葉は、不思議と胸に残った。
魔法そのものではない。
それを使う人が、善にも悪にもなる。
フィオナは、ただ静かに頷いた。




