胎内記憶の真相
子供相手の取材は苦手なんだよなぁ……。
Oはそう思いながらも、目の前にいる子供の言うことに頷き、取材を進めていた。この子供、R子ちゃんは自然豊かな場所の方が「宇宙と繋がる」というので、希望通りにした。
フリーライターのOは、都市伝説系の仕事もやっていた。何でも屋だ。好き嫌いなど言ってられない。
今は胎内記憶や前世の記憶がある「宇宙人少女・R子ちゃん」に取材をしていた。一応親は側にいたが、彼女はとても饒舌だった。大人以上に口達者。胎内記憶があり、生まれる前に神様と一緒に親を選んできたというエピソードは、取材しているOは涙が出そうになった。それぐらい感動的だったのだ。
数日後。R子ちゃんからメールが届いた。てっきり取材に不備でもあったのかと思ったら、胎内記憶の話は全部嘘ですと書いてあった。
そう言えば親が一番喜ぶから。本当の親は貧困でギャンブル依存で、R子ちゃんを使って商売をしているに過ぎない、と。胎内記憶についても作り話だったが、親は喜んだ。実際、軽い育児ノイローゼ状態でもあったので「ママを選んでくれてありがとう!」と笑顔を見せた。
その全てが作り話でもなく、R子ちゃんは神様や天使といった存在も見えるらしい。彼らに聞くと、ほぼ強制的に生まれてくる家が決定される。別に子供は親を選んでいない。
「それでも私が見える神様は、親を助けてあげなさいって言う。その為に未熟な親の元に送ったんだって。Oさん、胎内記憶の真相はこんなもんです。取材した事、文章にします?」
そんなR子ちゃんのメールを読みながら、彼女は自分達よりよっぽど大人びているように見えた。胎内記憶の話もほら吹きというより、未熟な親への忖度なのだろう。健気過ぎる。どんな親でも子にとっては、そういう存在なのだろう。まるで自分を犠牲にしているようだ。
いつだって犠牲になるのは弱い子供だ。
Oは時々R子ちゃんへ連絡を取りながら、地域の福祉支援者などにも連絡しておいた。もちろん、取材したものも没にし、依頼主からは怒られ、二度と仕事もこないだろうが何の後悔もなかった。




