88/329
この世は猫が支配しているかもしれない
B子の夫は、無口で、いつもイライラしているような所があった。
妻のB子にも厳しく、モラハラのような発言も多かった。専業主婦だったB子は夫との暮らしにウンザリとしてしまい、仕事も再開した。夫はコロナ後に在宅ワークになり、余計にストレスがたまっているようだ。一緒にいるB子も息が詰まるそうだった。
そんな折、夫が猫を拾ってきた。他の猫にいじめられていた子猫だったらしい。ふわふわの白い毛玉みたいな猫だった。名前もシロ子。
あの夫が子猫を拾ってくるなんて意外。動物になんて全く興味がないと思っていたが、シロ子の可愛さにメロメロとなり、モラハラ発言も滅多にしなくなってしまった。
「シロ子ちゃん。ご飯の時間でちゅよ!」
赤ちゃん言葉まで使い、シロ子に餌をあげている夫。シロ子に引っ掻かれてもヘラヘラ笑い「俺はシロ子の奴隷」とまで言っている始末。
すごい変わりようだ。もしかしたら本当に猫がこの世を支配しているのではないか。そんな妄想もしてしまうほど。
「シロ子ちゃん! 可愛い!」
今の夫はだいぶ気持ち悪いが、前よりはマシかもしれない。
「にゃー?」
何も知らないシロ子は小さな声で鳴いていた。




