イエス様がみてる〜ネットの情報にご用心〜
ここは、聖ローズマリー学園の部室塔の聖書研究会一室。由緒正しいキリスト教系列の女子高だ。生徒はシックな紺色のセーラー服に身を包み、お嬢様にも見える。しかし、その実情は?
今日も部長のAと副部長のS子が言い争っていた。一時は仲直りしたように見えた二人だが、イースターを祝うべきかというトピックで大喧嘩へ発展。
「イースターなんて子供が喜んだらいいんじゃない!」
「いいえ。イースターなんて異郷のお祭りよ! 聖書根拠は無いじゃない!」
しかもS子は印籠のごとく、「イースターは異郷の祭り」という動画を見せてきた。陰謀論者が作っているらしい。他にも日曜礼拝は欺瞞、安息日はカトリックが日曜に変えた、昆虫食も悪魔崇拝、既存の教会は全部悪魔などという陰謀論動画がズラリと並んでいたが。見かけはオシャレでデザイン性も高い動画ばかりだったが。
「これ、信じてるの?」
「悪い?」
「この動画を作ってういのは、異端だよ」
「えー?」
Aの発言にS子は驚いたが、よくよく調べると異端が陰謀論者のフリをし、勧誘活動をやっている証拠がたくさん出てきた。
「でもでも、この動画ではクリスチャンが出てきて、洗礼受けた後に祝福されたとか、病気が治ったとか」
「それこそカルトっぽいでしょ。そんな良い事ばっかり言ってるの怪しくないか? 雑誌の怪しい広告みたいな動画ばっかりじゃん。陰謀論動画も仮想敵作って恐怖煽ってるの多いし」
確かに。よく見れば、どことなくカルトの勧誘臭が漂っていた。語っている事はお花畑か、恐怖を煽るものばかり。
「こういう動画は、話半分に見るべきよ。だいたいネットにいるクリスチャンも変人ばっかりだし、純粋に信じたら痛い目に遭うわ」
「うぅ……」
「確かにマトモな情報も混ざってるけど、それをより分ける目ってウチらにある? 気をつけた方がいいわよ。今はこんなにワクチンの害も公に出てきてる。こんな世の中で洗礼受けてハッピーになりましたなんて、よくお花畑する気分になれるよな。自分だけ助かればそれで良いって感じ」
この点については、S子はぐうの音も出ない。
「まあ、イースターについては、まだまだ考える余地はあるわ。聖書に照らし合わせながら、この部活でも祝うかどうか考えていきましょう」
「そうね。もうネットを見るのもほどほどにするよ……。別にネットの情報見たって目覚めたりしないよね。全てを分かった気になって傲慢になってた。自分は単に情報を得ているだけだったのに」
反省したS子は、少々シュンとしていたが、こうしてAと話すのは嫌いではなかった。




