ホンモノのマスク警察
「そういえば、マスク警察見なくったな?」
U太郎は道を歩きながら、首を傾げていた。昨年、五類になった途端、マスク警察や自粛警察に嫌がらせを受けていたU太郎も全く普通の生活。
今や普通にノーマスクも多いが、少し前はバイ菌拡散機のように忌み嫌われていた。ノーマスク=貧乏人だと言われた事もあった。
今もコロナウイルスを撲滅できたとは報道されていない。あの時、熱心にマスク警察していた人間は、最後まで貫くのが筋が通っているが、五類になった途端に手の平を返したわけだ。
この国の人間ははっきりとした思想と道徳がない。いつも空気に従い、それにあわせて手の平を返す。権威に弱く、少数派と弱者には偉そう。お上のお墨付きの「正義」を手に入れると、集団になって暴徒化する。その割にはお上が意見表明すると、くるっと手の平返し。
第二次世界大戦もそんな感じだった。本当にバケツリレーや竹槍訓練が真実で正しいのなら現在でも続いていても良いし、アメリカもやっていたはずだが、別にそうはない。結局は当時少数派で嫌われていた「非国民」の方が正しかったわけだ。一体どこが真面目で礼儀正しい国民なのか。U太郎には全くわからない。
「まあ、今もマスクしてワクチン七回コンプして、ソーシャルディスタンスとアルコール消毒している人は尊敬するが、そんなヤツいるか?」
U太郎の周りを見てもそんな人間は誰一人いない。自分に中にある正義や良心や信念ではなく、お上と人の顔色と集団の空気を崇拝しているのだろう。
「ちょっとそこのあなた! マスクしてください!」
そんな事を思っていたら、マスク警察が目の前に現れた。化石のようなマスク警察だった。
フェイスシールドもしている! 手袋もちゃんとしている! ちゃんと二メートルの距離もとっているではないか!
「おお、何とも立派な心がけではないか」
久しぶりに出会ったマスク警察だったが、今は何だか嬉しい気分だった。きっとこのマスク警察はヤクザにも天皇陛下も「マスクしろ!」と言うだろう。それぐらい信念があるのなら、U太郎は悪くないと思うのだった。




