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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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イエス様がみてる

 ここは、聖ローズマリー学園の部室塔の聖書研究会一室。由緒正しいキリスト教系列の女子高だ。生徒はシックな紺色のセーラー服に身を包み、お嬢様にも見える。しかし、その実情は?


「だから、絶対艱難前携挙なんだから!」

「そんなわけないでしょ。艱難前携挙説はイルミナティが作った妄説よ!」


 今日も聖書研究会で激しいバトルが繰り広げられていた。特に部長のAと副部長のS子は聖書解釈ではとことん意見が食い違う。弱小研究会といえども、この二人は言い争いに命をかけているような所があった。


「日曜礼拝は欺瞞!」

「またネットの陰謀論みたんでしょ。日曜礼拝の根拠は山のように聖書にあるからね!」


 二人とも見た目は黒髪で清楚そうに見えるが、こうして言い争う姿は、なかなか厳しいものがある。


「クリスマスは祝うべき! イースターも宣教のためには必要!」

「いいえ。そんな起源が怪しい異郷のお祭りなんてできません!」


 実際、部員も二人以外全員辞めてしまった。中には聖書に興味を持ったばかりの者もいたが、二人がいつも喧嘩している事に「隣人愛って何?」と失望していた。


 しかし、二人はふと我に返る。こんな言い争いをしている様子をイエス様が見たら、どう思われるか?


 もちろん、建設的な批判や話し合いは悪くは無い。元々、この部活もその為に作られたが、今は相手をいかに論破するかが目的になっていた。


「そうよね。もう少し落ち着いて話しあいましょう」

「ええ。イエス様が見ておられるわ……」


 という事で二人で祈り、讃美歌を歌い、今度はお互いの意見をよく聞き、ちゃんと聖書と照らし合いながら、冷静に意見を交換する事になった。


 これが正解かはわからない。聖書には矛盾している箇所も多い。何か問題や疑問があれば、その都度にいちいち考える必要があった。宗教のようにルールだけ守っていれば良いという問題でもない。多くの日本人は誤解してるが、聖書は人間の考える宗教性を真っ向から否定する書物でもあった。ちなみにクリスチャンになったからといって成功したり金持ちになるとも言えない。世の中の矛盾や汚さがわかってしまい、「悲しむ人」になる事もある。自分一人だけが呑気に幸せになれない感じで。


「まあ、明日も来る?」

「ええ。来るわよ。聖書についてはもっとよく知りたいし。改竄箇所についても研究進めたいし」

「そうよね。その思いは一緒よね」

「ええ。祈りましょう」


 再び二人で祈り、心を合わせていた。まだまだ自信はないが、今の二人はこの答えが一番だと思っていた。


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