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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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持続可能な入浴剤

 Oは入浴剤マニアだった。二十代の男だが、介護職のため肩こりや腰痛がひどく、色々試しているうちに好きになった。自宅の洗面所には入浴剤が入ったバスケットが鎮座していたりする。


 どれも個装だ。その方が色々試せるし、今はより腰痛に効くものを探すのが趣味化していた。


 そんな時、家に遊びに来ていた彼女が、こんな個装の入浴剤を使うのは、プラスチックの無駄遣い、持続可能じゃないと意識高い事を言われてしまった。


「えー、そうか?」

「今、ドラッグに行くと、サステナブルパッケージのがあるからそれ使いなよ」

「えー、面倒だよ」

「地球がゴミで埋まっていいの!? ちゃんと持続可能な暮らしをしなきゃダメだよ!」


 彼女からSDGsな説教をされ、結局、入浴剤も大増量サステナブルパッケージのものを買う事になった。パッケージには「地球環境に配慮してます」という美しい言葉もあり、一見はとても綺麗なものの見えた。


 ただ、中を見たら驚いた。中身を測る計量スプーンが入っていたが、プラスチック製だった。


 しかもこのブランドの入浴剤は、普通に個装でも販売されている。全く意味がわからない。計量スプーンと個装パッケージのは、どちらが多くプラスチックを使っているのだろう。それは定かでは無いが、サステナブルパッケージを使うのは馬鹿馬鹿しくなった。


 それに大増量でずーっと同じ種類の入浴剤を使うのも飽きる。家族だったらともかく、一人暮らしでは飽きる。別のものも試したい。いちいち計量スプーンで測って入れるのもめんどくさいのだ。濡れている風呂場では、この一手間が意外と煩わしい。シャンプーの詰め替えも余計な家事の一つだった事を思い出す。正直、忙しく働いている男は、地球環境より体力と時間を大切にしたいのだが。


 結局、個装の入浴剤を買う事になった。持続可能。SDGs。結局、人に良く見せる為だけの宗教行為みたいなものかもしれない。見かけだけは綺麗で、本質は無視されているような。紙製のストローもそうだろう。あれもあんまり意味が無い行為に見える。もし本当に心の底から地球環境を良くしたいと考えるのなら、ストローには目はつけないんじゃないか……。


「このプラスチックの計量スプーン、どうしよ。なんか使えるのか? もしまた同じサステナブルの入浴剤買ったら、この計量スプーンって完全に無駄じゃん」


 あの入浴剤に入っていた計量スプーンも、捨てるべきか、とって置くべきか。よく分からないが、企業はこれからも「地球環境に配慮しています」と美しい言葉を使いながら、計量スプーン入りのサステナブルパッケージを作り続ける気がしていた。

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