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ディストピア2030〜信じるか信じないかはあなた次第〜  作者: 地野千塩


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思考は現実化しない

 T美は、毎日何となく不安を感じていた。正社員、貯金、大卒。資格と社会的に良いものは沢山手にしていたが、リモートワークを始めてから、不安を感じる事が多い。


 運動不足か。原因はわからないは、SNSを見ていると、急に思考が乗っ取られたように不安でいっぱいになる。


 一応精神科医に行ったが、ろくに話も聞いてきれなかった。予約もとれず、何件も医者をまわるのは、骨が折れる作業だった。元々うつ病は、原因不明により症状が出ている事らしく、基準が高かった。今は基準をゆるくし「うつは風邪」などと言っているようだが。そもそもT美は真面目でも責任感も強くなく、親や上司の言う事を何も考えずに従う怠惰なタイプだ。微妙にその条件にも当てはまっていない気がする。


 そんなある日、自宅の近くのカフェで高校の時の友人と再会した。


 T美は一応キリスト教系の高校に通っていたが、別にクリスチャンでもない。ミッション系といえども、T美のような存在は普通だった。むしろ多数派といっていい。


 一方友人は本物のクリスチャン。目立つタイプではなかったが、休み時間に聖書を読んでいた姿は印象に残っていた。名前はN。


 Nはカウンセラーの仕事をしているという。そんな事もあり、原因不明の不安感について相談してしまっていた。


「ああ、それね。信じて貰えないかもしれないけど、聖書でいう悪霊からの攻撃かも。悪霊は思考を一番攻撃すると聖書で言われている。違う人間が乗っ取っとられたような感覚しない? その不安感」

「ああ、確かに。なんかいつもと違うというか、別人みたいな? 乗っ取られたような」

「完全に悪霊ね。憑依だわ」


 納得はいかないが、原因不明だったのでちょっと耳を傾けてしまう。


「悪霊は不安とか心配思考を持ってくる。人間はラジオみたいなもの。ちょっとチューニングを変えてしまうと、悪霊の電磁波、思考を受けとってしまうわけ。そのチューニングにずっと合わせていると、いわゆる鬱病になる」

「えー、よくわからないけど、どうすれば? 思考が現実化するって嘘だったの?」

「嘘ね。まあ、チューニングを変えればいいの。運動してる? 食事に気をつけてる? ネット見すぎてない? そこを変えるだけでもだいぶチューニングが変わるから」

「本当?」

「まあ、偶像崇拝と姦淫由来の精神疾患はイエスの名前じゃないと追い出せないけど。思考と生活習慣由来の悪霊は、比較的簡単に追い出せる。あと神社やカトリック、カルト宗教の近所に住むのもなりやすい。環境由来の憑依もあるけど、これは単に引っ越せば治る。実際、私の友人も海外に引越したら鬱が治ってる」


 いまいち信じられないが、確かに最近の生活は雑で荒れていた。何か変な気のようなものと繋がってしまっていると思えば、何となく腑に落ちる。


 実際、Nと別れれた後に生活習慣を変えていったら、だいぶ不安感もなくなった。リモートの仕事もやめ、立ち仕事のある業者に変えたら、もっと良くなってきた。確かに給料は減ったが、それはそれで悪くも無いだろう。


 こうして変な不安も無くなった。思考は確かに何も現実化しなかった。Nが言っていた事は、まだまだ謎が多いが、世の中には科学で説明できない事があってもいいだろう。T美は昔よりは寛容になり、他人に優しくなれるようか気がしていた。

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