可愛い男の子
「トランスジェンダーかもしれない。病院に行ったいいかも?」
Sは担任教師にそう相談していた。
Sは小学六年生だったが、可愛いものが好き。ちいかわやマイメロが好き。少女漫画も好き。ラブコメ映画が好き。手芸が好き。スイーツが好き。良いなと思えるものは、女性的なものが多かった。
そのせいで揶揄われる事も多かった。女子は優しいが男子からは、気持ち悪いと言われる事は多かった。
「それは単なる好みの問題でしょ? 今の自分の身体に違和感はある?」
担任はアラサーぐらいの女教師で話しやすかった。
「それは特にないです」
「だったら、特に問題ないね。何でもかんでもトランスだ、手術しろっという方が不寛容で、一個の答えしか正解じゃないって感じよね」
「そ、そうですか?」
「女でもプロレスとか酒やタバコが好きな人も多いし。かくいう私も大酒飲みだしね」
「へー、意外」
「何でもかんでもレッテル貼らない。女でも男でも一人一人違うでしょ?」
確かにそうかもしれない。担任の話を聞いていたら、Sはこの件については忘れる事にした。
そして中学生のなったら、普通に彼女もできた。手芸部で一緒にハンドメイドをしていたら、仲良くなって告白した。
帰り道ではこっそりと手を繋いでキスなんかもする。
「いや、Sくんって見た目は可愛いのに肉食だったの!?」
困惑した彼女を見るのが、今はちょっぴり楽しかったりするのだ。




