ブスの多様性
最近、映画を見ていると、必ず脇役にブスがいる事に気づいた。悪役ではなく、主人公にいい感じのアドバイスをするポジションにブスが多い。海外の映画では特にそうだった。
「最近、ブスにも多様性って事で、脇役にごり押しされているらしいよ」
夫と一緒に映画を見ていた時、彼も違和感があったようで、色々と教えてくれた。
「ブスを出しておかないと賞も取れないらしい。まあ、利権だろうな」
「そっか……」
しかし、画面にブスがいると本当に違和感がある。悪役やモブなら気にならないが、なぜ良い感じのポジションにブスがいるのだろうか?
その内、主役にもブスがごり押しされるようになった。笑えない感じのブスとハイスペのラブストーリーだったが、モテない女の妄想を具現化したような雰囲気で居た堪れない。
「何この、ブス!」
私はイライラして、映画を見るのをやめてしまった。私だって美人ではないが、わざわざ映画でブスなど見たくもない。鏡の中だけで十分なんですけど。
私と同じような事を思っている人は多いようで、ブスの主役の映画は一瞬で廃れた。前よりも酷いルッキズムになったようで、今流行ってる映画はモブやちょい役のおじさんキャラやエキストラに至るまで美形で揃えられていた。
多様性のゴールは、だいたいこんなもんだ。かえって当事者の立場を悪くするだけ。最初から特別扱いなどせず、フラットに扱っていた方が良かったのかもしれないが、もう遅い。
「やっぱ美男美女の映画は素晴らしいわ……」
ルッキズムで配役されたキャストの映画を見ながら、うっとりと目を細めていた。画面はブスなど完全に排除され、夢のように美しかった。




