ep.学園編エピローグ:可愛いは、残響するのです
学園全体を包んだ玉ねぎコーラスの余韻は、夕暮れになっても消えなかった。
校庭の芝生は、まだほんのり玉ねぎ色に染まっている。
ぽぷらんが空を見上げて言う。
「なんか……すげぇ一日だったな……学園が丸ごと歌うなんてよ……」
新人は涙でぐしゃぐしゃの顔のまま頷く。
「し、しみる……でも……なんか……心が軽いです……」
ルネは玉ねぎドレスを抱きしめながら微笑む。
「咲姫さんの“可愛い”……本当に……届いたのですぅ……」
うさちぁんは屋台を片付けながら言う。
「はいはい~、今日の売上は“魂の契約書”27枚~学園、良いお客さんだったねぇ~」
「魂の契約書で売上計算するなニャ……」
僕はため息をついた。
生徒会長、静かに歩み寄る
夕暮れの校庭に、生徒会長が一人で歩いてきた。
もう、あの冷たい表情はなかった。
「……咲姫さん」
咲姫は振り向く。
「会長さんなのです」
少女は深く息を吸い、静かに頭を下げた。
「……ありがとうございました。あなたの“可愛い”は……学園を変えました」
咲姫は首をかしげる。
「変えたのですか?」
少女は微笑んだ。
「はい。今日……初めて……“可愛い”が、怖くありませんでした」
咲姫の瞳が揺れた。
「……それは……嬉しいのです」
少女は続けた。
「咲姫さん。あなたの“可愛い”は……ここにいていいものです。だから……また来てください」
咲姫は玉ねぎを抱きしめた。
「……はいなのです」
玉ねぎが優しく震えた。
「ぽぉん……」
咲姫の“居場所”
帰り道。夕暮れの風が、咲姫の髪を揺らしていた。
ぽぷらんが言う。
「なぁ咲姫。今日……楽しかったか?」
咲姫は少しだけ考えてから答えた。
「……はいなのです。今日は……“可愛い”が……届いたのです」
新人が微笑む。
「咲姫さん……本当に……よかったですね……」
ルネは涙を拭きながら言う。
「咲姫さんの“居場所”……ちゃんと……あったのですぅ……」
うさちぁんは屋台を押しながら言う。
「はいはい~、帰り道限定“余韻まんじゅう”販売開始~」
「最後まで売る気ニャ!!」
咲姫は空を見上げた。
夕暮れの空は、ほんのり玉ねぎ色だった。
「……可愛いは……どこにでも届くのです」
玉ねぎが、最後に一度だけ震えた。
「ぽぉん……」
その音は、学園に残った“可愛いの残響”のように静かに広がっていった。




