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90 蒲桃ー3

本作でNo.1キ印は誰になるのかなぁ…

 新年祭が近づくにつれ、公爵家には次々と舞踏会用のドレスや正装、装飾品が届けられてくる。

 微調整のためデザイナーやお針子も出入りし、家族が揃う休日ともなれば屋敷の広いサロンも狭く感じてしまうほどだ。


「陛下の話しだと、今回の新年祭では重大な発表があるらしい」

「リゼンも内容を知らないのか?」

「流石に宰相や各大臣は知っているようだが、ただの魔術師団総帥のわたしには情報は回ってきていないな」


 せっかく家族が揃ったのだからと叔父を引き留めての晩餐中、お父様と叔父の会話にわたくしはアルバート様の婿入りの話しだろうと1人納得をする。

 数日前に貰ったジョセフ様からの手紙で、アルバート様の婿入りが発表されると同時に、ジョセフ様が正式にアルセイド公爵家の嫡子に任命されるため、王太子候補から外れる事も発表されるらしい。

 ゾフィ殿下も早々に公爵家に降嫁することを発表するかと陛下に相談され、嬉々として新年祭で王太子選抜から離れる事を発表することを選んだそうだ。

 これによって王太子候補にはティオル殿下、ゲオルグ殿下、エメリア殿下の3名が残る事になるのだが、エメリア殿下は陛下や王妃様に早めに嫁ぎ先の婚約者を決めて欲しいと申し込んでいるらしく、実質王子殿下2名のどちらかを王太子にすることになるだろう。

 王家として参加するものの、エメリア殿下のファーストダンスの相手はゲオルグ殿下に決まったらしく、昨日学院でティオル殿下より正式に弟とのファーストダンスの後でいいので、ティオル殿下のファーストダンスの相手になって欲しいと申し込まれ、それを受け入れた。

 その際、周囲にいた友人や見学していた生徒達が黄色い悲鳴を上げたが、今さらなので気にしないでおこう。


「この時期だし、王太子選抜に関わる事だろうが……ジブリールは何かご婦人たちの噂で聞いていないか?」

「最近はバスキ伯爵家の噂が主流で、王太子選抜に関してはあまり……。ああ、けれども学院の方でティオル殿下がベアトリーチェに対して熱心にアピールを行っているという話もありますわ」

「おや、そうなのか? ベアトリーチェ」

「アピールと申しますか、昼食に誘っていただいたり新年祭のダンスの相手を申し込まれたぐらいですわ」

「今までの状況を考えると、ティオル殿下は随分と積極的に動きだしたんだな。やはりベアトリーチェがアルセイド公爵家に近づいたのが影響しているのかい?」


 叔父の言葉に「どうなのでしょうね」とあいまいに微笑んでおく。


「ベアトリーチェは無理に王族と繋がりを持つ必要はないのだから、事業をこのまま発展させてもいいし、なんだったら魔術と精霊使いの才能を生かして魔術師団に就職するという手もあるぞ」

「叔父様ったら、ご冗談がすぎますわ」

「わたしは本気で言っているけどね。結婚する気がないとしてもいつまでもこの屋敷にいるわけにはいかないだろう?」


 いや、誰も結婚する気がないとは一言も言っていないが?


「ジェフリーだってグレビールが結婚したら家を出る事になっているんだ。ベアトリーチェもいずれそうなるしかない」

「小姑がいつまでも家に残っていてはグレビールの将来の奥様が困るとは思いますわ」

「君の資金力なら1人でも家を買って生活に困る事はないだろうが、親しい男性が傍にいたほうがいいんじゃないか?」

「……と、言いますと?」

「兄上はわたしにこの家に戻らないかと言ってくれているが、将来の事を考えるとそれはどうかと思わないかい?」

「……まあ、叔父様がご結婚なさるのが一番ですわね」

「わたしが今住んでいる屋敷はそれなりに広さがあってね、ベアトリーチェが1人増えたところで何の問題もない」


 わたくしの返事を聞き流したな?


「はあ、そうですか」

「だからいつだって遠慮なくわたしの屋敷に越してきて構わないからね」


 誰がそんな自分から隙間なく仕込まれた地雷原にタップダンスしに行くような真似をするか!


「素敵なお誘いですが、ご遠慮申し上げますわ。もし結婚をせずにこの家を出る事になっても、1人で暮らすつもりですもの。もちろん使用人は雇いますけれど」

「おや、つれないことを言うね」


 心底残念そうに言う叔父に、内心顔が引きつりそうになる。


「ベアトリーチェが来てくれたら楽しくなりそうだと、部屋の準備だってしているのに」


 はあ? すでに監禁準備!? 怖い、怖すぎる。


「そういった準備はぜひ未来の奥様のためになさってください」

「ベアトリーチェの言うとおりだ。陛下だってお前の今後については気にかけている。新年祭で伴侶候補を見つけるのもいいじゃないか。お前ほどの器量なのだから、多少年が離れていても相手は気にしないさ」

「どうかな? わたしもいい年なんだけど……ベアトリーチェはどう思う?」


 わたくしに話を振るな……。


「叔父様の伴侶になりたいと思っている女性は多いと思いますわ。流石にわたくしは叔父様をそのような目で見ることなどありえませんけれど、学院に通うご令嬢の間でも叔父様は人気ですわ。なんと言っても若き魔術師団総帥ですもの」


 叔父はわたくしの言葉に「もう若くないよ」とにっこり笑ったが、その目の奥でわたくしを捕らえようとする光が光ったように見えて、思わず鳥肌が立ってしまった。

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こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

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