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14 翁草ー6

簡易登場人物紹介

◆ディアティア=アンスロッド=クレアルト

侯爵令嬢(16)(1年):グレビール・リャンシュ√での悪役令嬢

一人称:私。水色の髪にオレンジ色の瞳。


簡易用語説明

◆魔術威力

下弦<上弦<滿<威<羅

それぞれに理<環<解<法<絶のナンバリングがある。

 次にディアティア様を探すと、弟と同じテーブル席に座っているのが見えた。

 この頃から弟を狙っていて悪役令嬢になるのだろうか、とも思ったが現時点ではわたくしにとってはかわいい後輩だ。

 テーブル席に近づいていくと楽しそうに話している声が聞こえる。

 なんだかお邪魔をするのが悪いと思えるほどの和気あいあいぶりにちょっと足を遅くすると、わたくしに気が付いたディアティア様がぱっと顔を輝かせた。


「ベアトリーチェ様、ごきげんよう。よければこちらにお座りになってくださいませ」

「盛り上がっていたところをお邪魔してしまいませんか?」

「まあ、そのような事お気になさらないでくださいませ。グレビール様たちと魔術学院の課題の事で盛り上がっていただけですから」

「課題の事で?」


 勧められるままにディアティア様の隣に座ると、お茶がすぐさま提供された。

 思ったことをそのまま疑問として口に出すと、弟とディアティア様がそろって頷き、他に一緒に座っている子女も頷いた。


「そんなに盛り上がる課題なんてありまして?」

「姉上には大したことがないかもしれませんが、何の属性魔術でもいいので<下弦の解>以上の束縛系魔術を実技披露する課題が1年で出る時期なんですよ」

「……そういえばそんなものもありましたわね」


 あー、なんか懐かしい。

 わたくしは水の牢獄を作り出したんだったな。


「そこでどんな魔術を披露するかで盛り上がっていたんですよ」


 言われてみればこのテーブル席に座っているのはわたくしを除けば皆1年生だ。

 なるほど、共通の話題で盛り上がるのも頷ける。


「講師には昨年の姉上とティオル殿下のようなことはしてくれるなと」

「まあ、どうしてそんなことをおっしゃったのでしょう?」

「だって、お2人の魔術はレベルが違いすぎて他の生徒が気の毒だったそうなんですよ。お二人とも<満の絶>の魔術を披露なさったのでしょう?」

「そうですけれども、被害は出していませんわよ。ちょっと見た目が派手だったかもしれませんけれども」


 ティオル殿下は炎の牢獄を作り出していた。わたくしの水の牢獄と並んでなかなかに派手だったが二人とも確実に的だけを束縛していたので生徒や講師、設備には被害を出していない。


「それですよ姉上。見た目も威力も段違いではお2人の後に披露する生徒が気後れしてしまう。講師は最後に回しておいてよかったと言っていました」

「そうなんですの」


 確かにわたくし達は最後とその前に披露したが、最初から対策を取られていたのだろうか?


「だからせめて上弦の絶ぐらいに抑えて欲しいと言われたんですよ」

「あらまあ、そんな制限がかけられてしまいましたの? せっかくの実技試験ですのに、上限が設けられてしまっては実力をしっかり見られませんわね」

「実技試験ではなく実技披露(・・)ですよ姉上」

「似たようなものですわ」

「ベアトリーチェ様にとっては変わらないかもしれませんが、私どもには重要な事ですよ」


 フォローするようにディアティア様が言うと、弟がクスクスと笑う。


「ともかく、魔力値から見ても発動できる魔術の威力についても姉上とティオル殿下は例外なんですよ」

「なんだか腑に落ちませんわね」

「いえいえ、流石は精霊と契約なさっている方々だと皆様とお話ししていたのですよ」

「そうですの? だったらいいのですが。皆様も精霊魔法に憧れておりますの?」

「当たり前ですよベアトリーチェ様。選ばれし者のみが精霊と契約できるのですから」


 選ばれしというか、精霊の気まぐれの間違いじゃないだろうか?

 いや、精霊にも好き嫌いがあるらしいからやはり選ばれしものなのか?


「そのように言っていただけると嬉しいですわ。けれども精霊魔法は難しいところもありなかなか使いどころに困るものだとも言われていますわよね」


 わたくしは情報収集とかで便利に使っているけど。ティオル殿下曰く使い勝手が悪いそうだし、基本は使いにくい(・・・・・)分類なのではないだろうか?

 まあ、ティオル殿下の契約精霊が炎というのもあるのかもしれないが。

 わたくしはいくつかの精霊と契約をしているから、精霊魔法のバリエーションがあるためなのかそんなに不便を感じない。


「そういえば姉上が皆の前で精霊魔法を使っているのはあまり見たことがありませんね。やはり使い勝手が悪いからですか?」

「いえ、そう言うわけでもありませんけれども」


 むしろ感知されていないだけで常時使っている。

 そう考えるけれども教えない。だってそんなこと言ったらどうなるかわからないし、せっかく隠密作業に使っているのだからばれたら意味がなくなってしまうじゃないか。


「でも精霊魔法は秘密の魔法とも言われていますもの。魔術で済むのでしたらそれに越したことはありませんわ」

「確かに、精霊魔法で国が滅んだなんておとぎ話もありますよね」


 ディアティア様の言葉にその場の全員が子供のころに乳母に聞かされた、『水の竜のお姫様』のおとぎ話を思い出した。

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こんな展開が見たい、こんなキャラが見たい、ここが気になる、表現がおかしい・誤字等々もお待ちしております。

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