act.3
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幻想郷を長く見守り続けてきた種族、天狗。大天狗を筆頭に、とてつもなく長い間、ここ幻想郷の出来事を観測してきた。
我々天狗ほど、この幻想郷を見てきた者はいないし、また同様に詳しい者もいないのだろう。その中で、私は一つの選択を行った。
そう、傍観からの脱出を。
これから先も幻想郷を見守り続けるだろう天狗達の中で、私に行えることは何か。ただ俯瞰し、傍観し、諦観するだけの存在から、別の何かへ。
そうして、真実の観測者として。
私は、ペンを取ることを決断したのだ。
私がーー射命丸文が、烏天狗であることを、私であることを、でき得ることを。
決して剣に勝てなくてもいい。
幾度の敗戦を越えてなお。
それでも、私は、ペンを選ぶ。
そんな、思いも虚しく。
今、目の前で繰り広げられる『戦闘』を、私は知らない。
普通の魔法使いの殺意を。
人形遣いの、狂気を。
二人の。
真意さえも。
普通の魔法使いこと、霧雨魔理沙は知る由もない魔法陣で新性質での魔力射撃を。
人形遣いこと、アリス・マーガトロイドは人形を手足の如く操りながらも、その人形にこれまでには見せなかった武装を持たせ、魔力射撃を切り抜けている。
こんな戦闘の様を私はかつて見たこともなかった。
いや、見ることになるとさえ、思ってはいなかった。
ここ、幻想郷にはれっきとした決闘方法が確立されており、それを行うことで、決着としてきたのだ。
しかし。
どう足掻いても。
どうもがいても。
この『戦闘』を『弾幕ごっこ』として認識することは不可能で。
相手を殺すほどの思いで、『弾幕ごっこ』を選ばずに現在に至るということならば、それはどのような経緯を辿り、何故にこの現実を引き起こしたのか。
私は知らねばならない。
天狗族の一員として。
新聞記者として。
何より、射命丸文として。
ふと、目を凝らして戦場とその相対者たちの動作を伺う。
そこにいるのは、紅い眼をした人形遣い。
彼女は普段、透き通るように澄んだ碧眼の持ち主であるのにも関わらず、今は血に狂う獣のように飢えた瞳をしていた。
その事実が示すこと。
そうーー覚悟の瞳だ。




