8 居酒屋にて(3)
3話に分かれてしまったので、ここまでのあらすじなど。
・トワちゃんの小麦亭紹介のコーナー
・みんなでお昼ご飯
・記憶石鑑賞会(打ち合わせ)
・バイオハザード始まる
(NEW)・ジッタくんを犠牲にぼったくり相談 ← イマココ
お値段も決まりました。
「よし、こんでいいだろ。」
「肉来るまでに他のメニューの下拵えと準備だ!鉄プレートは大急ぎな。」
「ジッタもういいぞ。キャベツの続きやっとけ。」
「猪鹿来たらどんどん脂身回すから、軽く炙って溶けだした脂を笊で濾してツボに貯めてけ。」
「丁寧にやらなくていいからな。溜まった脂は1番から6番回せよ?」
「脂取った後の肉は7番回せ。なんかでっち上げるから。」
ジッタくんがフラフラ戻ってきました。
「ジッタくん強くイキロ・・・トワちゃんは表戻ろっか。」
「ジッタくんしっかり!」
わたしも頑張るぞ!
「ジッタくんの代わりにお客様に案内と誘導するわよ。」
「お肉はもうそこまで来てるから、んー・・・そうね小半刻くらいかしら。」
「お客様には半刻後目安で販売開始でお伝えしてね?」
「お前ら道空けろ!にくがでるぞぉぉぉぉ!!!」
ちょうど解体所のドーレスさんの怒鳴り声が聞こえてきました。
わかりました。と、こっくり肯くと、
「ほっとくと騒ぎ出すと思うから、とりあえず『それまでエールでも如何ですか?』ってお伺いしてみて。」
「肉のスペース空けるのに古い食材放出するって言ってたから、アントニーさんにお通し見繕ってもらうようにお願いしたから、揚げ焼きできるまではエールとお通しで待っていてもらいましょう。」
あれ?・・・いつの間にそんな話を。
「トワちゃん準備いい?」
「お肉にゾンビがくっ付いてきたから、引き剝がしに行くわよ?」
うぅ・・・行きたくないです。
「ジッタくんも頑張ってたんだから、わたしたちも頑張らないとね!」
そうでした!
追いすがる人達とお肉の間にリタさんが割り込んで、
「いらっしゃいませー、揚げ焼きは準備するから待っててね!お席お好きなとこどうぞー。」
大きく手を使って案内していきます。スーッと自然に向きが変わっていきました。
すごい・・・あーやって案内するんですね。
「み、みなさんこっちへー。揚げ焼きは準備中ですー。」
わたしも頑張って誘導します。
「トワちゃんそのまま案内しててー」
「が、頑張りましゅ・・・」
噛んだorz
「揚げ焼きはもちょっと掛かると思うから、エールとか如何ですか?」
「あ、これ待ってる間にどうぞ、お通しです。」
すごいなぁ・・・水が流れるみたいにスルスル案内してます。
「おぉ?なんか豪華なお通しだな!?それじゃエール一杯!」
「こっちエール2杯ー」
「なんかご祝儀っていうかワイルドイーター凱旋記念に出血大サービスだそうですよ?」
「っていうかエールでーす。おまちどーさま。」
「エール2杯どうぞー。お通しすぐ持ってくるから待っててねー」
「はい、お通しです。」
は、早!?
今注文入った時にはもう手に持ってなかった?
おまちどーさまって全然待ってないです。
「あ、揚げ焼きはもうちょっと時間かかりまーす。お席へどうぞー。」
「おせきへー、おせきどうぞー。」
どんどん人が増えてます。
「豪華なお通しありますよー、お席へー。あ、エール如何です?3杯?」
「お席で待っててねー、すぐお持ちしまーす。」
「お席へー」「はいエール2つと、タコハイね」
「お通しとエールです。」「エールでーす。」「エールと、こっちお通しでーす。」
「揚げ焼きは準備できたら案内しますねー」
わ・・・あ、同時に5組くらい案内してます。
「あ、エドさんいらっしゃい。」
「今日は早いですね?いつものタルタルチキン?」
常連のエドさんが来ました。
「今日は骨休みでさっきまで寝てたから。今日は揚げ焼き行かねーとな、せっかくだから。」
「お通しあるならエールお願い。あとキウリの漬物で。」
「しっかし今日は大変だなぁ、まだどんどん視聴ブースに人増えてね?」
うわー。魔石ショップから人が溢れてます。
みんなこっち来るのかな・・・くらくらしてきます。
「今どんくらい人入ってる?みんな揚げ焼きか?」
厨房からアントニーさんの大きな声が聞こえてきました。
「41人、みんな揚げ焼きね!」
「わかった。とりあえず見切りで50枚からいっとく。50超えたらオーダー入れてくれ」
「10単位でいい。どうせ数百枚はすぐだろ。こーゆーときはフライングで偏差射撃だ。普通にやってたら間に合わねー」
アントニーさん最初試作するって言ってました。
と言うことは・・・あっ、厨房の陰でベテランさんが何人か試食してます。
いいなぁ・・・おいしそう。
お肉は厨房のテーブル一つ全部使ってどーんと置かれていてドニさんがせっせとお肉切り落としてます。
ドニさんが今日のお肉切り分け係ですね。
ドニさんは包丁が上手です。よくお野菜とかで飾りとか作ってます。
「さーこっからが本番だからね?トワちゃん心の準備はいい?」
心の準備・・・は、ちょっと無理かな。
逃げ出したい。
「トワちゃんはテーブル一つずつで良いから注文受けてってー。」
「わ、わかりましたー。」
お、落ち着いて・・・
でもたぶん今いるお客さんはみんなもう何か食べてますね。
一回注文は受けてるってことです。
リタさんすごい、41人って言ってたっけ。人数もばっちりってこと?
3人組の探索者さんがやってきました。
「いらっしゃいませー、お席こちらで大丈夫ですか?」
「なんでこんな混んでるの?なんかあった?」
あ、猪鹿のこと知らない人がきた。クエスト帰りなのかな?
「えっとー、ワイルドイーターさん? が来たとかでー、すっごい美味しそうな鹿・・・猪鹿食べてる記憶石が・・・」
ダメだ、噛み噛みだ。リタさんみたいにスルスルかっこよく案内したい・・・
「あーわかったわかった。飯テロか!」
「みんな何待ちなのー?」
お客様の方で察してくれました。優しさが辛い。
「あ、あれ・・・です。猪鹿の揚げ焼きが今日のオススメになってます。」
厨房のお肉を指指さすと、
「ぶっふぉぉ!」
あ、一人噴出した。
「ちょっとロイ汚い!」
「揚げ焼きもういけるの?あ、いけるのね、それじゃあー、んーと」
「あ、それじゃエール3つと揚げ焼き2つ、あとしゃきしゃきレタスと海草のサラダでー」
「ロイ噴出した罰で記憶石買って来いよ!見ながら食おうぜ。」
「あ、それいいね、ロイよろしくー。」
盛り上がってますね。楽しそうです。オーダー表に注文をカキカキ。
「かしこまりましたー。エール3、揚げ焼き2、レタスと海草のサラダ1で、みんな揚げ焼きなので、揚げ焼きはちょっとお時間かかると思います。待っててくださいねー。」
やりました!噛まずに言えた頑張った!
いつもその日の最初のオーダーは緊張します。
バタバタ走らないように速足で、人にぶつからない様に厨房へ急ぎます。
「オーダーでーす。36番テーブル。エール3、揚げ焼き2、レタスと海草のサラダ1です。」
よし、これで一つ。次行きます。
「エールとレモンサワーです。お通しどうぞー」
「揚げ焼きトップバッターだよー、追加のエール。」「こちらエール3つ?お通しでーす。」
「追加でエール3、揚げ焼き1?待っててー」「エール普通の3と大エールね。あと揚げ焼き」
リタさんすごい。
戻ってきて、またお料理もって出撃です。
「エール5ね、大盛大根サラダと揚げ焼き3つ」「揚げ焼きー、こっちも揚げ焼きー」
「エールでーす」「エール2つー」「揚げ焼きでーす。」「揚げ焼き、揚げ焼き2。」
「追加ー?おにーさんがエール、そっちがエール3?」「レモンハイと揚げ焼きでーす。」
どーやって覚えてるの・・・
隣のお客さんから、
「トワちゃん追加ー。揚げ焼きっておろしもいける?」
「えっとー多分大丈夫だと思うけどちょっと待ってください聞いてきます。」
もういいや、こっから聞いちゃえ。
「アントニーさん!お客様が揚げ焼きおろしに出来るかって言ってますー」
「できるおっけー、おろし以外もいけっぞー。トッピングは1銅貨追加だ。」
「りたー!揚げ焼きはトッピングで6銅貨ぁ!」
「おっけーわかったー。あ、オーダー、エール13、揚げ焼き9・・・」
「リタちゃん揚げ焼きおろしにしてくれー」
「俺はタルタルがいい」
「訂正ー、エール13,揚げ焼き7、揚げ焼きおろし1、揚げ焼きタルタル1、串焼き盛り合わせ2、
ピリ辛漬け1、パリパリマウントチキン2」
リタさんからお返事と、ついでにオーダーも飛んできました。
「リタちゃん応援きたよー。」
「ありがとエリー。あっちはいいの?オーダーお願いしていい?」
この人はエリーゼさん。
クエストカウンターの受付のお姉さんです。
「向こうはディンブルさんとミワちゃんで行けるから。」
「トワちゃんごめん。私はそっちちょっと無理。頑張ってー」
ディンブルさんと、ミワちゃんはクエストカウンターのスタッフさんで、ディンブルさんは見た目がちょっと怖いおじさんだけど実は優しいです。時々キャンディーくれたりします。ごめんしてるのがミワちゃん。
「あ、トワちゃんはオーダーとお会計ねー。たぶん今日はみんな遅くまで騒いでると思うけど。」
が、頑張ります。リタさんとエリーさんもいるからきっと大丈夫。
そろそろ外も暗くなってきました。
「とわちゃーん・・・んえーるぅ、えーるちょーだい」
「とわちゃんかぅわいいねーあたまなでなでしてあげるー」
えっと、エール1と・・・
「トワちゃんにちょっかいかけるなって言ってんでしょーが!」
「ぶべらぁ」
リタさんがチョップしながら風のようにさっていきました。
と思ったら向こうの端に。
「火吹竜のロックでーす。蒸留酒なので気を付けて飲んでねー。あと揚げ焼きー」
「直搾りレモンサワー濃いめでーす。」
「今始まった厚切り揚げ焼きでーす。」
え・・・さっきここでチョップしてたんじゃ・・・
「オーダーでーす。
トロトロ猪鹿鍋2人前でーす。68番テーブルー。」
「25番 ワインー。猪鹿のカルパッチョが欲しいって。いけます?ワインはサンモリッツボトルで。」
アントニーさんから、
「カルパッチョいける。2銀貨。」
リタさんから、
「トワちゃんカルパッチョ増えたー2銀貨だってー。」
ちょ、ちょっとま・・・えーっと・・・カルパッチョが2銀貨・・・
もう何でもアリですね。何でも出てくる。アントニーさん凄い。
って、あ、あれ?リタさんさっき一番向こういたんじゃ・・・
リタさん実は2人いますか?もうわけわからないです。
「サンモリッツボトルです。デキャンタします?あ、このままで。畏まりー。カルパッチョおっけーです。後で持ってきますね。お先にワインどうぞー。」
「おつかれさまー、エールとお通し」「エール6つー、揚げ焼き4、特製小麦亭サラダ特盛でーす」
「青りんごとレモンのサワー、梅サワー、エール、大エール、蝮酒でーす。こちらグラス3つ。」
「串盛り合わせ10本とエールピッチャで。グラスいけます?おっけー。」
「追加注文待ってくださいね、エリーちゃん来るからそっちにー」
「はいおまたせー、揚げ焼き6です。」
・・・拝啓 おかあさん。
リタさんはバケモノです。
いつかあんなふうに・・・は、ちょっと無理かな。
地道に頑張ろうと思いました。
とりあえず初日の騒動はひと段落です。
臨場感が伝わるといいな。




