第20話殺意
「さっさと、棄権しろ!」
正一のその言葉に宙に浮かび続ける俊介は無言を貫いた。
「学習能力が無いのか?」
「ここで例え、無様を晒しても、棄権する愚かさだけは晒す事は出来ない。長野支部防衛局副局長の名にかけて」
「大した肩書きだな」
正一は実弾が入っている拳銃を俊介へと向ける。
「これで終わりだ!何か有れば聞いてやるが」
「強いな。君は、聞いた事がある。新潟支部の黒き弾丸は母親の為に手を汚すと、お母さんの為に戦い続けた結果、その強さを得たのか?」
「黙れ!母さんの為ではない」
「……そうか。済まない。母親が大事なんだな」
「黙れ!」
激昂した正一の弾丸は俊介の腹部に直撃する。
勝利を確信した正一は念動力で浮かせ続けた俊介を地面へと落下させる。すると、直ぐ様転移魔法が出現し、俊介は転送される。
俊介を倒した事によって、正一のポイントは三ポイントから五ポイントへとなった。
「出てこい。居るんだろ?」
正一のその言葉に促される様に、木陰から一人の男が現れる。
「……残ったのはお前か」
「だったら、何だ?」
「最初から、三人の内残った奴と戦うと決めていた。さぁ、始めようか?」
男は隠していた殺意を剥き出しにする。
正一は咄嗟に、拳銃を誰の居ない場所に向けると、引き金を引くと、どす黒い魔力を放出させる。
「……撃つなら、俺に撃ちやがれ!」
男は激昂しながら、怒りを露にさせながら、正一の元へと向かい走り始めた。正一がどす黒い魔力を放出させた箇所を浮遊させ、木や石等で防御をした。
「こんな物では俺は止められん!」
男が殴ろうとしたその時、男は拳を停止させた。
そして、素早く後方へと移動する。
「……その木や石等にはお前の魔力が流れている。触れたら、俺もその魔力に触れる事になる。そうなれば、俺も冴木俊介の様に操られる事になるんだろ?」
「理解力はあるらしいな」
「こう見えても、繊細なんでね」
「知っている。福岡支部の異端児と言われる田所泰二だろ」
「俺も有名になったな」
「どうでも良い。さっさと終わらせる」
正一は実弾が入っている拳銃を田所へと向ける。
「自在に動かす事が出来る弾丸か……逃げるか」
対処する方法が思い浮かばない田所は銃口から体を反らし、実弾が当たらない様に、工夫しながら、回避を始めた。
「無駄だ」
正一は、引き金を引く。照準は全く合わせなかったが、全く問題はなかった。実弾には正一の魔力が流れており、正一が思い描くまま動く事が出来るからである。




