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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第五章 仙人、冒険者進級試験を受ける
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仙人VSダンジョンコア、ダンジョン修復

将人が目を覚ますと目の前に壁があった。


(何で目の前に壁が? なんか暑いな………)


腕の力で上半身を壁から引きはがし、ハテッと思った。妙に加重がかかって壁から体を引きはがせない。両ひざを壁につけてようやく自分が壁に引っ付いてたのではなくうつぶせに倒れていたのが分かった。


「なんで俺、倒れて………」


将人はぼんやりとする頭を振りながら記憶を振り返る。


(俺は冒険者進級試験を受けていた。そして、ダンジョンコアが『滅び』に侵されていてこちらを攻撃してきて、気を失った………)


「みんなはどこだ………」


辺りを見回し驚愕する。自分の周りから約十、十五メートル付近は床や壁が存在するがそこから先は真っ白な空間しかなかった。某龍の七つの球を集める話に出てくる異空間、時間の流れが違う修行部屋のような真っ白で何もない光景が広がっていた。


(マサトよ…目を覚ましたか)


頭の中に声が響く。辺りを見回すとスケソルが、その近くにアベルトが倒れていた。


「アベルド、スケソルさん大丈夫か?」


アベルドの首筋に手を当て見役を確認、呼吸もある。気を失っているようだ。スケソルは意識はあるが身動きが取れないようだ。


「そうだ、リアとエミさんは!?」


(あの二人は隣の部屋で気を失っている。この結界の中では魔力が失われるらしい。強制的に魔力切れにさせられては意識を保ってはいられない。私はまだダンジョンコアと繋がっているから魔力切れはないが体は動かせない………)


「結界って誰が張ってるんだ」


(上空に浮いているお前の盾だ!)


「アイちゃんが!?」


将人が上空を見ると五メートルぐらいの所にセロ鉄製の円形の盾アイアスが浮遊していた。ドーム状に『氣』を展開し自分やマサリアたちを覆っていた。


(ちゃん付で呼べるほど可愛らしいものではないぞ、あの盾は。あの盾は魔力を打ち消す力を出しているがそれのお陰で我々は生きながらえている)


「俺が気絶している間に何があったんだ?」


(私はミスをしたらしい………黒く染まったダンジョンコアを剣で貫いたその途端、ダンジョンコアから強大な魔力を放出され、何百というスケルトンが召喚、それを爆散破壊、それにより発生した熱と光のエネルギーを魔力に変換、これを延々と繰り返し今の状態となった。熱と光のエネルギーこちらに届かんとした時、お前の盾が飛び上がり結界を張ってくれた)


「周りが白いのは未だに爆発が繰り返されてるせいなのか!?」


(そういう事だ。あの盾が張った結界は熱や光、衝撃をある程度防いでくれているようだ)


「ダンジョンコアはどこにあるんだ?」


(分からん、この空間のどこかにいると思うが今はここから逃れる方法を考えた方がよいぞ)


将人は腕を組んで考える。この結界の外は今でも召喚と破壊が繰り返されている。破壊で起こされる熱量はどれほどなのか分からない。結界を解けばあっという間に蒸発してしまうだろう。それを暑いくらいで済ませられるアイアスの結界は恐ろしく高性能だった。


(………アイちゃん、高性能すぎだろ。シゲルイさん、アンタとんでもないものを作り出したよ)


将人は心の中でシゲルイ・アカマに感謝を述べ、額に浮いた汗を拭う。


(こんなに暑いから懐かしい夢を見たんだな………)


将人は異世界に来る前の血の繋がらない家族との日常を、『形意拳』、『仙道』の修行時代の事を思い出していた。将人はその夢の中でみた、二人で行う『氣』のやり取りを行う修行法『陰陽双修法おんみょうそうしゅうほう』の事を考えていた。『氣』を使える者が二人いて初めて出来る行法だが今、『氣』を使えるものはもう一つあった。


「『陰陽双修法おんみょうそうしゅうほう』ならもしかして………アイちゃん、こっちに来てくれ」


将人の声にアイアスが将人に向かって一直線に降りてくる。将人はすかさす身を躱す。将人のいた床がアイアスの落下速度と重量でベキリとめり込んだ。


(アイちゃん、コエーよ………)


アイアスが床から飛びあがると将人とは逆方向を向きそのまま動かなくなる。


「あのう……アイちゃん」


将人の呼びかけにアイアスは無反応。


「アイアスさん………」


将人はアイアスの正面に回り込むがそっぽを向いてしまう。


(この反応は結衣姉さんもやっていたな。これは確か………)


将人はポンと手を打った。


「アイちゃん、ゴメンね。受け止めてあげられなくて………」


将人の言葉にアイアスがこちらを向き、将人の胸に飛び込んだ。将人は胸の中のアイアスの状態を見て痛ましい表情になる。


(アイちゃんに張ってあるモンスターの革が焦げ落ちて、中のゼロ鉄が一部溶け落ちてる………アイちゃん頑張ってくれたんだな)


将人はアイアスを優しく撫でる。


「アイちゃん、こんな風になっても頑張ってくれてありがとうな。でも、もう少しだけ頑張ってくれるか?」


アイアスは将人の胸から離れ、上下に動く。頷いているらしい。


将人はその場で結跏趺坐という瞑想をするのに適した座り方をする。昔は出来なかったが慣れた今では一時間は余裕で座れる。


「アイちゃんは一メートルぐらい離れた所で俺と向き合って」


アイアスは将人の指示に従って動く。


(マサト、お前何をするつもりだ)


「『氣』の結界を強化してここから脱出する………俺の中で練った『氣』をアイちゃんに送るからその『氣』をアイちゃんの中で練って俺に返して!」


アイアスが一回上下に動くのを見て将人は目を閉じる。『仙道』の呼吸法と意識の集中で『丹田』に『氣』を発生させる。『丹田』の『氣』を上昇させ胸の『膻中』、そして頭の頂点の『泥丸』から練った『氣』を放出、意識で操ってアイアスに送る。アイアスは『氣』を受け取り、盾の中で循環させ『氣』を強めてから下方から『氣』を放出。その『氣』を下半身の『会陰』で受け取り『丹田』に戻す。この工程を繰り返す。一の『氣』が二の『氣』に、二の『氣』が四の『氣』に、四の『氣』が十六の『氣』にと自乗で『氣』が増幅された。『氣』が増幅されると結界にも変化が起こる。『氣』の結界が膨れ上がり規模が広がり、十メートル、二十メートルと広がっていく。『氣』が召喚されるスケルトンを打ち消していく。爆発の材料であるスケルトンが打ち消される事で爆発の規模が収縮し、爆発の中心ににあるダンジョンコアが浮かび上がる。

ダンジョンコアはスケルトンを爆破を止め、召喚された無数のスケルトンを組み合わせ巨大な一体とスケルトンを作り上げる。ダンジョンコアはスケルトンの中に入り込み、動き始める。スケルトンが拳を振り下ろすが結界に触れた途端、スケルトンの拳が消失した。魔法を打ち消す力を持つ『氣』の力の前では魔法で召喚されたスケルトンは相手にならなかった。また『氣』の結界が広がりスケルトンの下半身に触れる。下半身が消失、倒れこみ全身が気の結界に触れる。消失が一気に早まりスケルトンの中にあったダンジョンコアも『氣』の結界に触れる。『滅び』に侵されたダンジョンコアが抵抗する。だが、抵抗は一瞬ですぐに『滅び』は駆逐され真っ白なダンジョンコアに戻る。


(おお、ダンジョンコアが元に戻った! マサト、この結界を早く解け、ダンジョンコアが壊れる!)


スケソルの声に従い、『陰陽双修法おんみょうそうしゅうほう』を止め、『氣』の結界を解く。その途端周囲に変化が起こる。爆発により抉られた大地が盛り上がり壁を形成し元のダンジョンコアの部屋に戻り中央にダンジョンコアが戻る。ダンジョンコアの魔力が周囲に展開されダンジョンを形成し始めた。


(ダンジョンコアが元に戻った事でダンジョンが再び形成される。出口が出来るまではもう少しかかりそうだ。マサトよ、ご苦労だった、少し休むといい)


「そうさせてもらう。これでミッションコンプリートだ」


将人はその場に寝っ転がる。横になった将人の腹にアイアスが乗っかった。重みで呻きながらもアイアスを撫でる。


(師匠………いや、誠一郎父さん、結衣姉さんありがとう。二人のお陰でこの難関を超える事が出来たよ………)


今は遠い世界にいる家族に将人は感謝を述べた。



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