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仙人、異世界で無双する  作者: サマト
第五章 仙人、冒険者進級試験を受ける
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仙人、ダンジョンコアとは? ダンジョン探索開始

「そのダンジョンは誰が作ったんだ?」


将人の何気ない一言にポカンとされてしまう。変な空気を作ってしまった将人は訳が分からずキョドってしまう。


「………マサト、意外と何も知らないのね」


マサリアの言葉がズサリと突き刺さった。


「パウラちゃんは知ってた?」


「ムウ、お兄ちゃん、それどういう意味?」


パウラが頬を膨らませ睨む。


「エミさん! 説明お願い!」


パウラの追及をごまかす為、勢いつけてエミリアに説明を求める。


「マサト様、ごまかす為に私を使わないで下さい。でもまあいいでしょう。説明いたします………」


昨日のうちにダンジョン探索の準備を終え、翌日朝早くファテマが所有する馬車を出してもらいダンジョンへ出発した。ファテマとアベルドは御者席に座り、将人たちは荷台に座る。しばらく雑談をしていたが将人はふと冒頭の疑問が頭をよぎり言葉に出してしまった。その結果物を知らないと呆れられてしまうのだが、旅の恥は掻き捨てと諦めて聞く事にした。


「ダンジョンは人が作ったものではなく、自然に発生したものです」


「自然発生したってそんなバカな!? だってダンジョンって何層もあるんでしょ! そこにモンスターが住み着いて、宝箱配置してって人の手がないと、それこそ魔法を使わないと無理でしょう!?」


将人は思わず声を荒げてしまう。こちらの世界にきて大分非常識に慣れたつもりだったがまだ甘かった。


「ダンジョンにはダンジョンコアと呼ばれる魔法の宝玉が自然発生し、それがダンジョンの構築、モンスターの発生、お金やアイテムなどの配置を一手に行います。そのダンジョンでモンスターを倒したりアイテムを入手したとしても数日でまた復活します」


「流石魔法万能の世界、非常識すぎる。そのダンジョンコアが発生する条件はあるんですか?」


「発生条件は分かっておりません。完全にランダムです」


「これから向かうダンジョンはどういうダンジョン何ですか?」


「それは私よりパウラ様にお聞きになった方がいいと思います」


エミリアに言われパウラは自分を指さす。パウラがマサリアを見ると、マサリアが頷く。パウラは昨日エドガルドに聞いた事を思いだしながら話す。


「えっと、そのダンジョンはすでに調査が終わっているダンジョンでダンジョンの構造、出てくるモンスター、アイテムの配置全て調査済み。そういうダンジョンはダンジョンコアを壊して閉鎖するんだけど冒険者の練習用に残してあるの」


「危険は少なそうだね」


「階層も二層、モンスターもそんなに強くないしクリアするのはかなり楽だと思うけどそれでも二日はかかると思う。ノンビリしてると合格できないよ、お兄ちゃん」


パウラに釘を刺され呻く将人。


「甘えんぼじゃないパウラちゃん、少し手ごわい」


マサトに言われパウラが頬を膨らませ睨むがマサリアにも睨まれる。


「………リアは何で?」


「イチャついてるから………」


「イチャついてないって!」


そんなとりとめのない話をしているうちに時間が経つ。


「みんな、着いたよ」


業者席のファテマが荷台の将人たちに声をかける。将人たちは荷台から顔を出し、その光景を見た。どこまでも続く野原。そこに不自然ともいえる大きな岩が一つ鎮座していた。岩というよりは岩山と言っていいのではないだろうか。全長二、三十メートルあろうかという強大な岩、その中央に三メートルほどの逆Uの字の鉄門がある。馬車を入り口から離れた所に止め、将人たちは荷物を下ろし、各々が武器、防具を装備する。

ここで少し将人たちの装備を説明する。将人はゼロ鉄の鎖かたびらにクロースアーマー、セロ鉄のガントレット。背中にはゼロ鉄の盾アイアス。将人の背中でアイアスがカタカタと動く。


「シーッ、アイちゃん動いちゃダメだ。物が自動で動くなんてこの世界じゃない事かもしれないから様子を見てからアイちゃんみんなに紹介するから」


そう言われアイアスが動きを止める。


「いい子だ」


将人は盾を撫でようとするのをアベルドに見られる。


「マサト殿?」


「アベルド、どうかしたか?」


「いや………」


アベルドに不思議そうな顔をされる。


(ヤバいな、盾の事を聞かれる前にこっちから質問しなければ………)


そう考えた将人はふと疑問に思った事が声に出た。


「アベルド、長剣二本持っていくのか?」


将人はアベルドの装備を見る。圧革の胸あてに草摺、腕あてを装備している。防御もあるが動きやすさを考慮している。でもそう考えると長剣二本は無駄の様な気がする。長剣を持たせてもらった感じ大体二キロくらい、それが二つもあれば動きにくくなる。


「一本は愛用の物ですがもう一本はマサト殿が言われてた……そう、ゼロ鉄製の長剣です。これはあのジャイアントエイプの腕さえも切り落としました。これがあればいざという時に役立ちます。それにマサト殿の『氣』も籠っておりますし………いざという時の武器でもありますが、自分が困難に陥った時に守ってくれるお守りの様なものだと思っています」


アベルトに言われ将人は照れる。


「そんな大層なモンじゃないって」


「そんな事ないわ」


二人の話を聞きつけたマサリアとエミリアが近づいてきた。


二人は片胸あて、魔法使いが使う樫の木の杖、ゼロ鉄製のバックラーを装着していた。


「マサトの『氣』は私たちが困難に陥った時、何度も助けてくれた。『滅び』に操られて、絶望していた私たちをマサトの『氣』は救ってくれた。暗黒の中に差し込む一条の光って私は感じた。そんな力が籠っている物をお守りにしてもいいでしょう。私もそう思ってるし」


マサリアの言葉にエミリアもアベルドも頷く。将人は顔が真っ赤になり、みんなの顔を見る事が出来ずそっぽを向いてしまう。


(持ち上げすぎだよ。俺そんな大したヤツじゃないって………)


身もだえしている将人の肩をパウラがポンと叩く。


「マサト君、照れなくてもいいよ。君はその歳の冒険者じゃ出来ない事をやってのけている。誇っていい」


「私もゼロ鉄の剣大事にしてるよ。この剣の銘『お兄ちゃん』にしてるんだよ」


パウラを鞘に納めたゼロ鉄製の大剣を大事そうに抱き締める。


(もうカンベンして………)


将人は試験開始前にして身もだえしすぎてヘロヘロになっていた。それをマサリアたちあ面白そうに笑った。


「さて、リラックス出来たところでみんな整列して」


ファテマの声に将人たちは横一列に整列。パウラはファテマの隣に並ぶ。


「準備が出来たのなら冒険者進級試験の内容を説明します。今から冒険者三級の皆さんにはこのダンジョンに入ってもらい、最奥にいるボスモンスター、スケルトンソルジャーを倒しドロップアイテム『騎士の剣』を回収してもらいます。期限は今日を合わせて三日、三日を過ぎると失格になります」


そこで将人が手を上げる。


「はい、パウラさん質問です。もし三日を過ぎてダンジョンを出れなかった場合はどうなります」


「そうならない為、皆さんには転移石を渡しておきます。これはダンジョン脱出用のアイテムです。三日たってクリアが出来なかった場合は使用してください」


「ダンジョンの中では時間の経過が分かりませんが………」


「そこでこの時刻石を渡しますこれは一日経過するごとに色が変わります。今は赤ですが二日目は青、三日目でまた赤に戻ります。時間を確認しながらダンジョンの最奥を目指しボスモンスターを倒してください」


「ファテマさんはどうやって俺たちの監視というか監督をするんですか?」


「それはこの水晶玉で皆さんの行動を監視させてもらいます。これは通信機能もあるんで会話も出来ます。ギブアップする時は教えて下さい。その時点で試験を終了とします」


(こっちにも水晶玉あるんだな。ファンタジー共通のアイテムだ)


「最後にもう一つ質問、何でですます口調?」


「これでも試験官だからそれらしくしないとね…他に質問がなければこれから試験を開始します」


ファテマとパウラア懐から木の札を取り出し、呪文を唱える。


(しかし、俺ってこっちの世界の呪文を聴き取れないな。どんな呪文唱えたのか全く分からん)


将人はこっちの世界の人と会話は出来るが魔法の呪文に関しては意味不明の言語となり聞き取る事が出来ないのだ。


「アベルド、今二人はどんな呪文を唱えたんだ?」


「簡単ですよ、『開錠』と唱えたんですよ」


「やっぱり分からんな」


将人はぼやきながら鉄門に手をかけ引くとギギィィィと錆びついた音を上げて鉄門が開いた。


「じゃあ行こうか」


マサリアが魔法でたいまつに火をつけ将人に手渡す。


「たいまつ購入時に聞けばよかったんだがどうしてたいまつが必要なんだ。魔法で光球作ればいらないんじゃないのか?」


「光球の維持って魔力を食うのよ。戦闘時に魔力切れで魔法が使えなくなって、意識を失う事になったらその時点で試験終了よ。先は長いんだから考えないと」


「魔法使えないからよく分からんが確かに温存しておいた方がいいかも。じゃあ行こうか」


将人たちは階段を下る。数分も下ると階段が終わり通路に出る。通路の高さは五メートルくらい、幅も五メートルの正方形、戦闘するには十分な広さだった。床は茶色い石が敷き詰められており段差が全くなかった。壁は茶色い石を長方形に削り取ったものを積み重ねて形成されており隙間がなかった。空気は乾いていて少しかび臭かった。


「これがダンジョンというやつか。ゲームでしか見た事がなかったが現実に入ってクリアを目指す事になるとは人生何が起こるか分からないものだ」


将人はしみじみと呟く。そんな将人にマサリアが切迫した声を上げる。


「マサト、ノンビリしてる場合じゃないわ。前と後ろからモンスターが来たわ。壁を背にして戦うわよ。将人とアベルトは前衛、私とエミは後衛に回るからお願い」


「分かった」


マサリアとエミリアは壁を背に、将人とアベルドは二人の前に出る。アベルドは長剣を抜き構える。将人も『三体式』の構えを取った。ダンジョンでの初戦闘が始まった











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