#番外編 8:ロゼリアとクルーが料理に挑戦~完全に失敗~
キッチンに、妙な緊張感が漂っている。
原因は一つ。
「料理、作る」
ロゼリアがそう言ったからだ。
沈黙。
「……やめた方がいい」
ノアが即答する。
「失礼ね」
「事実だ」
セリアが一歩前に出る。
「ロゼリア様、料理は経験が?」
「ない」
「では」
「やってみる」
(止まらない)
マイケルがくすっと笑う。
「面白そうだな」
「面白くはなりません」
セリアが冷静に否定する。
(もう遅い)
ロゼリアはすでに材料を手に取っている。
「何作るの?」
「それも今決める」
「計画性がないな」
「柔軟性って言って」
適当に野菜を切る。
形がバラバラ。
大きさも不揃い。
「……それでいいのか」
ノアが眉をひそめる。
「火が通れば同じでしょ」
「違う」
セリアが横から包丁を取り上げる。
「こうです」
均一。
綺麗。
無駄がない。
(うまい)
「なるほど」
ロゼリアは頷く。
そして。
同じようにやろうとして
少し大きく切る。
「……まあ、近い」
「近くありません」
マイケルが横で調味料をいじっている。
「これ入れたら面白そうじゃないか?」
「やめなさい」
セリアが止める。
「味が崩壊します」
「もうしてるだろ」
ノアがぼそっと言う。
「聞こえてる」
ロゼリアが睨む。
「まだ始まったばかり」
鍋に火をつける。
強火。
かなり強火。
「火力が強すぎます」
「早くできるでしょ」
「焦げます」
「大丈夫」
全然大丈夫じゃない。
油を入れる。
多い。
明らかに多い。
「多すぎです」
「コクが出る」
「出ません」
野菜を投入。
――じゅわああああ。
音が大きい。
煙も出る。
「……煙」
ノアが後ろに下がる。
「問題ない」
ロゼリアは動じない。
そのままかき混ぜる。
勢いが強い。
具材が少し飛ぶ。
「危ない」
「動くな」
「お前が動いてる」
マイケルが笑っている。
「最高だなこれ」
「何が」
「見てて楽しい」
セリアはすでに諦めかけている。
「火を弱めます」
勝手に調整する。
「ありがとう」
「いえ……」
完全にサポート役に回っている。
その隙に。
マイケルが何かを入れる。
「何入れた」
「ちょっとしたスパイス」
「今すぐ吐き出しなさい」
「鍋が?」
「あなたがです」
混ぜる。
色が変わる。
香りも
「……これ」
ノアが顔をしかめる。
「大丈夫」
ロゼリアは言い切る。
「まだいける」
(どこが)
少し味見する。
スプーンで一口。
止まる。
沈黙。
全員が見る。
「……どうだ」
ノアが聞く。
ロゼリアはゆっくり顔を上げる。
「複雑」
「褒めてないな」
「新しい味」
「それも違う」
マイケルが興味津々でスプーンを取る。
「どれどれ」
口に入れる。
一瞬。
固まる。
「……」
沈黙。
「どう?」
ロゼリアが聞く。
マイケルは笑顔のまま。
数秒。
そして
「水」
即答。
セリアがすぐに水を渡す。
ノアは完全に距離を取っている。
「絶対食べない」
「逃げるな」
「命が惜しい」
ロゼリアは鍋を見る。
見た目はもう、よく分からない何か。
匂いも、判断に困る。
「……」
少し考える。
そして。
火を止める。
「完成」
「完成じゃない」
ノアが即否定する。
「失敗でもない」
「失敗だ」
セリアが静かに言う。
「完全に失敗です」
マイケルはまだ水を飲んでいる。
ロゼリアは腕を組む。
少しだけ考える。
そして
「次は上手くやる」
全員が同時に思う。
(やめて)
でも、誰も口には出さない。
ただ一人を除いて。
「いや、やめろ」
ノアだけが、はっきり言った。
私は料理番組が好きです。
私の叔母はすごくクール(そしてちょっと下品な考えの持ち主)ww、私は彼女が大好き。彼女の名前(仮名): 小林 君江




