番外編 2:資本の見本市に行こう -ロゼリアが購入するもの-
王都の一角に広がる見本市は、朝から騒がしかった。
色とりどりの布、煌めく魔道具、香ばしい匂いの屋台。
人、人、人。
(……テンション上がるんだけど)
思わずそう思ってしまうくらいには、賑やかだ。
「迷子になるなよ」
ノアが横でぼそっと言う。
「子供扱いしないで」
即座に返す。
その横で、マイケルが楽しそうに辺りを見回している。
「いいなこれ、全部欲しくなる」
「財布は一つしかないから我慢して」
セリアはすでに数歩前で立ち止まり、店を観察していた。
(ほんと仕事早いな)
「ロゼリア様」
振り返る。
「防御系の魔道具、優先かと」
「同感」
無駄な買い物はしない。
必要なものだけ。
最初に立ち寄ったのは、小さな魔道具店。
並んでいるのは指輪やペンダント。
「こちらは魔力障壁を展開する指輪でして」
店主が説明する。
手に取る。
軽い。
でも、内側にしっかり魔力が流れているのが分かる。
(悪くない)
「いくら?」
値段を聞く。
少し高い。
「高いな」
ノアが小さく言う。
「命よりは安いでしょ」
あっさり返す。
「これ、買う」
迷わない。
セリアがすぐに支払いを進める。
次に向かったのは情報屋の一角。
地図や書類が雑多に並んでいる。
「この辺りの未踏区域の資料、ある?」
「おや、お嬢さん詳しいね」
店主が目を細める。
(あるな、これ)
いくつか選ぶ。
危険区域、魔物出現地点、古い記録。
全部繋がる可能性がある。
「随分買うな」
マイケルが覗き込む。
「後で役に立つから」
短く答える。
(無駄にはならない)
その後も、細かく店を回る。
セリアが値段を下げる。
ノアが無駄を切る。
マイケルが茶々を入れる。
(バランスいいな、このメンバー)
ふと、足が止まる。
少し外れた場所。
人も少ない。
古びた布で覆われた小さな店。
(……何これ)
並んでいるのは、よく分からない物ばかり。
壊れたような道具。
くすんだ装飾品。
その中で――
一つだけ。
妙に目を引くものがあった。
黒い、小さな装飾具。
形はシンプル。
でも。
(なんか……変)
近づく。
手を伸ばす。
触れた瞬間。
ぴくり、と。
微かに、反応した気がした。
「……今の」
小さく呟く。
「どうかしたか?」
ノアが覗き込む。
「いや」
でも、目は逸らさない。
「これ、いくら?」
店主は顔を上げないまま答える。
「安いよ。それ」
(安すぎるでしょ)
逆に怪しい。
でも。
(これ、絶対ただの道具じゃない)
少しだけ考えて――
「買う」
あっさり決める。
「即決だな」
マイケルが笑う。
「直感」
それだけ言う。
手の中のそれを、軽く握る。
冷たい。
でも、どこか――
(……妙に馴染む)
視線を落とす。
ほんの一瞬だけ、違和感。
すぐに消える。
(気のせい?)
顔を上げる。
「行くよ」
歩き出す。
三人も続く。
背後に残る、あの店。
もう振り返らない。
でも。
手の中の感触だけは、消えなかった。
この章は少し駆け足だったように感じましたか?理由は以下のとおりです。:
1時間目の授業中で、数学のテストが行われている最中にこれを投稿しています。章の復習を終えて投稿するためだけにスマホを手に取ったのですが、不道徳ですね…。知っている wwww
この物語の 「season2」のようなものを作るべきか、それとも追加章で物語を続けるべきか、迷っています。




