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#15:形成とモンスター

廊下を歩きながら、深く息を吐く。


(やること多すぎでしょ……)


頭の中はさっきのことでいっぱいだ。


料理の違和感。知らないイベント。嫌な予感。


一人で整理したい。


静かな場所で、ちゃんと考えたい。


そう思っていたのに。


「ロゼリア様」


(もういる)


振り向かなくても分かる。


「なに?」


「先ほどの件ですが」


セリアが当然のように隣にいる。


距離が近い。


「あとで整理するわ」


「今でも構いませんが」


「今はいいの」


即答。


少しだけ強めに。


セリアはそれ以上は言わない。


でも、離れない。


(離れてほしいんだけど)


その時。


「ずいぶん冷たいな」


別の声が割り込んでくる。


(増えた)


振り向くと、マイケルがいた。


いつの間にか壁にもたれている。


「もう少し優しくしてもいいんじゃないか?」


軽い調子。


完全に面白がってる。


「してるわよ」


「そうは見えなかったけど」


(うるさい)


軽く睨む。


でも、全然効いてない。


むしろ楽しそう。


「それより」


マイケルがこちらをじっと見る。


「最近、忙しそうだな」


(鋭い)


一瞬だけ、言葉に詰まる。


「気のせいよ」


適当に流す。


深く突っ込まれたくない。


今は特に。


「ふーん」


全然納得してない顔。


でも、それ以上は追及してこない。


その代わり。


「騒がしいな」


低い声が、後ろから落ちる。


(……さらに増えた)


振り向くと、ノアが立っていた。


いつものしかめっ面。


腕を組んで、こちらを見ている。


「廊下は訓練場じゃない」


「分かってるわよ」


思わず返す。


「別に騒いでないし」


「結果的にそうなっている」


(否定できない)


一瞬だけ黙る。


その間に。


三人の視線が、微妙に交差する。


セリア、マイケル、ノア。


(なんなのこの空気)


微妙にピリついてる。


理由は分からない。


分かりたくもない。


「……ねえ」


小さく口を開く。


「なんで全員いるの?」


素直な疑問。


本当に。


セリアはすぐに答える。


「護衛です」


「そう」


マイケルは肩をすくめる。


「偶然だな」


(絶対嘘)


ノアは短く。


「巡回中だ」


(それはあり得る)


でも。


(タイミング良すぎでしょ)


小さく息を吐く。


頭が痛い。


一人になりたかっただけなのに。


「人気者だな」


マイケルが笑いながら言う。


「違うわよ」


即否定。


「そうか?」


「そうよ」


被せるように返す。


「ただ集まってるだけ」


「それを人気って言うんじゃないか?」


(言わない)


言い返そうとして――


やめる。


無駄な気がする。


「……どうでもいい」


小さく呟く。


本音。


その時。


廊下の向こうから、ひそひそ声が聞こえた。


「見て、あれ……」


「本当だ、また集まってる」


(また?)


少しだけ気になる。


「最近、ロゼリア様の周り、賑やかよね」


「なんかこう……」


声が少し小さくなる。


でも、聞こえる。


「囲まれてるっていうか」


「それ、もしかして――」


一瞬の間。


「ハーレム?」


(違うからね)


即座に否定したくなる。


でも、距離的に微妙。


聞こえてないふりをするしかない。


「……」


無言で前を向く。


「どうした?」


マイケルが覗き込んでくる。


「なんでもない」


「顔が面白いことになってるぞ」


(後で殴る)


心の中でだけ言う。


ノアが小さく息を吐く。


「くだらない」


それだけ言って、視線を外す。


でも。


その一言の直後。


空気が、変わった。


ほんの一瞬で。


(……え?)


肌がざわつく。


説明できない感覚。


「今の」


セリアが小さく呟く。


ノアも、すぐに顔を上げる。


「気配が変わったな」


(なにそれ)


マイケルの表情も、さっきまでと違う。


軽さが消えている。


廊下の奥。


空気が、わずかに歪んでいるような。


(また、知らないやつ?)


胸の奥が、ざわつく。


さっきと同じ。


嫌な予感。


今度は、もっとはっきりした形で。


その違和感は、一瞬で“確信”に変わった。


ドンッ、と遠くで鈍い音が響く。


次の瞬間――


「きゃああっ!」


悲鳴。


はっきりとした、人の声。


(来た)


考えるより先に、全員が動いた。


ノアが一歩前に出る。


「セリア、後方を見ろ」


「了解」


即答。


空気が完全に切り替わる。


さっきまでの軽さは、もうない。


マイケルも、ゆっくりと歩き出す。


「面倒なのが来たな」


でも、その目は笑っていない。


(ほんとに来たじゃん……)


心の中でぼやく。


全然嬉しくない展開。


廊下の角を曲がる。


その先で。


「……」


言葉が、止まる。


そこにいたのは..


異形。


人の形に近い。


でも、違う。


黒く濁った皮膚。


不自然に歪んだ腕。


目は――


焦点が合っていない。


(なに、あれ)


見たことがない。


ゲームでも。


現実でも。


「下がれ」


ノアの声が低く響く。


一歩前に出る。


完全に戦闘の構え。


セリアもすぐに動く。


ロゼリアの前に、半歩だけ位置を取る。


「危険です」


「見れば分かる」


小さく返す。


でも、視線は外さない。


目の前のそれから。


「……妙だな」


マイケルがぽつりと言う。


「魔力の流れが歪んでる」


(魔力とか言われても分からないけど)


でも。


“普通じゃない”のは分かる。


はっきりと。


その時。


ぐにゃり、と。


モンスターの体が、不自然に揺れた。


まるで中身がズレるみたいに。


(気持ち悪……)


次の瞬間。


ドッ、と床を蹴る音。


速い。


見た目以上に。


「来るぞ!」


ノアの声。


剣が一閃する。


金属音。


弾かれる。


「硬いな……!」


(うそでしょ)


セリアが素早く動く。


ロゼリアを引く。


「こちらへ」


「ちょっと待って」


引かれながらも、目を離せない。


モンスターの動き。


攻撃。


反応。


全部を、無意識に追っている。


(これ……)


違和感。


また。


さっきの料理と、同じ種類の。


(なんか似てる)


説明できないけど。


同じ“気持ち悪さ”。


その時。


モンスターが、ぴたりと動きを止めた。


一瞬。


本当に、一瞬だけ。


静止する。


「……?」


ノアも警戒したまま動かない。


マイケルも、目を細める。


次の瞬間。


ギギ、と。


ゆっくりと。


その“顔”が...


こちらを向いた。


正確には。


ロゼリアを。


(……は?)


目が、合う。


濁った瞳。


焦点がないはずなのに。


確実に、こっちを見ている。


「ロゼリア様、下がってください」


セリアの声が、少しだけ強くなる。


でも。


足が、動かない。


(なんで……)


視線が、外せない。


モンスターの口元が、わずかに歪む。


笑ったように見えた。


ありえないのに。


(今の、絶対おかしい)


心臓が、嫌な音を立てる。


ドクン、と。


強く。


(これ、ただのモンスターじゃない)


はっきりと、そう思った。


いよいよ最終章に突入だ!


--


著者情報:

名前(偽):山村 宏

年齢:20歳未満

身長:私も分かりません。

好きな作品(漫画):GANTZ、チェンソーマン、極楽街 、など。

好きな作品アニメ:Shirobako、ゆるキャン、わたなれ、斉木楠雄のΨ難

好きなシリーズ:牙狼 ⟨GARO⟩シリーズ、ブレイキング・バッド、ウォーキング・デッド

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