#11 僕・私の、彼女・彼氏です
夏休みも早いもので終わり、日々が光のように過ぎ去ってゆく。
「あ゛ー……あぢい……あっちぃよぉ……秋なのにぃ……」
「よっちゃんにさんせー……」
今日は、僕の家によすがが来ていた。
——そして、よすがのお姉さんのまゆさん、よすがのお父さんの槙人さんも。ついでに姫と母さんも。
「あ、で、お父さん、お姉ちゃん。この男の子が、皇王君。頭が良いの、学年でいっつも五位以内! しかも優しいし、穏やかで物静かで落ち着いてて……そして、私の……彼氏、です」
「「……」」
「母さん、姫。この女の子が、常盤よすがさん。運動神経が滅茶苦茶良くて、優しくて、パワフルで、見ての通り滅茶苦茶美人で——僕の、彼女」
「「……」」
そう、ここに二人の家族皆がいる理由は、恋人のことを各自知らせる為。……褒めるのって滅茶苦茶恥ずかしいんだね。
「も~……はいはい。これじゃあ、私たちが反対したってどうにもならないわね。……そんなにラブラブなんだったら、結婚までしちゃう?」
「「……あ……」」
「いや、あの……」
「もう、プロポーズ、され、ました……」
「「「「えぇっ⁉」」」」
「王から、結婚しようって……ね、王」
「……、うん」
「あぁ、もう……王ちゃん」
母に呼ばれ、僕は「ん?」と言って前に座る。
「、有難。安心したわ。あの人のことは、気にしないでいいから」
母さんの言う「あの人」とは、僕たちの父のことだ。
父は僕が6歳の時行方不明になり、その2年後父が殺したと見られる名倉真樹さんという人の白骨死体と、自殺した父の遺体が発見された。父のせいで、その後母さんは休めなかったから、10歳の時倒れてしまったんだ。あの時のことは、鮮明に覚えている。「もう、無理はしないで」って、約束したんだ。
僕は、ふっと母さんに向かって微笑み、言った。
「うん。有難う、母さん」
「ええ」
「お父さん、どうだった? 王」
帰り道。私は、お父さんにそう問うた。
「うん。あの子は、穏やかで、優しくて、柔らかな子だ——あの、髪や瞳の茶色のように」
「でしょっ⁉」
「それでいて、しっかりしている。頭も良いんだろう? お前のパートナーにぴったりだ。ちゃんとストッパーになってくれるだろう。……だが、あの子は……王君、でいいか? 王君は、重荷を一人で抱え込むタイプで、しかもそれを隠すのが上手いんだと、思う。よすが、お前も王君をしっかり支えろよ」
「……っ、うん……っ」
私は、そのお父さんの言葉にしっかりと頷き、心の中で「絶対に王を支える」と決心をした。
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