#10 彼女vs妹
「お、お邪魔しまぁ~す……」
「狭いでしょ? まぁ、自分の家だと思って寛いでよ」
「いや、流石にそれは……」
「へぇ、よすがにもそんな礼儀はあるんだ」
そう僕が茶化して言うと、よすがは
「私を何だと思ってるの⁉」
と怒った。
「ふふ、冗談だよ。んで、これが妹の姫。姫、これが彼女の常盤よすが。自己紹介して?」
「初めまして、皇王の大好きな、いつも一緒に暮らしてる、妹の皇姫です。宜しくお願いしますね、お兄ちゃんの彼女さん?」
……ん?
「初めまして、皇王の大好きな、いつもデートしてて笑顔だけで王を取り乱させた、彼女の常盤よすがです。宜しくね、王の妹さん?」
……んん……? 姫も、よすがも、笑みを浮かべて普通(?)に自己紹介してただけなのに、二人の間に火花が散ってるように見えるのは、僕の気のせいかな?
「……お茶淹れるね」
僕は気まずくなり、そそくさとこの場を離れた。
「常盤さんは、お兄ちゃんとどの位お過ごしなんです?」
「一年にも……満たない、かな?」
姫はそれを聞き、ふっと勝ち誇った笑みを浮かべた。
「わたし、小四なんです。お兄ちゃんと十年もの間過ごしたんですが……一年にも満たないとは。いやぁ想像以上に少ないですね。そんなんでお兄ちゃんと恋人になりたいと思うとは……浅はかですねぇ」
「いや、一年にも満たないからこそ、王を取り乱させたのは凄くないかな? しかも、毎日デートしてるし……家にも来てるし? キスだってしてるし? ん~、確か……二回、したんだっけな? まあまだ百回以上はするだろうけど?」
「わたしたち家族にキスの回数で抗おうとは。ますます浅はかに思えて来ましたよ。わたしたちは……そうですねぇ、毎晩毎晩、お休みするときにいつもやりますね。いやぁ当たり前すぎて気づきませんでしたよ」
「ふふ。そんな風に当たり前になって気づけなくなる位なら、特別なキスの方が甘くて良いんじゃないかな? それとも何かな、対抗意識を燃やしてるのかな?」
「対抗意識を燃やしているのはそちらではないですか? ふんっ、子供相手に大人気ないですねぇ。えぇ、浅はかです。わたしはお兄ちゃんの妹なんですよ? 貴女如きに負ける気はしませんね。まあ、運動神経は良いみたいですから、それでは負けると思いますけど、それ以外だったら……うん、勝ちますね」
「そんなに私と勝負がしたいの? でもさぁ姫ちゃん、それは大人を舐め過ぎじゃあないかな? 小四……たった十年だけ生きて来た小四と、十六年も生きて来た高一……しかも特進。そんな二人が勝負したら、火を見るより明らかだよね? 結果」
「えぇ、火を見るより明らかですね……わたしが勝つということは。いやぁ自分からまさか負けを宣言するとは……吃驚ですよ、然しものわたしでも。ふふ、じゃあ勝負はなしですかね?」
「そんなこと言って、何とかして負けを回避しようとしてるの?」
「……は?」
「は?」
やばいところまで行ってる……っ。
「……はい、お茶。あのね姫、よすが、勝負はやめようね?」
「「何で」」
「僕がやだから」
「「……まぁ、それなら……」」
「常盤さんが負けって言ってたしね」
「姫ちゃんが何とか負けを回避しようとしてるからね。いいよ」
「……。あのね」
僕は、そんな一触即発の二人に頬をひくりと引きつらせる。
「姫? ん~まぁ、小四にしてはめっちゃ頭良いお前が、高一にしてはちょっと……いや、結構馬鹿なよすがに勝てるのは勝てるんだけどね? 兄ちゃんその内『面倒臭い妹』って思うかもよ?(嘘だけど)」
そう言うと、姫は血相を変え、「それは駄目ぇっ!」と言った。……はい釣れた。
「よすが? あのね、大人気なさすぎだよ? んなことやってたらその内僕新しい女の子と付き合い出して、別れようって言うかもよ?(嘘だけど)」
そう言うと、よすがは血相を変え、「それは駄目ぇ!」と言った。……はい釣れた。
って言うかこの二人似てんな。普通に仲良さそうだし……。
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