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ゴブリン掃討作戦! スキルなしでもパーティー組めますか!?

「さて――じゃあ、本気でやるか!」


ギルドの掲示板に貼られた『ゴブリン掃討クエスト』を前に、ヒロトは意を決してつぶやいた。


が。


「……いや、お前ひとりで行く気じゃないよな?」


隣で腕組みしていた筋肉武将・エドワードが、じと目で睨んでくる。


「い、いえ……さすがにそれは無理です」


「当然だ。Cランク以上のクエストは、普通パーティー組むもんだ。ソロで行って生きて帰るヤツなんて、チート系転生者か、バグの塊くらいだ」


「そんなに極端……」


とはいえ、ヒロトには、パーティーを組むという発想が今までまるでなかった。スキルなしだと、どうしても人の輪に入りづらい。


(でも、こういうときこそ勇気を出さなきゃ……!)


ヒロトは意を決してギルドホールを見渡した。


そこには――様々な転生者たちが、思い思いの装備でくつろいでいた。


空を飛べる魔法少女風の少女。手から氷を出せる元・理系大学教授。爆発しかできない中二病こじらせ戦士。そして、クラウス(元・声優)がなぜか鏡の前で発声練習をしている。


「うわあ……濃い……」


誰に声をかければいいのか、完全に迷子になった。


そんな中、ヒロトの肩をポンと叩いた者がいた。


「やあ、また会ったね、ヒロト君!」


「クラウスさん!?」


声だけで5メートル先まで聞こえそうなテンションで、クラウス=ウィンド=ヴォイスアーツが現れた。


「キミ、あのゴブリンクエストに行く気だって? ならば僕も同行しよう!」


「えっ!? いいんですか!?」


「ふふ。実は僕、今ちょうどパーティーを編成中でね。キミみたいな無垢な一般人の存在が、パーティーにリアリティと緊張感をもたらすのさ!」


「それ褒めてます!?」


「もちろん!」


こうして、半ば勢いでパーティー入りが決まった。


クラウスの他に、彼の知り合いの冒険者も参加していた。


一人目は、スレンダーな女性剣士・レイナ。無口で寡黙だが、実力は本物。


もう一人は、ふんわりとした見た目の癒し系魔法使い・ルミナ。転生前は薬剤師らしく、回復と補助魔法に特化している。


「えっ、みんな強そうなんですけど……そこに俺が入って大丈夫ですか?」


「問題ないさ、ヒロト君。キミには一般人目線での危機察知力がある!」


「それたぶん、ほぼビビりのことですよね!?」




そして翌日。


一行は街の東側にある、森に近い村へと向かった。


現地に着くと、村長が青ざめた顔で出迎えた。


「ゴブリンどもは夜になると畑を荒らし、家畜を襲い……中には、子どもをさらわれた家族も……」


「許せんなッ!」とクラウスが突然、叫ぶ。


「この僕、クラウス=ウィンド=ヴォイスアーツが、愛と怒りと哀愁を込めて貴殿らの平穏を取り戻してみせよう!!」


「うるさいですけど、ちょっと頼もしい……」


ヒロトは妙な安心感を覚えていた。




その夜。


一行は森の中に潜むゴブリンの巣を発見した。


洞窟の前に、数体のゴブリンが見張りとして立っている。


「数は……10体くらい。奇襲できれば有利ですね」とレイナが低い声で言った。


「では、始めようか。第一詠唱――」


「ちょ、ちょっと待ってください! 奇襲なのに叫んじゃダメですって!」


「む、確かに……」


クラウスはしぶしぶ声量を落としたが、それでも演劇的な発音が漏れている。


ヒロトは手に汗を握りながら、棒を構えた。


(今回は戦闘も本格的。俺が足引っ張らないようにしなきゃ……!)


ルミナが小声で囁く。


「ヒロトさん、怖かったら無理しないで。私が後ろで守るから」


「……ありがとう。でも、俺も一歩でも前に進みたいんです」


笑って言ったその瞬間――


「ギギギィィィ……!」


ゴブリンの一体が気配を察知し、仲間を呼び始めた。


「見つかった! 来るよ!」


「全員、戦闘開始ッ!」




戦闘は混沌を極めた。


レイナは正確無比な剣術で敵を切り裂き、ルミナは回復魔法で味方をサポート。クラウスはスキル詠唱と爆音ボイスでゴブリンたちの鼓膜を破壊しつつ雷を降らせていた。


ヒロトは……というと。


「くっそ、俺にできることは……!」


足元に転がった石を拾い、ゴブリンの視界をそらすために投げつけた。


「やった、当たった!? ……でも、これ地味すぎでは!?」


だが、その石で怯んだゴブリンを、レイナが一刀両断。


「……ナイスサポート」と、小さく親指を立てられた。


「へへっ、やった……!」


ヒロトは、スキルも魔法もないなりに、戦場でできることを必死に探していた。


そして、洞窟の奥から――ひときわ大きなゴブリン、ゴブリンロードが現れた。


「こいつは……Bランク相当だ!?」


「くっ、詠唱時間が足りない……!」


「ヒロト、時間を稼げ!」


「なっ、俺が!?」


恐怖が全身を走った。


でも、それでも――


「わ、わかりましたッ!」


ヒロトは、ただの木の棒を握りしめ、ゴブリンロードの前に立った。


(足が震える……でも、俺が逃げたら、誰かが傷つく!)


「おりゃあああああああああ!!」


棒を振りかざし、必死の時間稼ぎ。


その姿に――クラウスの声が重なった。


「ヒロトくん! よくやった! 今こそ――真・詠唱だ!!」


「ボイス・アンリーーーーーーッシュ!!」


――雷が空を裂き、ゴブリンロードを貫いた。


戦いは、終わった。




「やった……勝てた……」


ボロボロになりながらも、ヒロトは笑った。


「君、いい根性してるね」とクラウス。


「……悪くなかった」とレイナ。


「すごく、かっこよかったですよ」とルミナ。


ヒロトの『存在感』が、パーティーの中に確かに刻まれていた。


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