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3.すすきヶ原に、月は堕つ ~ 月はこちらに

【美容師の娘】2-220.【閑話】3つの月

  ※ホントは2-122.誤記です。

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/156/

【美容師の娘】 2-110.カジノ革命 18

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/146/

 を、お読みになってから、本文を読むと、より楽しめるかと思われます。

「ねぇ、アリー。 聞いてよ。

 ロナウド、詐欺に あっちゃってさ。

 持っていた土地を 取られちゃったんだ。」


赤い髪の道化ロナウドが、アリーとオリンピュアスに 話しかけてきました。


「うん。 知ってる。

 だって、私も、オリンピュアスも一緒にいたじゃない。」


「そうですわ。

 あの詐欺師へのお仕置きは、わたくしが 致したのですわよ。」


「あぁ、そうだったっけ?

 ロナウド、あの土地を 買い戻したいんだ。

 だけど、お金が無いの。

 だから、アリー。 これ、買ってくれない?」


赤い髪の道化 ロナウドの広げた手の上には、大きな石がキラキラと光っていたのでした。



*****************



「カグヤが、カグヤが、月に帰ってしまいます。」


「えっ? 飛ぶ牛車で、月に連れ去られそうになってるの?

 おっけぇい。 月に帰れないようになればいいんだね。

 ロナウドに、まかせてっ。」


ロナウドは、月に向かって手を広げました。


「えーい、月なんか壊しちゃえっ。」


 ドーーン


こうして、今、ロナウド・マックフライ氏によって、破壊されてしまった 4つの月が、空に浮かんでいるのです。



*****************



その頃、王都では、騒ぎが起こっていました。


「あれ? おかしいぞっ。

 一番右の月が、変だ。

 4個目の月が、だんだん 大きくなってきている。」


なんということでしょう。 4つに分裂したうちの 1個のお月さまが、だんだんと 大きくなっていくではありませんか。


「大変だっ。 月が、月が・・・落ちてくるっ。」


王都の人々は、パニックです。


ひとびとは、皆争うように、西や東の辺境へと 避難を始めました。 夜の街道は、ごった返し 大渋滞。 王都は、いったい どうなってしまうのでしょうか?




[美容師の娘シリーズ]  【 え?割れた月がこっちに向かってくる? 】




ここは、すすきヶ原。 恋人たちの 秘密の場所です。



 ―― こんなきれいな夜は、星たちが、舞い降りてくる



「ミスカーちゃん。

 あの大きな月は、全部の星たちの中で、一番輝いているんだ。

 きっと、あれは、ボクたちを照らしているんだよ。」


「そうなの?ミスク君。そっかぁ、どんどん大きくなっているね。」


2人の恋人が、ススキの茂みで、空を眺めています。


「どんどん大きくなるのは、ボクの愛と一緒だよ。」


「わたしたち、ずっと一緒だよね。」


「もちろんだよ。 ミスカーちゃん。」



*****************



月が、落ちる・・・。 いったい、誰がそのようなことを 考えたことがあったでしょうか? いえ、王都に住む住民の誰もが そんなことを考えたことは、なかったでしょう。



「おい、ロナウドっ。 どうする気だ?」


白スーツに 白いひげの カネールさんは、杖を持っていない右手で、赤い髪の道化師ロナウドの右肩を掴みました。


「んー? なにを、どうするんだい?

 ロナウドは、いつもと 何も変わらないよ?」


「あの月を見ろっ。

 どんどん 大きくなっておる。」


「あらぁ? おじいちゃん、あの隕石にビビってるのかい?

 ふーん。 でっかい図体してながら、臆病だね。

 このチキン野郎っ。」


「なにっ? 臆病者だと・・・っ。

 誰にも・・・ ティキンの悪口は、言わせないっ。」


何ということでしょう。 月が、この地表 向かって 落ちてきていると言うのに、王都の真ん中で、白スーツの カネールさんと、赤髪アフロの道化 ロナウドが、争い始めたでは ありませんか。


どこからともなく、声が聞こえます。



 ラウンドワン・・・ ファイトッ



カネールさんが、ステッキを 振り上げ ロナウドに攻撃を 仕掛けます。


 バーーーンッ


赤い髪の道化の右腕に、カネールさんの 杖が振り下ろされました。 ロナウドは、冷静に右腕でその打撃を受け止めます。



「小僧、触れてはいけないものに 触れてしまったようだな。

 その体に、教えてやろう。 お前の罪を。」


「ホロッホゥー。

 なぁにを、教えてくれるのかなぁ。

 ロナウド、楽しみだなぁ。 フッフゥ~。」



 バシンっ。 タンッ、タンッ、タン。



ステッキ。 ステッキ。 ステッキ。 なんと、カネールさんは、華麗にステッキを振るい、道化師ロナウドを 近づけさせません。


「ちっ。 バリツか。 厄介だな。」


『バリツ』は、タニユ・キーオが日本の『不遷流』をロンドンで発展させた新武術です。 ステッキと、柔術を組み合わせた 新しい格闘技『バリツ』。 この技をカネールさんが、つかっているのです。


これは、有名なエーロック・シャメルズが、使ったことでも 有名な格闘技で、この技を持って、ライヘンバッハの滝で、モリ・ノンリアリティ教授と戦う話を 知らない人は、王都では、居ないと いってもよいでしょう。



 鋭い 踏み込みっ!



ロナウドが、カーネルさんの 嵐のような ステッキの弾幕をかわし、懐に飛び込みます。



 ダンッ



なんと、カネールさんの体が、後ろに吹き飛んだではありませんか。 そこにあったのは、左ひじを突き出したロナウドの姿。


これは、『裡門頂肘』です。


『八極拳』と呼ばれる武術の ヒジを使った攻撃技を ロナウドがカネールさんに 仕掛けたのです。 この技は、相手の懐に入り、その体を内側からすくい上げるようにして、肘打ちを叩き込む技っ。


カネールさんは、大丈夫でしょうか?


「んー、おじいちゃん。 いつまで寝てるんだい?

 自分で、後ろに飛んだくらい、分かってるんだよ。」


「ふんっ。

 目を離したら、ステッキを叩き込もうと思ったが・・・。

 まぁ、無理かっ。」


何ということでしょう。 カネールさんは、攻撃を食らった瞬間、自ら後ろに飛ぶことで、ロナウドのヒジ攻撃・・・『裡門頂肘』の衝撃を なかったことにしたのです。




「おいっ。 あんたら、こんな時に何をしてるんだいっ。

 月が落ちてきてるんだぞっ。

 見ろよっ。 さっきより、大きくなっている。

 早く逃げないと、大変なことになるぞっ」


2人が、道の真ん中で 格闘し続けていると、見かねたおじさんが、声をかけます。



「おじいちゃん、ちょっとヤバい状況みたいだね。

 休戦といかない?」


さすがの道化師 ロナウドも、あまりにも はやい 月の落下に、焦ってきたみたいですね。


「よかろう。 あの落ちてくる月は、厄介だ。

 協力して、隕石を どうにかしようではないか。」


あぁ、良かった。 一時は、どうなることかと思いましたが、2人は、協力して、月の落下に 対応するようです。


「うん。 おじいちゃん。 いい感じ。

 そうやって、両手で筒を作って、風を打ち出すんだ。」


赤い髪の道化 ロナウドが、白いスーツのカネールおじいちゃんに教えているのは、風魔法を使ったオリジナル技『マックフライ砲』。 突き出した両手から、圧縮した風を 打ち出す必殺技です。


「じゃぁ、あの落ちてくる月に向かって打つよ。

 タイミングを上手く合わせてね。」


「あぁ、お主の呼吸に合わせよう。

 我らが、王都を守るのだ。」



 ―― マックフライ砲手筒っっっっっ



2人の声が、重なって聞こえます。 そして、それぞれの両手から打ち出された、マックフライ砲は、落ちてくる月を 確実にとらえました。 落下していた 月が吹き飛び、キラキラと その破片が辺り一面に、降り注ぎます。


「やったなっ。」


「うーん。 おじいちゃんすごいねぇ。

 まさか、初めてで、マックフライ砲を成功させるなんて。」


握手している2人の肩を、月の破片の反射が照らします。


王都は、この二人の活躍で、落下する月から救われたのです。



*****************



「あぁ、キレイ。 空から何か降ってくるわ。」


「ミスカーちゃん。 月の欠片だよ。」


夜露に濡れるススキの中で、降り注ぐ光が 恋人たちを包みます。


「ほら、ミスカーちゃんに ピッタリだ。」


落ちてきた、月の欠片の中でも、一番キラキラと光る大きな石。 ガラスのように透き通って、光を放ちます。 ミスク君は、ミスカーちゃんの手を取り、そっと、月の欠片を握らせました。


2人の恋人は、空を見上げたまま、呟きました。


「わたし、あなたのことが、好きよ。」


「ボクもだよ。ミスカーちゃん。」


月の欠片を握った、ミスカーちゃんの左手の上に、ミスク君の右手が、そっとのせられます。


4つの月の1つは、砕けてしまいましたが、まだ3個残っています。 月明かりが、そっと2人を照らします。


優しい月光に包まれながら、そっと重なる2人の影。


どうか、みなさん、声をかけないで上げてください。 そっとしておいてあげましょう。


王都の騒動も、プリンセスカグヤも、マックフライ砲も、恋人たちには、関係ありません。 ただこのキラキラと月のような未来だけが、2人の前に、ひろがっているのです。



*****************



「ってことで、これが、その時の月の欠片っ。

 いっちばん 大きくて、輝いているやつだよ。

 アリー。 これ、買ってくれないかな?」



なんと、赤い髪の道化ロナウドは、月の欠片と言い張り、キラキラ光る石を アリーに売りつけようと しているようです。


「えっ? これ、ただのガラス玉に 見えるけど?」


「そうですわね。

 どう見ても、ただの ガラス玉ですわっ・・・。」


「そんなぁ。 こんなに由緒正しい石なのにっ・・・。

 ひどいっ。 ガラス玉なんてっ。

 ボクの心は、この ひび割れたビー玉のように傷ついたよ。」


「やっぱり・・・。 ガラス玉なんじゃないっ。」


「そうね、自白しましたわね。」



ぽいっ。



「あぁ、投げないでっ。 ロナウドの月の欠片がぁぁぁ。」


悲鳴をあげる ロナウド。



=== ===== === ===== ===



投げ捨てられた 月の欠片は、地面でただ、キラキラと 光り輝いていましたとさ。


めでたし。 めでたし。



=== ===== === ===== ===

蛇足.ディープ・インパクト


 今月の、23日、日本時間では24日の午後です。


 アメリカで、小惑星に、探査機をぶつけて

 その軌道を変更させる実験を行うそうです。


 もし、地球に小惑星がぶつかった場合、

 ちいさなものでも、都市の壊滅が起こったり、

 場合によっては、地球全体が壊滅的な被害を

 受ける場合があるので、その予行演習だと

 いう話です。


 もしかすると、ホントは、小惑星は、地球にぶつかる

 予定なので、探査機をぶつけて軌道変更させるけれど、


 パニックが起こったら、大変なことになるので、

 それをごまかすために、こういう発表になったのかも

 しれませんね。


 といった小説が、かけそうです・・・ん?あれ?


 なんか、聞いたことがある話です。


 と、いうことで、


 ①『ディープ・インパクト』

 1998年のアメリカ合衆国の映画。

 

 核爆弾で、彗星を破壊しようとしたら、

 彗星は、2個に割れるだけで、地球に

 ぶつかる軌道が、よりひどくなったけれど


 割れた彗星の、大きい方は、なんとか違う

 核弾頭で破壊し、小さい方は、地球にぶつかって

 たいへんなことになる話。



 ②『アルマゲドン』

 1998年のアメリカ合衆国の映画。


 地球に衝突しそうな小惑星に、核弾頭を埋めて

 爆発させたら、彗星が2個に割れて軌道が変わり

 助かる話。


 なお、最初に検索して調べた映画はこれでした。


 ③『インデペンデンス・デイ』

 1996年のアメリカ合衆国の映画。


 宇宙人が、宇宙船で攻撃してくる話。


 いや、再放送で見ただけの古い映画って、

 なかなか、名前が覚えられないんですね。


[美容師の娘シリーズ]  【 月の女神 カグヤ姫 】。

 わたし、結婚しないって言ったのに・・・。じゃ、燃やすね。

https://ncode.syosetu.com/n6255hh/

【美容師の娘】2-220.【閑話】3つの月

  ※ホントは2-122.誤記です。

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/156/

【美容師の娘】 2-110.カジノ革命 18

https://ncode.syosetu.com/n6487gq/146/

 を、お読みになってから、本文を読むと、より楽しめるかと思われます。

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