2.土地台帳書類の偽造
そのころ、小悪党デップと、その弟分のジョニーは、法務局で、土地台帳を閲覧していた。
「アニキ、土地台帳の閲覧なんて、誰でも できるんですか?」
「あぁ、そうだ。ジョニー。
あまり知られていないが、申請さえすれば、簡単にできる。」
土地台帳とは、もともとは、土地に対して課せられる租税徴収のために、設けられた課税台帳だ。 固定資産税の徴収を行う税務署と、法務局が 保管してある。
デップは、手に唾をつけながら、台帳の羊皮紙をめくる。
「ほら、ここだ。
この土地は、ロナウド・マックフライの所有になっている。」
「そうですね。アニキ。
しかし、こんなのを見て、何になるんです?」
「まぁ、見てなって。
おい。そっちに立って、向こうの職員から見えないようにしろ。
不自然にならないように、うまく動けよ。」
「へいっ。」
弟分のジョニーを 目隠しにし、小悪党デップが取り出したのは、本物の台帳そっくりの1枚の羊皮紙。 そして、するりと手を伸ばすと、『ロナウド・マックフライ』の名前が書かれた 本物の羊皮紙と、『デップ・スパロウ』と書かれた偽物を 差し替えた。
「よしっ、もういいぞ。」
「アニキッ、こんなことして大丈夫ですかい?」
「果実を得ようと思ったら、多少のリスクは覚悟するべきだ。
だが、おそらく大丈夫だ。
賃借契約が、終了されるタイミングだからな。」
工房が、全設備を休止するだけでなく、再稼働は前提とせず、全面閉鎖するならば、地主の『ロナウド・マックフライ』と、ビッグキング羊皮紙社『法王工房』との賃借契約の登記が、書き換えられるはずなのだ。 この時、参照するのは、法務局の土地台帳である。 これを見ながら、賃借契約の登記を取り消した 新たな台帳が作られる。 そう、オレ様 『デップ・スパロウ』の土地として 法務局の台帳が新たに作り直され、それが写されて、税務署と登記簿に 新たに 綴られることになる。
「なるほど、アニキ。 考えましたね。
このタイミングでなければ、他の台帳と見比べられて、アウト。
だけれども、新たに作り直されるタイミングならば、バレない。
こいつぁ、うまいい手だ。 さすが、アニキだっ。」
「まぁな。 今日は、うまい酒が飲めそうだぜ。」
[美容師の娘シリーズ] 【 2.オリンピュアスのお仕置き 】
「先輩、昨日の合コン、ひどいんですよ。」
「なにがだ?」
「相手の女の子、5人いたんですけどね。
4人が、彼氏持ち。」
「おいおい、何しに 合コンに来てるんだよ。
で、どうなった。」
「一応、盛り上がって、2次会に行くことになったんです。
だけど、1次会の会場を出た途端、彼氏が迎えに来てて・・・。
1人残った子も、帰っちゃうし、やってられませんよ。
だいたい、1次会の費用は、男もちですよ。 全部。」
「詐欺だな。 まぁ、大した金額でもないだろっ。
そういえば、工業用水の負担金、解決したらしいぞ。」
「えっ? どうなったんです?」
「局長が、6つ全部の事業所を、回ったらしい。」
「まさか、説得したんですか? 全員を?」
「いや、州政府が、増加分を、10年負担することになった。
今ある事業所は、そのままの料金を支払う。
新たに参入する事業所や、土地の所有者は、3倍だ。
政治決着だよ。 政治決着っ。」
「まぁ、妥当な所でしょうね。
10年後なんて、何社、残ってるか、分からないですし。」
「それに、10年たてば、局長も、課長も、退職してる。
責任は、取らなくていい。」
「あの・・・ ボクらが、責任を取ることになりません?」
「いや、気にしなくていい。
前任者の責任だからな。
尻ぬぐいをしてますって顔をして、頭を、下げておけばいい。」
「なるほど、さすが先輩っ。
それはともかく、今日、お昼、おごってもらえません?
昨日の、合コンのせいで、金欠なんすよ。」
「無理だ。こっちは、こずかい減らされてるんだよ。
自分で、何とかしやがれっ。」
「あぁ、今日は、昼食抜きか・・・・。」
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ここは、マシミマウ州のミカン畑。
私と、オリンピュアスは、カワノエ農園まで、みかん狩りに来ている。
「アリー。ミカンって、思ったより、甘いですわね。」
「そだね。 11月初旬からは、早生みかんだから。
極早生よりも、ちょっと、糖度が高いのよ。
10月ごろのより、甘みがあるんだと思うよ。」
その時であった。 突如、大きな炸裂音がした。
どーーーんっ
みかんの木に、風の塊が、ぶつかったのだ。 バラバラと、ミカンが木から落ちてくる。
「あぁ、コレ、楽だね。 高い所の実まで 落ちてきた。」
「ちょっと、アリー。
なんで、落ち着いて、みかんを拾っていられますの?
いまの風の衝撃はなんですの? ビックリしましたわ。」
「んー。 あれ、マックフライ砲だね。
ライレーンは、東の辺境に行っちゃったもんね。
だから、使えるのは、マックフライさんだけ。
どこかに、マックフライさんが 居るんじゃない?」
きょろきょろと、あたりを見渡すと、赤いアフロが、遠くに見えた。
「ほら、あの赤いのが、マックフライさんだよ。きっと。」
「あぁ、アリーと、オリンピュアスじゃないか。
聞いてよ。 ボクの土地が、取られちゃった。」
「ん? どうしたの? もぐもぐ・・・。」
んー、このミカン、ちょっと、酸っぱいね。
ロナウド・マックフライ氏が言うには、書類を偽造され、所有していた土地を 悪党に取られてしまったらしい。 しかも、州知事によるハンコが押されてしまったため、これを覆すことも できないとか・・・。
「場所は、どこですの?」
「法王工房っていうのが、あったところだね。」
「それならば、仕返しは、出来ますわね。
取り返すことは、難しいですけど。」
「ホントかい?
仕返しが出来るなら、その方法を教えてくれるかい?」
「簡単ですわ。 一緒に参りましょう。
アリー、馬車で向かいますわよ。」
えー。 まだ30個しか、みかん食べてないのに・・・。 めんどくさいなぁ。
オリンピュアスと、マックフライさんと馬車に乗り、ぽくぽくぽく・・・。 30分ほどで、法王工房跡地に着いた。
スタスタと、敷地内に、オリンピュアスが、入って行く。 後ろには、マックフライさんと、私・・・ うん、不法侵入だ。
「水道の蛇口を全部、出しっぱなしにするのですわ。」
え? それって、大したことのない いやがらせじゃん。
「いいえ。ここは、羊皮紙工房ですから。量が違いますわ。
あの大きな元栓の部分も、開きますわよ。」
オリンピュアスって、水道の使用量に詳しいとか、案外、庶民的なのね。
「エイペロ家に、州知事が、嘆願に来たのですわ。
水道料金を、王国に10年助けてほしいと・・・。
ですので、この州の工業用水については、理解していますわ。」
ふぅん・・・。 っていうか、蛇口、多すぎじゃない? この工房・・・。
汗だくになりながら、水道の蛇口を全部・・・ それから、大きな元栓も全部を開けていく。 あぁ、私、ミカン狩りに来たのにぃぃぃ。
「うふふっ。 人の土地の乗っ取りだなんて・・・。
そう、うまくは、いきませんわよ。」
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「アニキっ。 土地は、どうなりやしたか?」
「ジョニー。 問題ない。 州知事の印鑑が押されている。
この登記書類さえあれば、だれが何と言おうとも、大丈夫だ。」
「じゃぁ、土地を拝みに 行きやしょう。
ここ1か月、何にもしてないので、退屈すぎやす。」
「そうだな。 ほとぼりを冷ますために、1か月待ったからな。
そろそろ、見に行った方が、いいだろう。」
工房跡地は、水の匂いが 充満していた。
「アニキ、なんか、下がビショビショですぜ。
水漏れ ですかね?」
「ちくしょう。 水が出しっぱなしじゃねぇか。
ジョニー。 栓を閉じろ。 スグにだっ。」
慌てて2人は、水道の蛇口を 絞めて まわる。
「っていうか、蛇口、多すぎだろっ。 この工房っ。
ふざけんなっ。」
やっとのことで、蛇口を絞め終わった小悪党2人組・・・。
「ちわっー。 『デップ・スパロウ』さん宛ての郵便でーす。」
そこに現れたのは、人のよさそうな顔をした、郵便屋さんであった。
「ん? 郵便? 誰だ・・・?」
「マシミマウ州企業局水道課 東部工業用水道事業部門?
アニキっ、なんか、水道課からみたいです。」
「おう、かしてみろっ。」
渡された、郵便羊皮紙を 広げるジョニー。
「なんじゃ、この金額はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ。」
羊皮紙に記載されていたのは、1か月分の水道代。 しかも、3倍の金額であった。
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こうして、マックフライ氏のものであった土地は、工業用水負担金の代わりとして、州政府に 代物弁済されることとなったのである。
オリンピュアスのお仕置き成功。 めでたし めでたし・・・。
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【美容師の娘】
3-01.より短編閑話・・・オリンピュアス様が、活躍するお話
【美容師の娘】
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【美容師の娘シリーズ】
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ジョニー・スパロウ ⇒ 『デップ・スパロウ』 に 修正いたしました。




