4.ござる再び
朝食後間もなく遼太が起きた。
心配して寝室で遼太を見守っていた妻が俺を呼んだ。俺は皿洗いをしていた。家事は分担システムだ。
「それでどうだ、遼太は?」
部屋に入るなり妻に聞いた。妻は涙を流しながら首を振るばかりだった。
「主人、クロードでござる。ご子息でなくて申し訳ないが、こちらも急を要する事態ゆえお許しいただきたい。」
「申し訳なく思ってるなら出てってよ!」
「まずは拙者、腹が減って仕方がない。何か用意してもらえぬだろうか。話はそれから致そう。」
「自由人か!こっちの話を聞かないな。
まずはいろいろと説明してくれ。こっちも息子の身体を乗っ取られてるんだ。聞く権利がある。」
妻は放心している。仕方ない。
「沙苗、沙苗。しっかりしろ!ショックなのはわかるが、肝心なことを思い出せ。
こいつは中身は別人になっても遼太なんだ。とりあえず今はしっかり食べさせてやろう。」
俺の言葉にハッとしたのか、沙苗は部屋を出てキッチンに向かった。
俺は遼太をダイニングテーブルに誘導する。
「えーと、年下だから呼び捨てでいいな、クロード。
まずは腹ごしらえをして、それからもう一度最初から説明してほしい。
その前に一つ確認だが、遼太はちゃんと無事なんだろうな?」
「主人、それは安心してほしい。遼太殿は無事でござる。
その証拠は拙者が憑依できていることでござる。この術は死者には憑依できない故。」
「じゃあ遼太は今どんな状態なんだ?頭の中でお前と会話できたりするのか?」
「いや、遼太殿とは会話もできなければ、記憶や感情を共有したりもできぬでござる。
拙者も詳しいわけではないが眠っているような状態だと言われておる。」
「詳しくないのかよ…」
妻が朝食を目の前に差し出した。車の形をした子供用プレートだ。組合せがシュールだ。
「奥方、かたじけない。遼太殿が普段食べている物を用意したのでござるな。頂くでござる。」
器用に子供用フォークを使って行儀良く食べている。
「わたしの出る幕がない…寂しい…けど楽ちんかも…」
いつもなら妻が付きっきりで食べさせ、口回りやテーブル回りは食べこぼしで汚れまくるのだが、その心配もなくなり楽だ。
妻と二人してただ遼太を見つめていたが、食べ終わったクロードが徐に話し始めた。
「奥方、馳走でござった。
では始めから説明するでござる。」
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ござる言葉がむずかしい…
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