10.ドヤッ!
「この湯を沸かす道具も温める箱も拙者の城にもあるでござるが、この箱はただ温めるだけとは違う様子。ママ殿が氷室から取り出した蒸しパンなるものがあっという間に湯気の立つ温かいものになったでござる。」
「向こうで食べながら話しましょう。」
もっと驚くかと思ったけど、魔法具があるって言ってたから家電に似たようなものはすでにあるのか。なんか残念だ。
「拙者の国にも類似の魔法具はござるが、いかんせん魔法石を使うために、普段は使用を控えておるのでござる。湯を沸かすだけなら火を熾せば十分である故。
氷室は夏場には代替品がない故、拙者の城でも使用してござるが一般庶民にはなかなか普及できぬ代物よ。」
もぐもぐと食いっぷりがいい。妻が嬉しそうに見ている。ふん。
「エネルギー資源がないとただのガラクタってわけね。」
「それは俺たちの世界でも一緒だな。停電したら役に立たないし。」
「エネルギーとして黒い油を使っていると述べておったが、黒い油はそのまま使えぬのでござるか?」
「黒い油も製油しないといけないし、重油・軽油・ガソリンに加工したのをそのまま使えるのは乗り物なんだ。石油を燃焼させて発電して生まれるエネルギーが電気で、電化製品はこの電気じゃないと動かない。」
「それでは油を加工するための設備に発電する設備も必要ということでござるか…」
「発電なら石油じゃなくても、太陽光や風力、水力、地熱なんかも利用できるよ。」
「ふむ、製図はござらんか?」
「あ、じゃあE-Pad持ってきて見せてあげようよ。」
異世界にもE-phoneあったらすげえチートだよな~とか思いながら持ってくる、クロードはどんな反応するかな。
「なんか本当に不思議。見た目は1歳半の遼太なのに頭脳は大人って。ギャップ萌え♡」
妻はそんなことを言いながらクロードな遼太のほっぺたをつんつん突っついている。
「止めて下され。考えがまとまらぬ故。」
なんかさっきからいちゃいちゃして見えるんだが俺の気のせいか?
「よし、これでいろいろ見られるぞ。
クロード、写真って見たことあるか?これでこう検索してーっと。これが製油所だ。」
どうだ?さすがにE-Padはないだろう?
「これはすごいでござる…
遠見の道具にしても随分とはっきりと見えるでござる。
なんと、随分と一度に複数を映し出せるとは!」
ドヤっ!もっと驚くがいい!
妻が隣で呆れ顔を向けていたことに気付かない俺であった。
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