9.びっくり反応はお約束
「まずはさ、ビデオ。持ってきて撮ろうぜ。」
「そうね、せっかくだから撮りましょう。見た目も声も遼太だもんね。
知らない人が見たらホントびっくりよね!」
「拙者は筆記のための道具を所望致す。」
「はいはい、ちょっと待ってね。
余ってるノートなかったかな…あとは鉛筆はないからーボールペンでいいっか。」
俺がビデオを取り出してくる間に、妻がクロードにノートとボールペンを渡した。
予想通りなら…
「ぬ!これは随分となめらかで上質な紙、しかも綴じ紐もなく確と揃えられておる!
この書き物はまた滑らかな書き心地、しかもインク壺も不要とは!」
ふふふ、驚いている。思った通りの反応に嬉しくなる。俺が発明したわけじゃないけど。
「あ、文字はやっぱり読めないね。日本語で話してても文字は違うんだー。」
「話す言葉は自動翻訳になっておるが、識字は翻訳されておらなんだ。魔力が足りぬ故。」
「魔力が足りない?」
「異世界間憑依の魔法陣に識字の自動翻訳まで刻んでしまうと、起動に必要な魔力が膨らんでしまう故、省略したのでござる。」
「なるほど。ってことはこっちの言葉も読めないから、わたしか彰人が読んであげないといけないってことね。」
「書物のときは宜しく頼むでござる。」
「はーい、了解。」
妻とクロードはなかなかうまくやってるな。除霊するとぐずっていたのが噓みたいだ。
「さてビデオセットしたぞ。なんだかビデオ会議でも始める気分だ。」
「ふふふ、そうね。プレゼンでも始めるみたいだわ。」
「よし、クロード。お前の世界には電気がないんだったな。
電気っていうのは便利なエネルギーで、お前の世界でいういろんな道具を動かすのに使う魔石のようなもんだ。
ただ、電気を産み出す発電所と送電する仕組みが必要になるけどな。あとは不経済だけど電池でやり繰りするか…」
「電気を使った道具のひとつが明かりね。あとはお湯も沸かせるし、調理もできるし、音楽を聴いたり、いろいろできるの。
実際に使って見せてみましょう。飲み物淹れるね。遼太にもおやつ温めてあげる。」
「おやつって何?」
「かぼちゃの蒸しパン。食べる?」
「俺は飲み物だけでいいわ。」
出た!手作りへのこだわり!
「おいクロード、手作りばっか食わせようとすんだよ、あいつ。悪ぃな。」
「食事とはみな手作りではないのでござるか?この世界では道具に作らせていると?興味深いでござる。
ママ殿、ぜひ見学させて候!」
俺としては市販のおやつの方がいいだろうって思ったんだけど、クロードにとっては手作りが当たり前だったようで、俺の気遣いは空回りしたようだ。
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