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魔界に転生した私から最後に

 地球の皆様、私は無事に陛下のお嫁さんになりました。


 前世ではイケメン慣れしていなかったのに、今世での記憶を取り戻した私はけっこうイケメンに強かったのには驚きました。転生すると、容姿も性格も変わるようです。


 王妃になって忙しくなったはずの私が、どうしてまたこうやって心の中でつぶやいているのかというと、暇だからです。公務も、社交も、ダンスも禁止され、猫のときは憧れだったはずの読書と刺繍にも飽き、やることがないのです。陛下が夕方になって、夫婦の部屋に戻られるまで、とっても暇なのです。


 というわけで久しぶりのラジオDJごっこです。


 魔女様が私を騙したのは、陛下への嫌がらせだったそうです。自分の美貌が自慢だった魔女様は、先王陛下から求婚されたことがあったそうです。しかし先王陛下には当時すでに正妃様がいらっしゃり、側妃になるよりも生まれたばかりの愛らしい王子の成長を待つほうがよいと思われた魔女様は先王陛下の求婚を断り、現陛下の成人を待たれていたそうです。しかし成人された陛下は魔女様を選ばなかったのです。


 陛下、百歳の誕生日。どうして自分と結婚してくれないのかと問う魔女様に陛下は「心から愛する人としか結婚はしない」とおっしゃったそうです。それで魔女様はあの薬を作り、陛下への意趣返しに使われたのです。


 私の手紙を読んだ陛下は、私の飲んだ怪しい薬が魔女様の手によるものだと、初めから気づかれていたそうです。魔女様は私が真実の愛を見極める薬を飲んだこと、そして真実の愛がなかったので元に戻れなかったことを国中のあちらこちらで言いふらしました。陛下は私を元に戻すために魔女様を探されましたが、魔女様は巧妙に姿を隠し、その行方をつかむことはできなかったそうです。魔女様が見つかったのは私が元の姿に戻ったあとでした。


 私が猫になってひと月もすぎると、陛下の元へ次々と新しい妃候補が現れたそうです。紹介であったり、偶然を装った出会いであったり、女官として王宮へ送りこまれてきたり。あの私を襲った女官もそのうちのひとりだったのでしょう。陛下付きの女官となり、陛下のそばで寵愛を願ったのに、猫である私を溺愛する陛下に相手にされなかった女性たちは、プライドが傷つけられたに違いありません。


 その結果、猫の私にはひっきりなしに暗殺者が送りこまれることになり、前世の記憶を取り戻すきっかけになった事件が起きたのです。


 決して少なくない数の暗殺者たちと依頼者たち、そして魔女様も、全員が極刑に処されたそうです。日本の極刑とは比べものにならないくらいの残虐な刑に。


 あまり怖いことを考えると胎教によくないので、このくらいでおしまいにします。


 地球の皆様、もしも異世界へ転生されたら、私のように波瀾万丈な異世界ライフになるかもしれません。

 ただ地球でも魔界でも、愛される喜びに勝るものはないということだけはお伝えしておきます。


 こちら魔界からリリーがお伝えしました。


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