VS I店(下) 戦友(とも)
チーム結成した私は、このI店を3人~5人で攻めていきました。
打ち子を1人~3人程雇いホール攻略していきます。
I店ですんなりとチーム結成できたことには理由がありました。
それは、戦友の存在です。
このI店で、私には戦友という存在がいました。
彼と私は、VS H店で共に闘った仲。
名は‘空’。
空もあのH店の闘いから、急成長を遂げこの激戦区に参戦。
当時、まだまだ未熟だった彼ですが、あれから各地での激戦により、イロイロと辛酸を舐め経験を積み、自分自身を何度も再構築して成長。
それにより、I店では洗練されて自信のある面構えになっていました。
I店で幾日か打つと彼と共闘を呼びかけ、さらにバイトを雇いチーム結成し、大きく勝負していきます。
あのH店の闘いから5年…
さらなる経験値を得た空の成長は著しいものでした。
空と私は十ほど年の差がありましたが、それと仕事は別問題。
これからは空と五分の付き合い。
勝っても負けても半々になります。
I店での成功は彼との共闘にあります。
人数を抱えれば、人海戦術初心者の私1人の目では行き届かない部分が必ずあるのです。
そこを2人で補えば、もっとイイ仕事をすることができました。
問題点も1人で考えるより2人の方が、新しい発想のアイデアも出てきます。
何より、この仕事に対する‘根幹’の部分が同じだったので気持ちを一つにすることが出来たのです。
私はD店での出来事で人を信用出来なくなっていたのですが、彼とまた一から出直そうと思いました。
このI店で空とチームを結成して、今後は2人でチーム運営をし、共に生計を立てていきます。
根幹が同じなら必ず同じような花が咲くでしょう。
私達はもう、‘人生という名のコイン’をベットしてしまっているのです。
私自身、決して普通に働くことが出来ないわけではありませんが、私を否定してきた輩すべてに怒りの鉄槌を下すべく、怒りのエネルギーを力に変えてこの仕事に挑んでいく所存。
この仕事の成功こそが、私の生きている証し。
誰に理解されずとも、結果を残すことでしか存在意義が表せないのだから。
金を稼いでこない俺は、ただのクズでしかない。
もう既に、この時には空と共に社会不適合な自分達がいることを理解していたのかもしれない…
なぜなら俺達は
《世で言う普通》
ということに対して、反骨精神を持ち、この生業に挑んでいたのだから。