リュースは転んだ、そのひょうしに武器がバカ息子に当たった
無手の状態で取り巻きの1人に駆け寄ると、格闘技の掌打を顔面に打ち付ける。
フリをした。
予想通りレッドキャップはその場で倒れる。
「すぐに馬車ま…まてまてまて」
トドメを刺そうとする取り巻きその1を思わず後ろから蹴飛ばした。
「何するんだ!」
「何するんだじゃねぇよ。
何トドメさして美味しい思いしようとしてるんだよ」
「こいつは僕の相手だった!
ならば、その権利があるはずだ!」
「あ、そう、圧倒的に不利で逆にトドメ刺されそうだったのにそう言う事言うんだ。
じゃあ、もう助けないから、次から頑張って」
「………」
黙り込んでる取り巻きその1に追い討ちをかけることにした。
「ここでこうやって時間かけてる分他に助けに行くの遅れるんだけど。
他の人にはお前が我儘言って助けにこられなかったって言うぞ」
「え、や、それは困る!」
「じゃあ大人しく馬車に戻れ」
「しかし…」
「ここで死ぬ、他奴から恨み買う、馬車に戻る、今すぐ選んで。
じゃなきゃもう無視して次行くから」
「分かった!戻ればいいんだろ戻れば!」
そう言うと凄い目つきで睨みながら馬車に移動する。
俺を…ん?
視線の先が俺じゃないな。
その視線の先を見るために振り返ってみると。
「マシュー!
お前何やってんの?」
「え、あぁ、魔素あれば強くなるかなぁ…なんて」
うわぁ、しっかり寄生する気マンマンじゃん。
「他のやつに恨まれるぞ」
「あ、うん、でも、もうこれ以上下がりよう無いって感じだし、せめて魔素貰っておきたいなぁ、なんて」
「お、おう、そうか」
ある意味潔いね。
ちょっと、引いたけど。
そうこうしているうちにレッドキャップが魔素に還っていく。
それを確認したので、次の取り巻きへと向かう。
今回の打ち合わせで決めたのは、バカ息子騎士団に魔素を一切渡さない。
ついでにアリシアの育成にレッドキャップを使う。
この2点だ。
そのため他のメンバーは牽制のみで、俺だけがアリシアを連れてトドメを刺していく。
バカ息子騎士団を助けるていで馬車に撤退させて、魔素は渡さない。
予定ではマシューにも渡さないつもりだったけど、ま、マシューだし良いか。
勉強したおかげで知ったけど、6人までは魔素の吸収量は変わらないらしい。
なので通常6人で1パーティが多く、そこから8、10、12、15のパーティが多いそうだ。
ザックリだけど、魔物の魔素を100とした場合、1人頭の吸収出来る上限が10で、全体の60までが吸収できて、残り40は還っていく感じらしい。
次のとりまきもウダウダ言ってきた。
その次も言ってくる。
もういっそ、レッドキャップに使ってる魔法、こいつらにも使ってやろうかと思ったけど、そこはグッと堪えた。
多分死んじゃうから。
俺がさっきから使っていた掌打もどきは、生活魔法を手のひら辺りで展開しているだけだ。
生活魔法なら、後でバレても問題ないし、消費MPも少なくてすむ。
俺が使っているのは、エアーチェンジ。
最初の説明の時に息苦しくなった時に新鮮な空気に変えるって言われた。
これって俺の前世の知識的に空気の組成が変わってるんじゃないの?
って思ったんだよね。
色々と実験した結果、この考えは正解だった。
酸素や窒素なんかの成分を知ってる俺にとって、この魔法のヤバさが激変した。
今レッドキャップ相手に使ってるのは手のひらの周辺の空気を一酸化炭素に変えている。
一酸化炭素はとても危険な気体だ。
空気中に1%含まれているだけで、わずか1、2分で昏倒、もしくは死亡する。
それを顔の周辺だけとはいえ、濃度100%の一酸化炭素にしているんだから、普通の人間なら即死レベル。
魔素で鍛えた人間や魔物なら耐えられる可能性もあるけど、人間で試すわけにはいかないので今回実験も兼ねて使ってみる事にした。
レッドキャップには効いたけど、即死ってわけじゃなかったみたいだから、魔素濃度の高い魔物だと効かない可能性も考慮しておかないとダメかも。
そんこんなで取り巻きは全員馬車に帰して、あとはバカ息子助けるだけになった。
他のやつに比べれば装備も高級で良いやつつけてるし、多少は鍛えてあるらしく、劣勢ながらもなんとかレッドキャップ相手にやり合ってる。
まぁ、疾風隊が上手く牽制して1対1の状況作ってるおかげだけど。
「おい、あとは俺がやるから馬車に戻れ」
「なんだ…無礼だな…早くコイツを…なんとかしろ!」
うーん、言葉が噛み合わない。
「だから、なんとかするから馬車に戻れって」
「うるさい!お前は…さっさとコイツを…魔素にして…献上しろ!」
なんだコイツ、寄生する気かよ。
「ハァ…」
聞こえるように大きな溜息をついて、アイテムボックスから三節棍を取り出す。
周りにはアイテムポーチって言ってるけど、とっくにアイテムボックスを使ってる。
どうせ無詠唱だからバレないし。
「じゃあ、後はやるんで、どいていて」
その言葉と同時に戦闘に割り込む。
三節棍は常に中央辺りを持つようにして使う事にした。
相手を棍の先で押すようにして距離を取ると、軽く牽制のように上から下に降る。
当然反対側は下から上に動く。
魔力を込めて接合部分をバラすと不意打ちのように相手に向かって三節棍が襲いかかる。
「フベェ!」
後ろにも伸びた三節棍に股間を強打されたバカ息子が変な声を出す。
レッドキャップはもちろん、その攻撃をかわしている。
その状態から頭上で回転させ、その勢いのまま横殴りに振り回す。
「ウギャ!」
俺の攻撃に巻き込まれないようにさっきより距離をとったバカ息子の背中を見事にとらえた。
ちょっと魔力込めて距離伸ばしたもんね。
逃がさないぞ。
致命傷にならないように、力をあまり込めないで、素早さ重視でレッドキャップを見ながらバカ息子に当てていく。
なんで見なくても当てれるかって?
俺にはティーという最強の目があるからね、周りに気づかれ無いように小声で位置を教えてくれる。
後ろからは、「フヴァ!」とか「フギャ!」とか聞こえてくる。
だいぶ距離稼げたところでトドメをさして、アリシアとマシューに魔素を吸収させる。
バカ息子が、ちゃっかり寄生しようと近づいてきた。
「おっと、つまづいた」
「ドブワァ!」
バカ息子が俺の突きでその場にうずくまった。
「いやぁ、転んだひょうしにうっかり三節棍に魔力込めちゃったわぁ」
よし、偽装も完璧だ!
有名ゲームの商人の必殺技
必ずクリティカルになる




