73話 十二部隊と四帝と王
薄暗い大きな殺風景な部屋で、細長いテーブルに
16人が向かいあって座っていた。
一番奥には、一人豪華な椅子に座る人影がいた。
その人影が話し始めた。
「イースト、ウェスト、サウス、ノースご苦労…。
いきなりだが…、部隊長が一人抜けてるウェストと
イーストお前のとこの部隊長も戦争に出せん…。
この戦争では二人は、わしと留守番だ…。」
『フェーディユ・エルフ様と留守番だなんて
邪魔なキュリノス殺しちゃおうかな〜?』
『ちっ、せっかく撒いた餌が台無しやぁ。』
「サウスとノースの計6部隊は、獣人族を攻めろ。
イーストとウェストは魔族を警戒しておけ…。
魔族が現れたが、一様猫剣王も捕獲対象だ。
魔族と猫剣王、魔力の高い獣人族は生け捕りにしろ。」
『戦争になってしまったか…。
今日が、世界の終わりの始まりか…。』
『僕にもあの力が宿るのか。楽しみだなぁ〜。』
「さて、これよりわしらエルフ族がさらなる進化を
遂げ、世界を征服する戦争を始めようか。」
獣人族が、ラフレシア川、ガーベラ山脈の見張りを
始めて今日で3日目になる。
ラフレシア川のコスモス王国が担当する、見張り
ポイントにはウルフードとヌーとリュッシュが
3日目の見張り員になった。
長い黒髪をオールバックにして、ピアスを付けている
低めの声のヌーが話した。
「リュッシュ!今日で見張り3日目らしいな。」
ピンク色の短髪のリュッシュが、尋ねた。
「そーですけど、ヌーさんどうかされましたー?」
「いや、そろそろ来そうな気がしてな。
気ー抜くな…よ……。」
ヌーがリュッシュの方を振り向くと
双眼鏡を逆さまにしたり、逆から覗いたりして
遊んでいるリュッシュの姿があった。
「おい!リュッシュ!
俺が副隊長として、良い事を言ってる時に
何してるねん!」
ヌーはリュッシュに、飛び蹴りを喰らわせた。
リュッシュは飛ばされて、川に落ちた。
「ナイスシュート!俺!」
「何しているんだ?」
アッシュグレーの短髪に、戦闘服の下にグレーの
フード付き服を着ているウルフードが
無感情な表情で、ヌーを見つめていた。
「あっ、いや、問題ありません……よ。」
ヌーは慌てて川から出ようとしている、リュッシュの
頭を抑えた。
『ウルフード兄貴、無表情だから怖ぇよー。』
溺れかけているリュッシュが必死に声を上げた。
「ウルフード隊長ー!タズゲデーー!!」
「……。」
ウルフードは、何も言わず助けると
見張りを再開した。
「ヌーさんのビビリー!」
「…。」
ヌーは双眼鏡を覗いたまま、返事はしなかった。
「ヌーさんの喧嘩バカー!」
「…。」
「ヌーさーん?」
リュッシュも双眼鏡で、ヌーと同じ方向を見た。
「………。リュッシュ信号弾を、撃て!!」
ヌーが慌てて声を上げた。
リュッシュは慌てて信号弾を、撃ち上げようとした。
プスゥーーー…。と音を立てて不発した。
「あっ!ヌーさんのせいですよ!
湿って撃てなくなっちゃったじゃないですかー!」
少し離れた所で見ていたウルフードが、歩いてきて
声を上げた。
「仕方ない、三人で片付ける。」
常に明るく大きな声のリュッシュが、小さな声で
呟いた。
「あ…あの…数を…ですか…!?」
ラフレシア川の向こうの上空には、三つの列を
作って飛んでいるエルフ族の3部隊が飛んでいた。
『1列100人ちかくいるんですけどぉーーー!!
列ごとに先頭飛んでるエルフ族、凄く強そう
ですしーーー!!ウチ死んだ……。』
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