71話 心の停止
コスモス王国病院内の、緊急治療室の入り口
ベンチでチタが俯いていた。
緊急治療室のランプが消えると、中から
フォリネが速い足取りで歩いて来た。
「フォリネ…。フォリスはどうなった…?」
チタが小さな声で聞いた。
「フォリスの傷は浅く、運悪く心臓部に
傷を負ったが、心臓には届いていなく助か…!!」
フォリネが話している途中で、チタがフォリネに
抱きつきいた。
「よせ、チタ…。」
『まぁ良いか…。』
フォリネもチタの背中に手を回した。
『む、むねが…!』
チタは我に返り、照れながら慌てて離れた。
チタは少しフォリネの胸を見ていた。
「いつフォリスに会えるんだ?」
「もうすぐ、出てくるはずだ。」
少しして、緊急治療室から1人の女性が
走って来た。
緊迫した表情のナースが呼んで来た。
「フォリネさん!フォリネさん!
少し中へ来て下さい!」
少し驚いていたフォリネが、冷静に尋ねた。
「この者も一緒に良いか?
私とフォリスの友人なんだ。」
「はい!大丈夫です!」
ナースは、走って緊急治療室に戻って行った。
「チタ、行くぞ。」
「お、おう。」
治療室に入ると、大きなベッドの周りを
2人のナースと4人の治療魔法使いが囲んでいた。
2人のナースは、フォリネとチタに気づくと
場所を空けて2人を誘導した。
チタはベッドの上のフォリスを見つめると
少ししてから呟いた。
「なっ何があった!?」
ベッドの上のフォリスは口から血を吐いた
跡があり、意識がなかった。
1人の眼鏡のかけた上級治療魔法使いが
喋り出した。
「治療魔法で、確認したところ…
心臓が急に止まり……心臓機能の停止により
フォリスさんは亡くなられました…。」
「なっ!?意味がわからねぇー!!」
チタが上級治療魔法使いの胸ぐらを掴んだ。
「よせ…チタ…。」
涙声のフォリネが、チタの腕を掴んだ。
「フォリス…。
不器用な姉を1人にしないでくれ。」
フォリネの瞳から、一粒の涙が流れ落ちた。
涙を絶対に見せない性格の、フォリネの涙を見て
チタの瞳から涙が溢れた。
『エルフ族、許さねぇえー!』
キュリノスは、エルフ族の国の城の中にいた。
広い廊下の一番奥の扉を開けると、その部屋の奥に
居る人影に向かって喋り出した。
「少しトラブルがあり、獣人族と魔族に
宣戦布告しちゃいましたわぁ。
人影は、低い声で返事をした。
「ご苦労……ウェスト。」
『餌に掛かった強い獣人族が、俺を狙って来るのも
楽しみやなぁ。
エテルネル・ストップ便利な魔法やわぁ。』
人影は、低い声で命令した。
「戦争の会議を開く、ウェストの所の3部隊長に
連絡してくれ…。
エルフ族が世界を征服する…。」
「了解ですぅ。」
キュリノスは、人影に背を向け歩いて行った。
『チタ君に、フォリネちゃん……。』
アルスが緊急治療室に着くと、入り口のベンチで
チタとフォリネが俯いていた。
アルスは尋ねた。
「入ってもいいかな?」
「あっ、アルス隊長。
フォリスに会って上げて下さい…。」
フォリネが呟いた。
アルスは入ると、上級治療魔法使いから
話を聞いた。
『なるほど…時限付きの魔法か…。』
アルスはフォリスの元へと歩いて行き、
フォリスに笑顔で話しかけた。
「フォリス、俺の横で支えてくれてありがとう…。
頼りない隊長でごめんな…。
もう少し早く辿り着い…………。
話しているアルスの表情は、徐々に崩れていき
途中で話すのを止め、部屋を静かに去ろうとした。
『わざわざ時間差で殺しにくるのかエルフ族は…?
……いや、まだ助かる可能性がある!』
アルスはフォリスの元に、戻ると傷口に
手をかざして声を上げた。
「もし1週間後、心臓が動いたら助かるか!?」
「肉体的に保たないでしょう…。」
アルスは急いで部屋を出て、チタに声をかけた。
「チタ君!バラン君を急いで呼んで来てくれ!」
「アルス隊長!?了解!」
チタは急いで走って行った。
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