スライムに転生
「へい彼女〜、俺と一緒にお茶しようぜぇ〜」
渋谷の交差点、23歳のチャラ男だった俺が、いつものノリで美女に声をかけた−−まさにその瞬間!!
ドンッッ−−!!!
視界の端から猛スピードで突っ込んできたトラック−−
俺はスタイリッシュに跳ね飛ばされた。
……あーあ、俺のイケメン人生これで終了系?
そう思った次の瞬間、俺の意識は消え、そして妙な感覚と共に浮上した。
「……って、あれ?俺の手足どこいった!?」
目を開けると周囲が360度見渡せる。
自分の体を確認しようとしたら、弾力のある「ぷるぷる」した水色の球体になっていた。
「なんだこの体は――――っっっ!?」
どうやら俺は、異世界でスライムに転生しちまったらしい。
「……まぁいっか、ナシよりのアリだな」
『個名体:スライム。固有スキル【電撃】および【ラヴパワー】が発動可能です』
脳内に無機質なアナウンスが響く。
【電撃】触れたものをビリビリにする電撃波を放つ。
【ラヴパワー】愛の力で戦闘力が何倍にも跳ね上がる。
俺っち向きのチートスキルだ。
「見た目は水まんじゅうだけど、中身はイケてる23歳!異世界を楽しんじゃうよ!?」
そう思って湖畔をぷるぷる跳ねてた時、俺の全細胞がスパークした!
「あら可愛い水まんじゅうがいるっちゃね♡」
草むらから現れたのは、息を飲むほど鮮やかなピンク色の球体。
動くたびに、なめらかな曲線を描く極上の『セクシースライム』だった。
「へい彼女〜、俺と一緒にぷるぷるしようぜぇ〜」
しかし彼女はなめらかに身をくねらせ、クスッと笑った。
「ざこスライムのくせに、口説くなんていい度胸っちゃね。でもごめんっ、私強い男が好きっちゃ。今付き合ってるダーリンは世界で一番強いっちゃ♡」
その時、大地が激しく震え背後からどす黒いオーラを放つ巨体が現れた。
−−この世界を統べる魔王・グリーザ
「ざこスライムめ、俺の女に手を出すとはいい度胸だ!」
「魔王様♡」
魔王は冷酷な目で俺を見下ろした。
それは単なる「邪魔者を排除する」と、いう生ぬるいものではなかった。
……本物の『悪』の目だ。
「貴様らスライム一族は、いずれキングスライムになる可能性を秘めている。我の侵略の邪魔にならぬよう、これ以上進化する前に世界のスライムは全滅させる事にした!」
この魔王はただの暴君……ではなかった。
複数の異世界を支配し、それを富裕層の悪の神々に「領土」として売り捌く、次元規模の極悪魔王。
この世界もすでに、売り出される寸前だった。
魔王がスライムの住む村に強烈な一撃を放つ……
ドオォォォ―――ン!!!
「……魔王様?」
セクシースライムが呆然とする。
魔王がニヤリと笑う。
「スライムの在り処はすべて把握した、貴様はもう用済みだ……」




