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隣で「おはよう」と笑う君を見たいから  作者: 山田 太郎丸
第四章 君の隣でどこまでも歩み続ける

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84.私のもの

 



 お腹も満たされたところでショッピング再開。すると、綾乃は早速足を止める。視線の先にはベージュのダウンコート。機能性よりも見た目を重視したシックな雰囲気のものだ。




「優心、これ試着してみてくれる?」


「分かった」



 元々羽織っていた上着を脱いで、膝ほどまであるコートを試着してみる。

 鏡に映った自分を見て、最初に思ったのは。



「これ、ちょっと大人っぽすぎないか?俺がコートに見劣りしてる気がするんだけど」


「そんなことないわよ。そもそも優心は大人びているし、丁度いいくらい。良く似合ってるわ」


「まあ、綾乃がそう言うなら」



 お値段は高校生が買えるものではないけど、これからの季節に防寒具が無い方が辛い。大和さんからのお小遣いも潤沢にあるとはいえ、出来る限り出費は抑えたい。


 貰い過ぎてる分は、俺が自立出来た時に返そうと思ってるんだ。大和さんも忙しい身だから、もっと自分のためにお金を使ってもいいんじゃないかってずっと考えてた。優奈もお世話になってるし、それ以上のもので返せたらもっと良い。


 それはいつか考えるとして、綾乃に選んでほしいと言った手前俺に拒否権は無い。拒否するつもりもないが。


 主目的は達成したし、もう帰ろうかな。もう一つの目的に関しては、別に今日じゃなくたっていい。わざわざ電車に乗らなきゃいけないのは面倒だけど、綾乃のためなら大した問題じゃない。


 駅の方へ身体を向けて、綾乃に帰宅の提案をしようとする。しかし、それは綾乃からの提案によって遮られるのだった。



「ねえ優心。あそこ、寄ってもいいかしら?」


「あそこは…ゲームセンター?全然いいけど、綾乃ってゲームセンターとか行くのか?」


「いいえ、一度も無いわね。せっかくだから体験してみたくて」



 なるほど、綾乃らしい理由だな。綾乃は普段はクールに見えるけど、意外にアグレッシブなんだよ。気になることがあったらすぐに行動を起こしたり、出来ないことにも果敢に挑戦する。その姿勢を見て綾乃に惚れ直したりもした。


 しかしゲーセンか。中学の頃は春馬と行ったりもしたけど、こっちに戻ってきてからは行く機会はなかったな。

 ちなみに俺が得意なのは格闘ゲームだ。何でもハイレベルでこなす春馬だが、格ゲーだけは俺に分があった。王道の主人公キャラを使う春馬に対して、俺は飛び道具主体で戦う軍人を使っていた。春馬がイライラする姿を見て楽しんでたよ。


 まあ、さすがに綾乃が格ゲーをやるとは思えないけど……。



「あら、最近のゲームセンターって意外に静かなのね。匂いも気にならないし」


「いつの時代のゲーセンの話してるんだよ。未だにそんなゲーセンがあるとしたら地方だけだな」


「行ったことが無いと、凝り固まったイメージが付くものね。そういえば志田くんから聞いたのだけど、相当ゲームセンターに通っていたみたいね」



 春馬、俺のことペラペラ喋りすぎじゃない?とんでもない秘密とか漏れてそうで怖いんだけど。いや秘密とかないけどね?



「そこの定員さん、とても美人だったそうだけど」


「…………………………………」



 確かに美人だったよ?でも別にデレデレとかしてないから。決してその定員さん目的で通ってたとかないから。



「なんで黙るのかしら?何かやましい事でもあるの?」


「ウウン、ゼンゼンナイヨー」


「はぁ、噓くさい片言ね。過去に誰に惚れてようと、優心はもう私のものだから気にしないわよ」



 ………すごい恥ずかしいことを真顔で言われた。というかものすごい独占欲の影が見えたような。

 あと惚れたとかは無いからね。正真正銘、綾乃が初恋だよ。



「っっ〜〜〜〜〜!?!?ば、馬鹿なこと言ってないで行くわよ!」


「あっ、やべ」



 どうやた口に出てたらしい。そんなつもりはなかったけど、結果的に仕返しみたいな形になってしまった。でも赤面する綾乃も可愛いです。


 とまあ、そんなことがありつつも、俺たちはゲームセンターの中を物色する。俺一人なら久方ぶりの格ゲーに勤しんでいるところだが、今回は綾乃の希望でここに来たわけだし。綾乃に楽しんでもらうことだけを考えよう。


 それにしても広い。気が付いたら迷子になってそうだ。地方のゲーセンだとこれの数倍は狭くて、通路も1人歩くのでギリギリなくらいだからな。


 クレーンゲームの数だって異常だ。ここはショッピングモールの中だから家族連れを意識してるんだろうけど、ぬいぐるみやお菓子、フィギュアなどの種類も豊富だ。普段アニメとか見ないから、何のキャラかまでは分からないけど。


 すると綾乃がとあるクレーンゲームの台の前で立ち止まる。景品はかわいいクマのぬいぐるみ。



「綾乃、これが欲しいのか?」


「欲しいというか、買った方が安いと分かってるから」


「それがそうでもないんだよ」



 機械に100円を入れて、アームを操作する。大きめのぬいぐるみだから、その分アームも大きい。揺れもあるからまともに狙っても取れなさそうだ。なら揺れも計算に入れて、あとは……胸元に蝶ネクタイが付いてるな。そこの隙間を狙えば…。


 狙いを定めてアームを降ろす。それは吸い込まれるようにぬいぐるみの隙間に引っかかる。


 ゴトン。



「ほら、取れたぞ」


「すごい…そんな特技あったのね」


「まあね。やりたい台が空くまでの間、時間潰しにやってたら上手くなったんだよ」



 獲得したぬいぐるみを綾乃に手渡す。…………でかいな。袋もらってこよう。



「ありがとう………大事にする」


「そんな大層なものじゃないって。そう思ってくれるのは嬉しいけどさ」



 ぬいぐるみの入った袋を本当に大事そうに抱える綾乃を見て、心の底から取ってよかったと思う。


 やっぱり、綾乃の喜ぶ顔が一番だよ。




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