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復活の艦隊 異世界大戦1942  作者: 柊遊馬


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第一一二四話、次へドンドン


 日本海軍は、米太平洋艦隊、そして義勇軍艦隊と共同で、北米救援作戦を実施。太平洋側の巨大海氷空母群と増援に現れた一個艦隊を撃滅した。


 勝利である。

 航空隊に多少の損害は出たが、参加艦隊はそれぞれの母港に帰投。日本国内でも北米救援作戦の成功は大々的に報道された。ここ最近のマリアナやトラックの戦い、フィリピンでの戦闘など、敵に攻められている印象をもたれかねないことが続いていただけに、勝利の報道は景気よく発表された。


 内地に第一、第五遊撃部隊が戻ったが、第五遊撃部隊を率いた佐々山 久雄中将の目はすでに次に向いていた。


「補給が済み次第、今度はアメリカの東海岸へ飛び、残っている海氷空母群と円盤兵器を片付けましょう」


 連合艦隊司令長官の小沢 治三郎中将は首をひねる。


「第五遊撃部隊で行くというのか?」

「はい!」


 佐々山の目は力強い意志を感じさせた。


「情報では、東海岸に残っている海氷空母は3隻。戦力が補充される前にこれを叩くべきです!」

「一応、アメリカ第三艦隊とレキシントン戦隊で、残りを始末することになってはいるが……」

「悠長なことは言っていられません。敵が海氷空母を東海岸から引く前に叩くべきです」

「東海岸から撤退する……?」

「そうです」


 佐々山は頷いた。


「ムンドゥス帝国は今回のことで、日本に対して報復行動に出る可能性が高い。そして一番可能性があるのは、航続距離の長いアステールを用いた本土空襲でしょう! 何せ米本土には彼らの敵はもういませんから」


 異世界にいて、ムンドゥス帝国と戦っていたという佐々山である。敵のやり口は熟知していると彼は言った。


「とにかく、事は急を要します。第五遊撃部隊に出撃の許可を! 内地が奇襲されても知りませんよ?」

「敵の攻撃はあるというのだな?」

「はい!」

「……連合艦隊からは援軍を出せないぞ?」


 小沢が語気を強める。佐々山はきっぱりと答えた。


「構いません。レキシントン戦隊さえあれば」

「軍令部にはおれの方からも言っておこう。……言ったからには失敗するなよ?」

「ありがとうございます! 必ずや!」


 佐々山は敬礼すると、浮遊椅子を動かして長官公室を後にした。様子を見守っていた草鹿 龍之介連合艦隊参謀長は口を開いた。


「何とも敢闘精神に溢れていますね」

「これといって情報はないが、確信を持っているのは確かだ」


 小沢は一息ついた。まさかあそこまで詰められるとは思わなかったからだ。


「まあ、あれも異世界帰りだ。敵の手の内については我々よりも通じているのかもしれん」

「まだ海軍内でどう扱うか、定まっていないようですが、よろしいのですか? 連合艦隊側で、第五遊撃部隊を動かして」


 草鹿が咎めるように言う。小沢は口をへの字に曲げた。


「ああまで言われてはな。これで本当に内地を奇襲されたら、目も当てられん」

「……そうですな」


 草鹿も渋々首肯した。それでなくても内地が攻撃されることに敏感になっているご時世である。警告を無視して攻撃を許すことになれば後が恐ろしかった。



   ・  ・  ・



「――と、いうことで第五遊撃部隊は、アメリカ東海岸に出撃して、残っている海氷空母を叩く」


 佐々山は、九頭島で後輩である神明 龍造少将に声をかけた。敵が海氷空母とアステールを使った報復攻撃に出る可能性があるので、先んじてそれを叩くと説明した。


「……本当に円盤兵器で仕掛けてくるのですか?」


 神明が淡々と問うと、佐々山はきっぱりと答えた。


「知らん」

「連合艦隊司令部には、敵が奇襲してくると断言したのでは?」

「可能性の問題だよ。可能性の」


 なんとも大雑把に佐々山は言った。奇襲攻撃が実際にあるかしらないが、可能性で言えば『もしかしたら仕掛けてくるかもしれない』という可能性は存在するのだ。


「おれたちが先行して海氷空母を叩けば、実際に奇襲を仕掛けようとしていたところを未然に防げるわけで……おれが適当なことを言ったという証拠はないだろう?」

「相変わらず強引な人だ……」


 神明は佐々山に呆れるのである。


「嘘も方便というやつだ。実際、ムンドゥス帝国の連中は、やられっぱなしでは済まさない。報復に出てくるからまんざら嘘でもない」


 真顔で佐々山は告げる。


「現段階で連中が報復するとして、一番嫌なのは何かと考えたら円盤で日本本土を奇襲することだ」


 正直な話――佐々山は深刻な顔で言う。


「もうこの世界には時間がない。日本の状況は聞いているが、俺の見たところ年内にケリをつけないと、この国は駄目かもしれん」

「……」

「レンドリースとやらでアメリカから物資や燃料をもらっているというが、それも先の米本土の焦土攻撃でかなり怪しくなった。動けるうちにどんどん進めていかないと、敵に押し込まれてやられる」


 だからこそ、ドンドン敵の拠点や重要設備、装備を破壊し、その力を削いでいかないといけない。


「本国と切り離されて、この世界で補給するしか連中も生き残れない。そんな奴らに、わざわざ地盤を固める時間を与える必要はない。この戦争をさっさと終わらせる――それくらいの覚悟でやれ」


 はっきりと佐々山は言い放つのである。


「それで動く、というわけですか」


 神明は嘆息した。


「しかし、燃料と弾薬の補給はどうするんです? まだあなたの艦隊について、日本政府や海軍がどうするかはっきり決まっていないでしょう?」

「おれがどうして艦隊を一部だけしか連れて行かなかったと思う?」


 佐々山はニヤリとした。


「前回使ったのは補給待ちだが、連れて行かなかった艦艇から抽出すれば、前回と同程度の戦力を出撃させられる」


 確かに佐々山が異世界から連れ帰った艦隊は47の戦艦と50の中型空母を中心とする規模があった。前回は戦艦、空母を6隻ずつだったから、交代すれば全然余裕であった。

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