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三国破産清算人:官渡の泥濘から這い上がる、猛将文醜と戦場不良債権の処理記録  作者: 倦犬Kenken


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この乱世における戦争清算のパズルは、まさにこの刻において、その最も波瀾万丈たる、本物の歴史の第一頁(最初のページ)を完全にめくったのである。


「――しかしです! 現在、袁本初が降したこの一通の命令は、あなたが今しがた描いてみせたその南下の退路を、物理的に完全に切断(破壊)してしまいました! 袁紹という男はどこまでも無能な老闆(経営者)ですが、彼が今回発給したこの詔書は、あなたに対して、四州のすべての戦場を支配するための『世俗の大義(大義名分)』を合法的に与えてしまったのです。もしもあなたが今、この段階で焦って南へと逃亡(逃跑)すれば、あなたは朝廷に対するただの反逆者(叛逆)となり、曹操はあなたを殺し、劉表はあなたを警戒し、天下の諸侯の全員があなたをただの草寇(野盗の群れ)として看做すでしょう。

……ですが、もしもあなたがこの全軍の回収を司る『最高の大印』をその手に名正言順に拝受したならば、どうなるか。

あなたは正規軍の大義を掲げたまま、この七千の軍勢を引き連れて、袁氏の会社が徹底的な破産清算(完全倒産)を迎えるその最期の日まで、青州、冀州、幽州、并州の四州に広がるすべての戦場を、大張旗鼓(堂々と)として縦横に駆け巡る権利を手にするのです! 袁紹は此時、四方の鎮圧(平叛)に追われて毎日大量の死体(損耗)を現場に垂れ流している。その死傷(マイナス)が途絶えぬ限り、全軍の回収隊の最高責任者であるあなたは、名正言順に袁紹の遺したすべての武器、戦馬、糧草、そして行き場を失った潰卒(生きた資産)の全体を、合法的に私たち自身の懐(左軍)へと中抜き(中飽私囊)し続け、同時にあなた自身の眼線(特務機関)を北方のあらゆる地政学的死角へと完璧に釘付け(固定)にできるのですよ! その日が訪れたとき、あなた自身の手元に蓄積(貯蓄)されている勢力と軍資金の本銭は、どうして区区たる七千人馬の枠などに留まりましょうか。袁氏が完全に崩壊(クローズ)したまさにその刻、あなたは四州のすべての最底辺の民心(人望)と、百戦錬磨の精鋭をその身に付き従わせた最強の状態で南下を開始できる。その時、全天下のいかなる王(諸侯)が、あなたの進軍を遮る(止める)ことができるというのです! 袁本初という名のあの蠢驢(蠢くロバ)め、自分が死を迎えるその瞬間まで、一体どれほど恐怖すべき通天の大印を、清算人(あなた)の手へと直々に手渡してしまったのか、夢にも気づいてはいないのですよ!」


その一言は、大気磅礡(圧倒的なスケール)を以て、袁紹の降した人事の荒唐無稽さ、地政学の死角、そして死体回収という特殊な職能が孕む防衛(システムハック)の脆弱性のすべてを、あまりにも生々しく剖析(解剖)し尽くしていた。

大幕の内部、それまで椅子に腰掛けていた張義、顧墨、老陳、さらには鉄牛といった幾人の将領たちは、ただ唖然としてその神算(計算)を聞き届けていたが、その瞳のなかには無尽の服帖(脱帽)と震撼の色彩が満ち溢れ、次々と席を蹴って直立するや、田豊の姿に向かって、斉刷刷(一斉に)と親指(大拇指)を高く突き立てたのである。

私と文醜は沙盤(ジオラマ)の両側に立ち、互いに視線を交わし合った。私たちの口元には、もはや抑えきれぬほどの深沉にして欣慰(心からの)たる微笑みが、じわじわと燃え上がっていた。

私たちは、これが何を意味しているのかを誰よりも完全に理解していた。

この一条の妙算が放たれたという事実こそが、あの時、鄴城の天牢の底へと万両の金銀と碧玉の簪を撃ち込んでおいたロビー活動の手腕が、完璧な果実を結んだことの動かぬ証拠だった。

――全天下で最も高傲(プライドが高い)にして、事実上の北方第一の大脳である頂級の軍師・田豊が、この刻、委粟津の残破たる大営のなかにおいて、徹頭徹尾(完全に)「復活」を遂げて我が籠のなかへと帰心を果たしたのである。

深夜、戦場を叩いていた暴風雨は完全に停息し、皎潔(白く輝く)たる月光が、滾々として東へと流れ去る黄河の水面のうえを暖かく照らし出していた。

私と文醜の二人は戦馬に跨がり、不緊不慢(悠然と)した足取りで、並んで黄河の畔の泥濘(泥灘)の上を緩やかに歩ませていた。河水は嘩嘩(ごうごう)と音を立てて鳴り響いており、対岸の漆黒の夜幕(夜の闇)の向こう側には、隠微にして、しかし無数に煌めく零星の星星(星の如き)灯火の塊がゆらゆらと蠢いていた。

――曹操大営の、篝火(かがりび)であった。

文醜は戦馬の上で馬のたづなを軽く引き締め、対岸に広がる、天下の地政学を改変させるほどの偉大な武力を秘めた曹操軍の篝火を見つめながら、彼にしては極めて珍しく、どこか輕鬆(リラックス)した笑みを浮かべて沙啞(嗄れた)声を響かせた。


「龍よ。老子(俺)は半生涯にわたって戦を続けてきたが、まさか最期の刻になって、真にお前という小倅と、あの傲慢極まる田豊の爺さんと一緒に、同じ一条の泥船(綱)に固く縛り付けられることになるとは夢にも思わなかったぜ。あの老いぼれの言葉(妙算)を信じるなら、これから先、俺たちは北方の死体の山の底で、思い切りまともな大財(大金)を毟り取ることになりそうだな?」


私は馬のたづなを提げたまま、刺すように冷たいがゆえに脳髄を最高峰に清醒(クリア)にさせてくれる秋風をその身に受け、浩瀚なる夜空の全域を望みながら、静かに言葉を返した。

「――将軍。袁本初の破産清算は、ようやく今、始まったばかりにございますよ。彼の家底(資産の残高)は未だ恐ろしいほどに分厚く残されている。対面に座す曹孟德が、傷一つ負わずに定々心心(悠然と)河北の利権を丸呑みできるかどうかは、これからの私たちの手元にある、この死体回収の算盤(データ管理)がそれを許すかどうかにかかっていますわ」


二頭の戦馬は黄河の畔の泥の上に、実実(実直)たる一条の蹄の印(足跡)を深く深く刻み付け、遥か彼方へと伸びる輕鬆(リラックス)とした二人の対話の響きと共に、破暁(夜明け)の微光のなかへと静かに消失していった。

この乱世における戦争清算のパズルは、まさにこの刻において、その最も波瀾万丈たる、本物の歴史の第一頁(最初のページ)を完全にめくったのである。

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