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くまさん  作者: きーぼー
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幼年時代 その1

 昔々、といっても、そんなに昔ではありませんが、ある都会の街に、一人の女の子が住んでいました。

女の子の名前は、愛子ちゃんといいます。

女の子は、お父さんとお母さんと弟の4人で、新興住宅地にある、大きな家に住んでいました。

愛子ちゃんは、いわゆる負けず嫌いで、何でも一番でなければ、気が済まない性格でした。

それに関しては、お父さんの影響が、とても大きかったのです。

愛子ちゃんのお父さんは、いわゆるエリートで、大きな会社の「やくいん」をしていました。

そして、体も大きく、力も強かったので、小さかった愛子ちゃんは、お父さんのことを、まるでアニメや絵本に出てくる、「くまさん」のようだと思っていました。

ある日、一緒にお風呂に入っている時に、お父さんは愛子ちゃんに言いました。


「愛子や、お前は頑張って、なんでも一番になりなさい。勉強でもスポーツでも」


アヒルのおもちゃを、チャプチャプさせて遊びながら、愛子ちゃんは、お父さんに尋ねます。


「どうして一番になるの?パパ」


するとお父さんは、胸を大きく張って言いました。


「そりゃあ、一番になれば、一番幸せになれるからさ。良いものを、一番最初に手に入れられる。最後の方の順番だと、余り物しか残っていない。そんなのは嫌だろう?だから、一番になって、好きなものを、誰よりも早く手に入れなさい。お父さんみたいにな」


お父さんは、ガハハハと豪快に笑いました。

そんなものかと、愛子ちゃんは思いましたが、しばらく後にお母さんに、その話をすると、お父さんと言う事が違います。


「駄目よ、愛子。そんな風に、他人に勝つ事ばかりにこだわっていたら、性格のきつい子になってしまうわ。女の子は、誰にでも優しくしないと、男の子に嫌われるわよ。それから、牛乳をたくさん飲みなさい。しっかりと、カルシウムを、取らないとね」


愛子ちゃんは悩みましたが、お父さんが大好きだったので、とりあえずお父さんの言うことに、従うことにしました。

愛子ちゃんは、勉強でもスポーツでも、一番になるために頑張りました。

努力のかいあって、愛子ちゃんは、勉強でもスポーツでも、常にクラスで一番でした。

ところがある日、愛子ちゃんは、とんでもない事件を起こしてしまいます。

愛子ちゃんの通う小学校では、毎年、秋に運動会があり、愛子ちゃんも、徒競走のランナーに選ばれたのですが、隣のクラスに、とんでもなく足が速い子がいたのです。

このままでは、絶対に勝てないと思った愛子ちゃんは、なんと、運動会当日に、下駄箱に入っている、その子のシューズに、画鋲を入れたのでした。

そのシューズを履いた、ライバルの子は、足にケガをして、満足に走ることが出来ず、お陰で愛子ちゃんは、見事?に一等になることが出来ました。

だけど結局、シューズに画鋲を入れたことがばれて、愛子ちゃんは、みんなから怒られてしまいます。

特に、お父さんの怒りは、大変なものでした。

愛子ちゃんのお父さんは、卑怯な事が大嫌いだったのです。


「愛子、なんて事をするんだ!お父さんはお前を、そんな子に育てた、覚えはないぞっ!一番になれとは言ったが、あくまで正々堂々とだ!卑怯な手を使って、得た勝利など、何の意味も無いんだ!!」


愛子ちゃんは、口では謝りましたが、心の底では納得していませんでした。

だって、一番でなければ、幸せになれないと言ったのは、お父さんです。

正々堂々と戦っても、幸せになれなければ、何の意味もありません。

それに愛子ちゃんは、色々と努力して頑張っても、どうにもならない事もあるのを、段々と分かって来ていました。

やはり人間には、生まれつき向き不向きがあって、どんなに頑張っても、生まれつき、それが得意な人には、かなわない事が多かったのです。

だったら勝つためには、どんな卑怯な手でも、使うしかありません。

愛子ちゃんは、一応、お父さんに謝りましたが、これ以来、親子の間には、少し溝が出来てしまいました。


[続く]

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