クレイズの過去
クレイスさん、どんな過去を語るのだろうな。
酷い呼ばれ方していたからね。
ちょっと、心配ですね。
少し重くなりますわね。我慢してくださいまし。
クレイズはゆっくりと、自身の過去を話し始めた。
「ふざけるな。俺達はこの国の為に戦うのだぞ。その俺達に金を払えだと」
「しかし、私達にも生活があります。無償では食べていけません」
「生意気な。野郎共、ぶっ壊しちまえ」
「辞めて下さい」
「うるせ~」
店主は暴行を受け死亡し、店は破壊された。
騎士団も兵士団も戦争が近い事で、力がある物を必要としていた。
多少の問題は見て見ぬふりだ。
そんな中増長して限度を超えたのが、リーダー・ザムリスが率いる傭兵団15人。
こいつ等の周りでは、こんな惨事は日常だった。
ザムリスの所業を騎士団に告げた者は、翌日殺された。
騎士団もいつ戦争になるかという緊張の中、民の声に耳を貸す余裕も無かったのだろう。
いつの日か、誰もが口を閉じてしまった。
冒険者ギルドも、沈黙を守っていた。
冒険者達も1人、また1人と他の町に出て行く。
そんな時、俺達が通りかかった店の前で事が起こった。
目の前の食事屋で大きな物音がし、店主が外に吹き飛んできた。
肌は焼かれ黒焦げになり、もう虫の息だ。
明らかに火炎魔法で焼かれたものだった。
仲間がすぐさま治癒魔法を掛けたが、しばらくして息絶えた。
店から出て来た男が、鼻で笑う。
「ハン。そんなクズを助けてどうする。治癒魔法。バカか、もう遅いだろう」
俺頭の中で何かが切れた音が聞こえる。
気が付いたら、男は死んでいた。
俺の剣が血を吸っている。俺が殺したのか。
殺したのはザムリスの仲間だった。
俺への咎めも無く、住民には感謝された。
暫くザムリス達は大人しく、町も少しは平穏に近づいた。
俺達の存在が、抑止になっている。そう思っていた。
それは、思い上がりだったのだ。
ある日、不意に仲間が1人死んだ。
いい腕の戦士だったが、後ろから刺され、あっけなく死んでしまった。
犯人の証拠はない。
騎士団に訴えたが、当然身の入った捜査はしない。
だが、ザムリスの仕業だ。
俺を含め、残り3人のメンバーは悲しみを堪え警戒を強める。
翌日から、3人で行動を共にする事を決め、一旦別れた。
それが、いけなかった。
仲間を見るのはそれが最後になってしまった。
その夜、2人は死んだ。
1人は毒殺だ。脅された食事屋の男が毒を盛ったのだ。
技術の高い魔法使い。先走る俺を止めてくれる賢い男だった。
もう1人は町の城壁から首を吊られ死んだ。
魔法封じの手枷をはめられ、暴行された痕跡もあった。
治癒魔法が得意の優しい女だった。
俺は頭がおかしくなりそうになり、悲しみに打ち敷かれ町をさまよう。
翌日から、ザムリス達の横暴が再開した。
家にこもり、死んでいるのか生きているかも分からなくなった。
数日が過ぎた頃、窓から石にまかれた紙が投げ込まれる。
紙には「最後はお前だ。仲間の様に無様に殺してやる」と書かれている。
俺の仲間は死んだ。仲間は殺された。
こいつ等に。
俺は正気を失う程に激高した。
夜になり、俺は剣を握り締め、家を飛び出した。
奴らは宿屋を占領して根城にしている。店主は追い出されていた。
窓から明かりが漏れている。
扉を蹴破る。
大きな音が響き、武装した男達が現れた。
「何だ、貴様はクレイズか」
男達の奥から大柄の男がゆっくりと現れた。
ザムリス・・・・
殺してやる。無様に・・・・
皆様、アリューシュですわ。
次回は、凄惨な表現が多き出てきますわ。
心してお読みくださいまし。ペコ




