↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【3章開始】距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる  作者: 歩く魚
二兎芽莉彩/天王洲セラ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/116

111.ビーチフラッグ

 学校の裏門から連れ出され、人通りの少ない道を満足げな顔で歩く涼。


「なんだか雨が降りそうな感じがするわね」

「予報では降らなさそうだったけど、空を見る感じ怪しいな」

「アプリによって違うから、ちょっと困るのよね」


 わかる、と頷く。

 残念ながら傘を置いてきてしまったし、帰るまで降らないことを祈るしかない。


「こうして二人で出かけるのって、久しぶりじゃない?」

「……そうかな?」


 言われてみれば久しぶりな気もするが、時間的な尺度で言えば、葉音に二人揃ってシバかれそうになってから一月も経っていない。


 三十日を久しぶりと言うかどうかは人による。


「私にとっては久しぶりなの。長すぎるぐらいにね」


 涼が腕を組んできた。

 力が入っている、というより密着したいのだ。


「前は葉音のプレゼント選びだったりっていう理由があったもんな。なら、涼ちゃんと純粋なデートするのは初めてに近いのか」

 

「そうよ。葉音と三人で映画を観るのも楽しかったけど、なんの邪魔も入らないのが一番いいもの。最近はライバルも増えてるみたいだし」


 彼女の言葉に棘があるように感じたが、一方で怒っているようには見えなかった。


「で、今日はどこに行くつもりなんだ? 悪いんだけど、涼ちゃんと出掛けるなんて思ってなかったから、なんのプランも考えてない」


「ふふっ、悟が考えてくれるのも嬉しいけど、私に全部任せてくれていいのよ? あなたを幸せにするのが私の願いなんだから」


「……そこまで恩を感じなくたって、俺は当たり前のことを——」

「それは違うわよ」


 言葉を遮られる。


「悟に救ってもらったから今の私があるんだし、毎日が楽しいの。愛を知ったきっかけであることは間違いないわ。でも——」


 涼は深く息を吸い込んだ。

 何か、大切な告白でもするように。


「私のことを思ってキスを拒んだあなたは、追いかけてきて助けてくれたあなたは、今のあなたでしょう? 私からしたら、記憶を無くす前も今も同じ悟だけど……仮に別人だったとしても、私はどちらにも心を奪われたのよ」


 言い方が合っているかは分からないが、あの一件があって俺に惚れ直してくれたということか。

 

「だから、あなたが気にすることなんて何もないの。それでも記憶を取り戻したいなら……今年の夏は、ビーチフラッグでもしてみる?」

「…………ビーチフラッグ?」


 聞き慣れない単語すぎて、おうむ返ししてしまった。

 だが、涼は嬉しそうだ。遠い目をしている。


「そう、ビーチフラッグ。悟、実は得意なんじゃないかって思うのよ」

「おお……? 楽しそうだし、みんなでやってみたいかもな」

「でしょう? 夏の予定が一つ決まったわね」


 どうせなら隆輝も呼びたいな。

 でも、あいつとぶつかったら数メートルぐらい飛ばされそうな気がする。


 昔の少年漫画の主人公ぐらいゴツいし、格ゲーでいう投げキャラみたいな体格だ。

 隆輝に掴まれたら、どんな猛者でも動けなくなってしまうだろう。


「あんまり気にしないようにするよ。涼ちゃんは今の俺も見てくれてるってことで」

「そうしてもらえると嬉しいわ。私のことも見てくれると、もっと嬉しい」


 少なくとも、この状況では彼女の事を見ざるを得ない。

 

 だんだんと暑くなってきた日々だが、彼女の黒髪は涼しげに風に揺れ、枝毛なんて見当たらない。

 どこから指を通しても、微塵も引っ掛かる事がないだろう。


 鋭いが大きな目も高い鼻も、どこを切り取っても「美」を体現している。

 こんなにも美しい顔が俺だけに向いていて、俺の一挙手一投足で歪むのだ。


 未だに現実とは思えないな。

 かつての俺も、さぞ驚いている事だろう。


「——着いたわよ。ここが目的地」


 しばらく歩き、彼女が指さしたのは——


「……本屋か」


 そこそこ大きな書店だった。

 学校から少しばかり離れているということもあって学生は少なく、カフェも併設されている穴場的な場所である。


枝毛なくなってほしいっす


評価ポイントをいただけるととても嬉しいので、お手数ですがよろしくお願いいたします!

作品作りにご協力いただけると幸いです!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。