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風呂からあがり着替えると皆応接室に集合していた。
ラーミルさんも素敵な衣装で着飾っている。
そばに行ってイチャイチャしたい。
ラーミルさんも視線が物語っている。
でも、できない。
なぜなら、カル達の説明をしなくてはいけないから。
「さてニフェール、ギルド壊滅の説明を頼む」
ジャーヴィン侯爵の一言から始まった現状までの事情説明。
教会で別れてからの話を一通りしたところ、何と言うか……呆れられた。
都合のいい人材確保できたんだからいいじゃん。
「まず、暗殺者ギルドのマスターとその配下一名をニフェールの部下にするんだな?
先日聞いた暗殺者の二名と一緒に」
「その予定です。
ただ、今は学園生の身分なので普段から傍にいさせることはできませんし、マーニ兄との話し合いもあります」
「お前の身分については、まぁ、そうだろうな。
学園に部下連れて行くなんて聞いたこと無い。
で、マーニとの話し合いとは?」
「今回、マーニ兄は男爵位を賜ると思ったのですが、部下無しというのは大変かなと。
裏方なり、書類仕事なり仕事経験ある人物は有効活用できるのでは無いかと」
特に男爵なりたてで手間暇かかる書類仕事ありそうだし。
「また、この四名をどういう役割にするか決めかねているところがあります」
「どういうことだ?」
「最初は四名とも侍従・侍女にしようかと考えたのですが、マスターと配下は書類仕事がそれなりにできそうに見えました。
それなら侍従・侍女よりもう少し上の仕事をさせた方がいいかもしれないと考えております」
学園卒業後の仕事の補佐とかね。
「とりあえずマーニがどうするかはともかく、お前の部下となる者の行先は?」
「決め切れておりません。
ジーピン家が最有力かなと考えてますが、チアゼム侯爵とも相談してみようかと」
「何故にチアゼム?」
「ラーミルさんがいるから。
最終的には僕とラーミルさんの家に四人が来てもらう形になるので、今から女主人としての立場慣れてもらうのもアリかと。
逆に四人には女主人となる人物を見極める時間を上げていいんじゃないかなと思いました」
ラーミルさん、そんなクネクネしても……。
いや、眼福ですけど?
「ニフェールちゃん、質問!
マーニがその人たち欲しいと言ったら渡すの?」
「カリムとナットは以前に僕に従うこと明言してくれたから、渡すとしたらカルとルーシーだね。
実際、この二人はジーピン家に完全降伏というだけなので、マーニ兄でも問題ないよ」
なんか悩んでいるロッティ姉様。
「ロッティ姉様、この件はマーニ兄と相談の上で僕に声かけてね。
とりあえず今は僕の方でまとめて引き受けるつもりだから」
「は~い。
マーニ、後で話し合いしましょうね?」
「あ、ああ」
マーニ兄、なにビビってんの?
どうせ、ロッティ姉様の事だからサカリ場開いた後に話し合いだと思うけどなぁ。
「とりあえず理解した。
それと、禿の件だが」
「こちらは騎士に引き渡しておいたので、後はあちらの仕事ですね。
暗殺者ギルドに置いておいたディーマス家の依頼書を見つけておおわらわでしょうから、すぐには何も言われないかと」
「……ディーマス家を潰すか?」
「侯爵家潰したら、影響大きすぎますよね?」
「土地持ちの侯爵だからなぁ……」
「それに、ディーマス家の寄り子たちも大半潰れるのでは?」
「潰れるかはともかく、色々巻き込まれるだろうなぁ」
……どうすべ?
「まず関わった家を調査。
関わってないのなら特に何もなし。
関わっているのなら下位貴族は平民に。
上位貴族は子爵か男爵に落とす。
当然、現時点での当主は関わり具合に寄るけど基本斬首」
「まぁ、そんなところだろうな」
「ちなみに、教会襲撃した騎士たちも同じですからね?
関わっていた騎士の親も連座してもらいましょう」
「……貴族派壊滅じゃないか?」
「でしょうね。
僕もそう推測してます」
悩むジャーヴィン侯爵。
貴族に騎士に人手が足らなくなりすぎってとこかな?
「一応申し上げますが、暗殺者ギルトと同じ間違いはしないでくださいね?」
「なんだそりゃ?」
「今回潰したギルドはルールを守れない禿をのさばらせておいた。
その結果、暴走を抑えきれず陛下がいらっしゃるジーピン家関係者の結婚式に殴りこんできたんですよ?
今回の騎士たちの行動を国として一切許す気は無いという強い意志を示さないと陛下を甘く見る輩が出てきます。
実際、暴走する禿を止められなかったカルがカリムやナットから見捨てられてます」
カル、凹んでも遅い。
命は無事だったんだから次に生かせ。
「カリムやナットがジーピン家に置き換わる可能性を示唆しているか?」
「ジーピン家以外にも甘すぎると不満を持つ者たちが確実に出るでしょうね。
その人物が国の重要な部分を握っていたら?」
「嫌がらせとして予算配分を渋くしそうだな」
ええ、やるでしょうね。
国が見捨てられたらそんなことが日常茶飯事になるでしょうから。
「面倒な……」
「それをどうにかしなくてはいけないのが王家であり上位貴族でしょ?」
「正論で殴ってくるなよ」
何、女装でもして優しくなでてあげればよかったの?
「まぁ、そこは王宮で頭を抱えておこう。
この後の夕食会で陛下や大公様とも話してみる。
もしかすると呼ぶかもしれんがその時は協力頼む」
「そっちより、カールラ姉様の暴走を止める方で呼ばれそうな気が……」
ねぇ、なぜ視線逸らすの?
自覚あるなら自分でどうにかしてよ!
あなた、姉様の父親でしょ?
その後、ジャーヴィン侯爵家に夕食会参加者が続々と集まって来た。
お偉いさんたちでは大公様ご一家、チアゼム侯爵家ご一家。
そして、お忍びではあるが陛下と王妃様。
……お二人ともお忍びという単語を辞書で引いてから来てください。
これ以上ないほどにバレバレなんですが?
ジャーヴィン侯爵家関係として寄り子の当主一同と奥様、お子様たち。
ジーピン家関係としてロッティ姉様の実家であるカルース家の当主と奥様。
ラーミルさんの実家であるノヴェール家当主のベル兄さん。
……オドオドしなくていいですよ、ベル兄さん。
喰われることは無い……はずですから、多分。
それと最後に、カールラ姉様のお友達。
……一言でいえば以前の裁判の前に僕の女装するための服を色々検討してくださったお姉さま方。
オーミュ先生やティアーニ先生も参加されてます。
……本日は女装しないから、熱い視線は送らないでください!
「何と言うかモテモテだな、ニフェール」
「変わりたいのか、フェーリオ?
お前も女装してみたらモテるぞ?」
「冗談はよしてくれ、喰らいつくされるのがオチだ」
「ジル嬢もアッチの女性陣と大して変わらんだろうに」
「……言うな、正直不安なんだから」
「チアゼム家に婿に着た途端、嫁として扱われるとか?」
落ち込むフェーリオ。
本当に夫婦円満の為に女装覚えたら?
カリムたちやカルたちは? と探してみると四名で一塊になっていた。
いや、マギーのおっちゃんも含めて五名か。
「大丈夫?」
「ぼっちゃん、この場所、本気で不安なんですけどぉ!」
「下手にうちらだけで放置するよりマシだというのは理解できるんだ。
とはいえ貴族ばっかりの場所で安心は流石にできねぇよ……」
「カリムはともかく、あのマギーさんをヘタレさせるって。
ニフェールさんよ、あんた何者なんだよ?」
カルが驚愕の表情を浮かべているが、そこまで驚く話では無いぞ?
「そこまで驚かなくても、ただの男爵三男だよ。
とりあえず、今日はこの場所で飯食うのに専念しておきな。
下手に動くと面倒事に巻き込まれるぞ」
「ひぃっ!」
本当に暗殺者ギルドのマスターやってたのか、こいつ?
へたれにもほどがあるぞ?
「カル、カリム。
一応言っておくが、ルーシーやナットをちゃんと守れよ?
殴り合うのではなく、僕に呼ばれているとかうちの両親から命ぜられたとか、適当な理由をつけて回避するんだぞ?
マギーのおっちゃん、そこらへんこいつらより慣れてるでしょ?
ちょっとこいつらをフォローしてあげて欲しいな」
「しゃ~ないですねぇ、少し助けてやりますか」
すまんねぇマギーのおっちゃん。
あれ、ルーシーやナットは……何ぐねってんだよ?
そんなに女性として扱われるのが嬉しいの?
カル、カリム、ちゃんと女性として扱ってやれ?
「すまんが、どうしても挨拶回りをサボるわけにはいかないので、ここらへんで食事していてくれ。
終わったら戻ってくるから」
そんな感じで参加する面々をフォローして回っているとジャーヴィン侯爵の挨拶が始まった。
この後立食パーティで、その後芸人呼んでいるとか言っている。
……芸人なんて呼んだんだ。
挨拶が終わり、立食パーティに入る。
マギーのおっちゃんたちには今いる場所で食事しておくように言い残し、ラーミルさんを探す。
うちの家族と一緒にいてくれていたようで、アムルの面倒を見てくれていた。
「ラーミルさん、アムルの面倒見て頂いてありがとうございます」
「いえいえ、アムルさんはいい子でしたよ」
「ニフェール兄様、その……」
「フィブリラ嬢の所なら連れて行こうか?」
「ぜひ!」
ラーミルさんと三人で大公家の所に向かうと、フィブリラ嬢がトテトテと近寄って来た。
「ニフェール様、ラーミル様、アムル様、アゼル様とカールラ様のご結婚おめでとうございます」
「ありがとうございます、フィブリラ様。
今日は明るい黄色のドレスですか、素敵ですね」
頬を赤らめるフィブリラ嬢。
アムルは……お前、惚けてないでフィブリラ嬢を褒めなさい!
アムルの脇を肘で突き、こっそり「(褒めてあげな!)」と指示をだす。
モジモジしつつ、アムルがフィブリラ嬢をを褒めると、顔を真っ赤にして悶えだす。
最近の女性は悶えるのが標準装備なのか?
「二人とも、おしゃべりしながらになるがちょっと回って見るか?」
「いいんですか?」
「ちょっと不安な方がいるのでフォロー要員として動こうかなと……」
「うちの兄がスイマセン……」
いや【魔王】【女帝】の恐怖を乗り越えてくださったんだ。
文句は言えませんよ。
さて、ベル兄様は……いた。
一人で居場所がなさそうな雰囲気を醸し出している。
なぜ、そこまでボッチになるの?
「お久しぶりです、ベル兄様。
お越しいただいてありがとうございます」
「あぁニフェール、久しぶりだな。
招いていただきてありがとう。
ラーミルとは……仲良くしてそうだな」
「えぇ、色々助けてもらってますし、離せない存在になってますよ」
ラーミルさん、顔真っ赤だよ。
いや、言った僕も顔赤くなってきたけど。
「ハハッ、幸せそうで何よりだ。
ちなみに、後ろにいらっしゃるお二人を紹介して頂いてもいいかな?」
「男の子の方は、僕の弟のアムルと言います。
女の子の方はフィブリラ・アリテミア。
アリテミア大公家のご息女です」
「……はぁ?」
落ち着いて、ベル兄様。
このくらいならまだ精神的ダメージは軽いでしょ?
「あ、あぁ、ベルハルト・ノヴェールと申します。
ラーミル・ノヴェールの兄です」
「まぁ、ラーミル様の兄上様でしたか。
フィブリラ・アリテミアと申します。
今の所はアムル様の友人ですわ。
今は……ですけど」
フィブリラ嬢、そこで欲望駄々洩れにならない!
「ニ、ニフェール?
まさか?」
「ご想像通りです。
フィブリラ嬢とアムルが仲良くなりました。
大公様を堕とせたら、もしかすると……」
生唾飲み込むベル兄様。
気持ちは分かる。
そりゃあ、大公家長女が婚約者になり、自分の妹と義理の姉妹になる可能性があるなんて聞いたら驚くでしょうね。
「あら、ニフェールちゃんもこちらにいたの?」
「カールラ姉様、アゼル兄。
皆さんに顔見せしてる最中かな?」
「ええ、あらベルハルトさん、お越しいただいてありがとうございます」
「いえ、お呼びいただいてありがたいですよ」
……ベル兄様、ガッチガチです。
「ニフェールとラーミル嬢の繋がりもあることですし、そんな硬くならず。
おや、アムルにフィブリラ嬢。
二人もこちらに居たのかい?」
「えぇ、アゼル兄様。
僕たち二人だけじゃ心配かけそうで、ニフェール兄さまについて行こうかと」
「そうだな、その方が安全だ。
ニフェール、あの五人は?」
「端っこの方で食事してもらってる。
僕もあいさつ回りして、そちらを終わらせたら合流するつもり」
「それならいいが、あまり放置するなよ?
マギーなんか息も絶え絶えなんじゃないのか?」
「確かに慣れてなさそうだね」
「あんまりイジメてやるなよ」
そんなイジメる理由はないんだけどなぁ。
まぁプレッシャー与えすぎて倒れられても困るか。
アゼル兄とカールラ姉様は他の方々へあいさつ回りに移動していった。
「ベル兄様、大丈夫?」
「な、何とか。
流石に以前程プレッシャーを感じずに済んでいるよ。
ニフェールに勘違いを指摘されたのがここで生きるとはな」
まぁ、少しづつ慣れてくれればいいですよ。




