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 会議も終わり、各自パーティの準備に向かう。

 ロッティ姉様も実家から着飾った状態で王宮にやってきた。



「ニフェールちゃん、どんな感じ?」


「予想以上に面倒なことが……」



 そのまま先の話を教えると、天を仰がれてしまった。



「いや、そんなことが起きたとはねぇ。

 よくもまぁ、そんなイベントが頻出するわね」


「イベントなんて無くていいのに……」



 まぁ、ラーミルさんが奪われる可能性はなさそうなんで少し落ち着いたけどさ。



「で、ロッティ姉様。

 少し手伝ってほしいんだけど」



 そう言って、無関係な人たちを壁側へ避難させることをお願いする。



「カールラ姉様にもお願いしたけど、一緒に動いて欲しいな。

 それと、ご両親にはアゼル兄かうちの両親の方に逃げておいて欲しい。

 パーティの前半はまだ大丈夫だろうけど、後半になるとやってくると思うから」


「あぁ、邪魔者たちね。

 分かったわ、そっちは任せてニフェールちゃんのやることに注力してね」



 ロッティ姉様と別れ、次は……あいつらか。



「おぅ、ニフェール。

 どんな感じだ」


「無茶苦茶厄介な話になってる。

 お前等にも手伝わせることになった、覚悟しとけ」


「……勘弁してくれ、俺たちまだ学園生だぞ?」


「知ってるか?

 実は僕も学園生だったんだよ!」


「嘘だっ!」



 フェーリオ、お前嘘は無いだろ、嘘は!

 ネタにしても勘弁してくれ!

 ジル嬢、レルカ、クレイ、笑い過ぎ!


 後は……アイツらか。

 一番面倒そうな気が……。



「……嘘だろ?」


「事実だ。

 他の科はフェーリオ達に指示をたのんだ。

 お前等には他の騎士科の奴らに情報を流すこと。

 そしてパーティ前半はともかく壁際で大人しくしていること。

 周知頼む!」



 ホルターとスロムに指示を出すと、困惑されてしまった。

 全く、似たようなこと過去にあったろ?

 暴動起きた時の対応と大して変わらんだろうが。



「いや、こんなぶっ飛んだ指示誰が信用するんだよ!」


「僕が信用できないのならお前の兄に確認してみろ。

 ペスメー殿ならお前の判断に呆れつつも僕と同じ指示を出すだろうね。

 あぁ、もしかすると『なら隅っこで大人しくしてろ!』とか言われるかな?」



 ペスメー殿も暇じゃないからなぁ。



「……そこまでヤバいのか?」


「僕がわざわざお前らに作業を依頼する時点でヤバすぎると思わんか?

 勉強を教えるとかを除いて、この手の指示って暴動以来だろ?」


「……確かに」


「それと同等の面倒が起こる。

 なら、使えるものは使わんと死体が増えるだけだ」



 スロムは説明を聞いて覚悟を決めた様だ。



「分かった、クラスメートや関係者に周知しておく。

 ……アテロ様とかセレブラ嬢にも伝えていいか?」


「構わんよ。

 とは言え、フェーリオとジル嬢が周知に動いているし、そっちでら聞いてるか?

 まぁ、二重に聞かされても避難等ちゃんとしてくれるならいいんだけど」


「分かった。

 ホルター、行くぞ。

 サッサと周知しておいた方がいい」


「ったく、何でこんな面倒事が……」



 それをこちらに愚痴ること自体が間違っているんだけどなぁ。



「ホルター、この手の面倒事が嫌なら騎士を目指すの辞めろ。

 王宮では普通に起こりうる話だろうに。

 覚悟足らなすぎだぞ?」


「……普通なのか?」


「真顔で普通かと問われるとこちらも困るが……。

 王宮での暗殺なら夏辺りにあったし、陛下への襲撃も秋にあったな」



 誘拐の件とアゼル兄の結婚式だね。



「加えて暴動だって秋にあったろ?

 結構危険な仕事ってあるんだぞ?」


「そんなの普通じゃねえよ……」


「なら他国にでも逃げればいいのに。

 この国にいる以上まだ厄介事は続くぞ?」


「本気でセリナ様が戻ってきたら一緒に逃げようかなぁ……」


「お前まで平民になって他国でどうやって生きていけるのかにもよるがな。

 そんな外国語成績良かったっけ?」



 そう言うと落ち込むホルター。

 やっぱり、ダメダメか。



 あとはスロムに任せて周囲を見回す。


 暗殺者が隠れられるところは結構あるな。

 とは言え、侵入するとしたらわざわざ壁登ったりはしないだろ。

 なんせ、侯爵や騎士からの協力があるんだ。

 適当な通路使って入ってくるだろう。


 こちらが味方と思っている部隊でもテュモラー侯爵側の者がいる可能性は高い。

 なら……裏切り者がいる前提で守るしかないんだよなぁ。


 第二の方々であっても全員を知るわけじゃないからねぇ。

 まぁ、裏切る精神的余裕は無いだろうけどね。


 僕が暗殺者なら……まず確実に陛下を狙える場所の確保だな。

 となると陛下正面、もしくは側面で狙いやすそうなとこか。

 追加で、実行まで隠れられるとこ?


 ……ぱっと見可能性が高いのはテラスの影辺り?

 後、二階部分の踊り場辺りかな?

 他でも幾つか可能な場所はあるけど、そこまで技量あるかな?

 ティッキィレベルならできそうだけどなぁ?


 後は……騎士たちが何処まで事前に邪魔できるかだけど……難しいか。

 テュモラー侯爵家の権力で何とでも誤魔化せそうだしな。


 おっ、ペスメー殿。

 ちょっと声かけて来るか。



「ペスメー殿、今大丈夫?」


「お、ニフェール殿。

 今のところは侵入されてなさそうだよ」



 まぁ、現時点で入られてたらかなり不味いんだけどね。



「ちなみにどの辺りに部下の方配置してます?」


「あそこのテラスの影と二階の踊り場だな。

 というか、それ位しか狙い易い所が見つからん」



 そりゃそうか……。

 王宮で仕事長いだろうし、僕でも気づくところなら流石に分かるよね。



「やはりそうですか……。

 一応確認ですが、あの二ヵ所以外で条件付きで使えそうなとこあります?

 具体的に言うと、協力者がいる状態で侵入できてパーティ会場から見えない所」



 ……あれ?

 なんでそこで驚いてるの?



「あ、いや、確かにそうだな。

 普通に暗殺者相手のこと考えてたが、あちらは協力者がたっぷりいるんだよな。

 となると……あぁ、あそこがある!」



 え、どこ?



「二ヵ所、左のあそこともう一つ右の同じような所。

 あの二ヵ所は傍に木が生えていてな。

 登って窓から侵入しようとすれば何とか二階に入れる。

 普通なら、入り込むためには会場までのルートの途中から登る必要がある」


「……でも、今日は第七が王城の門、第三が門と会場の間にいる。

 となると、かなりの確率で侵入可能ってことか……。

 ちなみに、何でそのルートご存じなんです?」


「昔、第二王子が悪戯してこのルート通って逃走したんだ。

 ちょうどその時俺は新人騎士だったんだけど追っかけたのを思い出してな。

 面倒くさかったぜ……こちとら鎧付けてるってのに向こうは身軽だしよぉ」



 おいおい、テュモラー侯爵?

 第二王子を味方につけた様だが、その味方が邪魔しに来てるぞ?



「……なんか悪いこと考えてないか?」


「いや……あ、そうだ。

 第二の他の隊員たちに同じように質問してみていただけますか?

 特にペスメー殿に近い、第二王子に苦労させられた方。

 それと王太子様が小さい頃に接点のあった方。

 雑談って感じで軽く聞いてみていただけると助かります。

 ある程度まとまったら僕の所に連絡を」


「……なるほど、各自の情報を持ち寄って相手のルートを潰すと?

 子供の頃に脱走とかに振り回されそうな人物に聞けと?」


「ええ、その通りです。

 あ、裏切り者がいるとかは言わないでいいんで、思いつきというスタンスで。

 そうすれば怯えたりせずに答えてくれるかなと思うんですが」


「了解。

 ちょっと情報収集行ってくるわ」



 妙にウキウキしながらペスメー殿は聞き取りに向かった。



「ニフェール、ペスメーに何した?」


「おや、マーニ兄。

 どうしたの?

 王太子殿下の護衛は?」


「もう少ししたら迎えに行ってくる。

 で、どうしたんだ?」



 先ほどの話を教えてあげると、中々性格悪そうな表情を浮かべた。




「お前、性格悪いよな?」


「どこぞの兄に似てしまったかな?」




 二人でグフグフ笑顔になってるとアゼル兄から鉄拳が飛んできた。

 流石に即回避したけど。



「何二人で気持ち悪い笑顔浮かべてやがる。

 マーニ、そろそろ行かないとまずいんじゃないのか?」


「おっと、確かに。

 んじゃな」



 あっさりと王太子殿下の所へ向かったので、僕はアゼル兄達にも報告。



「……意味は分かった。

 だからと言ってあの笑いはなぁ……。

 あの顔見られたら、どちらが悪者か判断し辛いぞ?」


「顔で善悪判断するのはダメだと思います!

 ……自覚あるでしょ?」


「やかましいわ!」



 流石ジーピン家で一番怖い顔。

 分かって頂けて光栄です。



「そんなわけで、こちらの意識から外していたルートの調査も進めてます。

 情報は一旦僕の所に来るようにしてるので、後で教えるよ。

 集まったらそれを元に……罠を仕掛けるとしましょうか」


「罠?」


「その場所だけ監視を緩めて、入りやすくする。

 代わりにうちらはそのあたりの監視を強めにしておく。

 ノコノコ入ってきて襲撃したら美味しくガブリと……」


「それはお前だけだからな?

 俺もマーニも噛みつきは標準装備じゃねえんだよ!」


「比喩だからね?

 本気で噛みつけなんて言わないよ。

 僕だって必要無いのに噛みつく理由ないもん」



 なぜか不信感MAXなジト目で見てくるが、信じて欲しいなぁ……。

 唯一噛みついたのは武器無し・守る人有り・相手を追い払う位の恐怖必須。

 この条件が必要だったってだけだし。



「ま、まぁ、比喩表現は置いておいて、一応その方向で」


「分かった、それでいくぞ。

 ちなみにうちの他の面々は?」


「女性陣にはお友達に情報展開を。

 両親は……あぁ、あそこで両侯爵の傍にいるね。

 アムルは……大公様の護衛……というかそれを理由にしてフィブリラ嬢と一緒」


「……アムル、大丈夫だよな?」


「信じてあげたいと思うけど、少々不安かな。

 具体的に言うと見つめ合い始めた場合」



 多分無意識に攻撃を叩き落とす位はするだろうけど、本来の目的には……。

 守るのはフィブリラ嬢だけじゃないんだからな?

 大公様ご一家だからな?



「……ちょっとこの後、念押ししておきますか」


「だな、俺も大丈夫だとは思いたいが、過去の実績がなぁ」



 まぁ、最初が衝撃的でしたからねぇ。



「後は……フェーリオ達やクラスメートに女性陣と同じように情報流させてる。

 そっちはまぁ、オマケみたいなものだけどね」


「まぁ、少しでも協力してくれればありがたいのはあるな。

 んじゃ、俺は宰相殿達の護衛に戻るよ。

 お前もアムルの方頼む」



 アゼル兄と別れて大公様の傍に移動。



「アムル、護衛は大丈夫か?」


「あ、兄様!

 大丈夫です、今のところ何もありません」



 アラアラ、フィブリラ嬢ったらアムル見る目がハートマークですよ?

 隣の大公様が歯ぎしりしているの気づいてないの?


 取りあえず今までの情報共有と見つめ合うの禁止と念押ししておく。

 情報については理解してもらえたが、禁止事項については……。



「その……兄様、ダメですか?」


「僕の弟は仕事を完遂出来ないおバカさんじゃないと思いたいんだけど?

 ……今日は難しいかも知れないけど、パーティ後に時間取ろうか?

 ご褒美ということで」


「「ぜひっ!」」



 そこで一緒に目の色変えないでおくれ、フィブリラ嬢?

 一応大公家のご息女だろ?

 それっぽく振舞っとけ?



「大公様、この後基本はあまりウロチョロしないで済みます?」


「難しい、だが前半はともかく後半は理由つけて動かないつもりだ。

 うちの妻とフィブリラの脚が疲れたと言えば文句も出るまい」



 あぁ、そういう手ですか。



「ならこちらも安心です。

 すいませんが、アムルをお願いします」


「いや、こちらもアムル君に守ってもらうのだ。

 むしろこちらこそよろしく頼む」



 大公様ご一家と別れ、周囲を見渡しつつ動いてみる。

 皆、暗殺者がやってくることなぞ知らないからか、笑顔が見える。

 まぁ、本当に笑顔なのは子供たちや女性陣あたり?

 当主や嫡男は色々と腹に隠して笑顔を作って話をしているようだ。


 まぁ、暗殺者来たら皆恐怖に怯え泣き叫ぶだろうけどさ。



「ニフェール、ちょっといいか?」



 ん?

 ホルターとスロムか?



「どうした、周知は終わったか?」


「一応クラスメートや知り合いには伝えておいた。

 信用するかは知らんがな」


「そこは構わんよ。

 信じない奴らの事まで面倒見切れないしね。

 で、その報告かい?」


「追加で相談だ。

 マーニ殿とペスメー殿はどこにいるか分かるか?」



 ……あぁ!

 以前のやらかしの謝罪か?



「すまんが今日はのんびり話す余裕は無いと思う。

 マーニ兄は王家の方々に護衛として傍にいる予定。

 ペスメー殿は暗殺者対応でてんやわんやだと思う」


「あ……そうか。

 どうしようか……」


「学園の授業再開してからでも王宮行って謝罪の時間作ってもらおうか?

 すまんが僕もちょっと余裕ないしね」


「……暗殺者は本当に来るのか?」


「知らないよ、僕が狙っているわけじゃないし。

 向こうが諦めてくれればいいんだけどね。

 ただ、黒幕は色々仕込んでいるみたいだからなぁ……」


「……誰だ、その黒幕って」



 おいおい……そんなの言えるはずないじゃん。



「それ知ってどうするんだ?

 まさか、当人に向かって『暗殺者送り込むの止めてください』なんて言うの?

 知らぬ存ぜぬで終わるに決まってんじゃん」


「いや、そうなんだが……証拠とか?

 俺たちで調べられることがあるのかと思ってな」



 まだそういうこと考えているのか?



「無いよ。

 むしろ下手に動くな。

 お前の友人を守れるように皆で壁際に張り付いているように周知しろ」


「……」


「それともお前は無手での戦闘力あったっけ?

 それも相手がナイフや毒針を投げてきても対処できるの?

 鎧着てるのならともかく、今のスロムじゃ無理だろ。

 最低でも僕に勝てないような程度じゃ死ぬだけじゃない?」


「……そういうレベルなのか?」


「今までもそういうレベルの案件しか対応してないよ?

 スロムでもできそうな件なら手を借りることもあるけどさ。

 お前の実家にバレないように情報をコントロールするとか?」



 その範疇以上はさせられないよ。


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