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 その後、陛下から全体に一言お言葉を頂き解散となる。


 ジーピン家、ノヴェール家、そしてサバラ殿とクーロ殿は集合。

 この後のことを話し合う……はずだった。



「全く、あの場でニフェールさんの争奪戦するなんて何考えてるんです!」


「い、いや、それだけニフェール君の有無って格段に違うんだって!」


「そうそう、何が何でも欲しいのですよ!」


「いるといないとじゃ大違いだからなぁ……まぁ、望まぬ仕事も増えそうだが」



 上からラーミルさん、ベル兄様、サバラ殿、クーロ殿。

 こういう発言が飛び交うと、以前侯爵が言ってたあだ名が現実になりそう……。

 確か、【傾国】だったか?


 ……文官三名が僕を奪い合う?

 ローズストリートによく行きそうな奴らが喜ぶシチュ?



「だからと言ってあの場で話す内容じゃないでしょうが!!」


「むしろあの場で制肘(せいちゅう)しとかないと侯爵たちが奪いかねないんだよ!」



 ……否定できないな、これ。

 それと、侯爵だけじゃなく王妃様もいるからね?


 とりあえずラーミルさんを後ろから抑えて……ついでに抱きしめる。

 う~ん、役得役得♡。



「はいはいラーミルさん、ちょっとストップ。

 今日のこの後の話し合いの方が優先度上だよ?」


「む~……」


「ベル兄様の事は後でサンドラさん辺りに協力してもらって叱っといて。

 なんならティアーニ先生に頼んで色々調教してもらえるよう交渉しても……」


「待って!

 それは待って!

 いつもだって(しつけ)られそうなのに!」


「ニフェール、その辺で……」



 あれ? アゼル兄?

 どうしたの割り込んで?



「いや、何となくカールラ暴走が頭によぎったんだよ。

 でもベルハルト殿は俺より体力的に厳しかろ?

 下手すると本気でヤバそうな気がしてな……」


「まぁ、何となくカールラ姉様ほどでは無いと思いますけど……。

 似たようなものかな?」


「なら止めておけ、俺でも厳しいってのに……」



 ベル兄様、「【魔王】が厳しいって……」とか言わないであげて?

 実際カールラ姉様の暴走は物凄そうだし。



「分かった、とりあえずは止めとくよ。

 ちなみに、侯爵方から連絡は?」


「そろそろのはずなん――」


「――失礼するっす!

 ジャーヴィン侯爵がお呼びっす!」



 おや、メリッス殿。

 準備できたんですね。



 案内され向かったのは……確か暴動後に打ち合わせた会議室だよな?

 マーニ兄も既に来ていた。



「おぅ、座ってくれ。

 陛下たちもそろそろこちらに来るはずだ」



 あ……第二王子の事聞いてみるか?



「ねぇ、第二王子って参加予定あったの?」


「……なかった。

 儂等も知らなかったよ」


「陛下とアイコンタクトした感じでは向こうも頭抱えていた感じだね。

 ……もしかして第二王子ってどこか特定の派閥に取り込まれてる?」


「取り込まれるとまでは言えないが……。

 儂等王家派や宰相たち中立派は特に深い接点を持って無いな」


「……まさか貴族派とか?」


「その場合は陛下や王妃様が率先して止めるだろ?」



 まぁ、そうなんだけどさ?



「第二王子付きの侍従侍女や側近候補たちは貴族派はいない?

 もしくは元ラング伯が接点あったとか?」


「……少し調べてみるか。

 だが、今日明日で分かるものじゃないぞ?」


「そこは仕方ないよ。

 まずは個人の暴走か操り人形になったのか。

 それだけでも調べた方がいいかな?

 ちなみに第二王子の護衛はどの部隊?」


「……あっ!」



 おい、まさかか?



「で、どこです?」


「第四部隊……」



 冗談でしょ? え、そういうこと?

 貴族派が囁き戦術やり放題?



「……王家の方々の護衛、ちょっと考え直してほしいな。

 これ、とても面倒なことになりそうなんだけど?」


「だよなぁ……第四は今回も大して目立って無いので忘れてたぞ……」



 まぁ、前の隊長たちは仕事できない奴という認識しかないしなぁ。

 その後は目立った功績無いし。



「念の為、他の王族の方の担当は?」



 纏めると、以下の通り。


 陛下:第一

 王妃様:第二

 王太子:第三

 第二王子:第四

 王太子妃:第五


 多分生まれた順+王家に入った順って感じかな?

 大公様は外されてるんだね。

 でも……。



「王太子殿下が第三?

 王になったら第一の隊長にしてくれとか囁いてないよね?」


「……この後聞いてみろ?

 殿下も来るはずだしな」



 やりかねないと思ってるでしょ?



 そんな話をしていると陛下と王妃様、王太子殿下が入ってきた。

 滅茶苦茶お疲れの表情ですけど……。


 追加で、王太子殿下?

 なんで僕とラーミルさんをチラチラ見てるの?

 濃厚なキスシーンとかはしてないよ?

 それも表情に怯えが見えるけど……。



「……色々聞きたいこともあるだろう。

 そちらの話もしたいところだ。

 だが、まずはこの後のパーティについて終わらせよう」



 仕方ない、陛下の言い分も分かるし受け入れるか。

 とりあえず僕から口火を切るか。



「えっと、まず騎士たちの配置の最終決定版は?」



 これは団長が応えてくれた。



「以前決定したのから変わっておらん。

 会場内は第二、門を第七、会場と門の間は第三。

 庭が第六、調理場が第五、第一と第四が王都監視だ」


「一応、犯罪者ギルド側にも放火とかあったら即刻消すよう指示済みです。

 後、隊長以上の立場の方は?」


「わしは陛下を担当する。

 第一のラクナは王妃様。

 第二のマーニは王太子殿下。

 第三のアキュムは王太子妃。

 第四の隊長、アネルが第二王子だ。

 ちなみにアネルについては第二王子たっての希望だ」


 希望というか……テュモラー侯爵の入れ知恵だろうなぁ。

 となると、どっちだろ?

 後ろから刺すか、それともそこだけ安全地帯か。


 何となく、味方を潰そうとはしなさそうな気がする。

 今後の国家運営に使うだろうし。


 となると……。



「多分、第四のアネル殿?

 その方はテュモラー侯爵側っぽいですね。

 先ほど、陛下が来られる前にも同じような話をしておりました。

 なぜ第二王子殿下が割り込んできたのかと」


「……そういうことか?」


「多分。

 団長と第一から第三の隊長を消したら第四の隊長が副団長になるんじゃない?

 加えて、第二王子をお飾りとしてテュモラー侯爵側につけようとするのなら?

 第四の隊長が守ったことにするけど、実際は攻撃されないだけとか?」


「……」



 理解はできたが、勘弁してくれってところかな?

 とは言え、第一や第七のズタボロ加減とか考えたら十分あり得るからなぁ。



「ちなみにより面倒な話になりますが、そのアネル殿?

 王太子妃殿下の暗殺を(にな)っているとかあるとマズいですね。

 正直一番傍にいる第三の隊長は守れますか?」


「……なんとも言えん」



 ……マーニ兄に頑張ってもらうか。



「マーニ兄……」


「仕方ない、基本王太子殿下で一部王太子妃殿下も守る条件として含めておこう」


「ごめん、お願い。

 ちなみに、副団長と第五から第七の隊長さんは?」


「あぁ、副団長は全体を見まわしての指揮担当としている。

 第五から第七は会場を回遊しながら不審者がいないか確認だな。

 後、ついでに兵站のトップも働かせることにした。

 と言ってもやることは不審者確認だけだがな」



 ……どんな人?

 チラッとマーニ兄を見ると、特に反応がない。

 まぁ、信用してもいいって感じかな?



「そうですか……まぁ、そっちはお任せします。

 なお、ジーピン家側の配置はマーニ兄は騎士側に合わせる。

 アゼル兄は宰相・公爵の傍。

 両親が両侯爵家の傍。

 アムルが大公家の傍。

 義姉たちはアゼル兄か両親の所に。

 僕はテュモラー家に嫌がらせかな?

 基本皆から離れるけど、状況によっては一緒に動くかも。

 例えば、事前に暗殺者の位置が分かって、こちらから攻撃可能そうとか?」


「……まぁ、お主のやり方は任せる。

 どうせ、頭使っても理解できんからな」



 団長さん、諦めたらそこで試合終了ですよ?



「それと……一応考えていたのが学園の知り合いに少し情報を流そうかと」


「……どんな感じでだ?」


「今日のパーティは危険なことが起こる。

 いつ死んでもおかしくないから家族や友人を壁際に集めとけって感じ?

 連絡対象は……騎士科二年。

 そこから広めてもらいましょうかね。

 まぁ、フェーリオやジル嬢たちにも協力してもらえると助かりますけど」



 両侯爵とも少し悩んでいるな?



「ちなみに、パーティ開始直後とかなら影響少ないのでは?

 相手が襲撃してくるのもこちらが集中力途切れそうな後半でしょうし」


「……確かにな。

 開始前と前半位に情報共有に動いて後半は身を守ることに集中すればいい」



 そうですね、これで大体の準備は終わりかな?



「では、パーティの準備は完了ということで……陛下?」


「あぁ、ディスファの件だな。

 第四のアネル経由でテュモラー家と繋がりを持っていたらしい。

 そしてジュニズムが今のディスファの歳くらいに参加したと聞いたそうだ」



 あぁ、やっぱり……。



「それだけなら参加させないこともできた。

 だが、テュモラー侯爵が裏で手を回したようで、準備は既に終わっていた」


「……あっ!

 確かに、だから椅子が五脚あったんだ……」


「あぁ、流石にそこまで準備万端にされてはどうしようもない。

 参加させざるを得なかった」



 マジか……

 ディーマス侯爵とは違うってことか?



「ちなみに、パーティにも出られるんですよね……。

 それもテュモラー侯爵の?」


「そうだ。

 ただ……それだけではなくなった。

 聞き取った結果、ろくでもないことを思いついたらしい……」


「……なんです?」



 陛下は僕をチラチラ見て、覚悟を決めて言い放つ。




「ラーミル・ノヴェールを妻にしたいと言い出した」




 ブ ワ ッ ! !


 ブ ワ ッ ! !




 僕とラーミルさんが全方位に殺気を放つ。

 ジーピン家は想像していたのか「そりゃこうなるわな」といった雰囲気。


 だが他の者たちは、開けちゃいけない扉を開けたかのような……。

 負の感情だけを詰め込んだ、希望はどこにも見つからない。

 そんな、地獄の様な雰囲気を全身に感じていたようだ。

 誰も、声を出せなくなっていた。



 それを見かねたのか、母上が僕たちを落ち着かせようとする。



「ニフェール、ラーミル。

 陛下がそれを許すはずがないだろう?」


「いや、そりゃそうですけどね。

 でも、厄介なことに王家の権力と侯爵の伝手を使ってくる可能性が……」



 というか、確実に使うでしょ、これ。



「加えて、単純に殴って終わりという訳じゃない。

 傍から見たら第二王子に見初められた子爵令嬢。

 ネタにしやすく、噂にしやすい話ですよね?

 噂流して僕が悪者の様にするとか、結構できそうじゃない?」



 僕が未来の一つを提示すると、皆アッと言わんばかりの反応を見せた。



「その逆パターンもあるよね?

 ラーミルさんが第二王子を弄んだかのように言いふらすとか?

 どっちのパターンであっても被害はこちらのみ。

 あちらは自分らが被害者だと言い切るでしょう。

 こちらが同様の手を使おうとしても王家という最強のカードを使われては……」



 どんどん表情が暗くなっていく一同。

 対処策は……やはり暴力くらいしか思いつかないんだよなぁ。



「国としては……いや、王としてもだが、そなたらの婚約を邪魔する気はない。

 当然結婚もだ。

 第一、ディスファには婚約を想定している者がいるぞ?」



 え?

 ほぼ全員が驚きの表情となった。

 知っていそうなのは……陛下と王妃様、そして王太子殿下くらい?

 ……宰相殿も知ってたか。

 両侯爵は知らなかったようだな。



「それ、予定であってまだ決まってない?

 ディスファ様は知ってるの?

 それと国内ですか?」


「決まってはいない。

 また、一応ディスファもこのことは知っているはずだ。

 当然、学園卒業できない程度の頭しかないのなら婚約なんてさせられんからな。

 最低でも学園に入って夏位までの成績を見て決定することになる。

 ここで最下位とかなったら流石に貴族にもさせられん。

 あと、相手は国外だ」



 はぁ、そんな話が出てたんですねぇ。



「とは言え、双方必須ではないからなぁ。

 現時点で隣国とは戦争も無いし、お互い血を薄める緊急性も無い。

 次代はもうそろそろ産まれるし……」



 王太子妃殿下のお腹の中ですもんね。



「結論として、一応婚約者に近い女性はいる。

 だが、国家間の状況や当人たちの資質により簡単に解消できる」


「それって、ディスファ様が国外の相手を無視して婚約したいと言えますよね?」


「そこについては一つだけアイツの手出しを拒否できる条件がある。

 王子の立場にある者で初婚の場合、相手も初婚の娘の身が対象となる。

 既婚者や離婚経験者は法的に禁止だ。

 再婚時はその条件は関係なくなるのだがな」



 ……あっ!



「ラーミルには失礼な言い方かもしれんが……。

 離婚歴アリの女性をディスファの初婚の相手にはさせられん」



 あぁ! そういやセリン元伯爵家の後妻の立場だったね。

 忘れてた!



「なので、アイツが何を言っても絶対にラーミルと婚約も結婚もさせん。

 そこは安心するがよい」



 少しホッとした。

 となると、こっちで全力で追い払っていいんだね?

 ……一応聞いとくか。



「陛下、多分この後のパーティでしつこく絡んできそうな気がします。

 まず、パーティ前に再度話し合って先ほどの話を叩きこんでください。

 僕としてはラーミルさんを守る余裕が正直無いかと思ってます。

 優先順位として暗殺者対応が第一ですから」


「……まぁ、そうだな」


「なので、ちょっかい出せないようにそちらでディスファ様を止めてください。

 このままでは冗談抜きで僕は暴力で対応しかねません」



 この言葉に陛下も王妃様も慌ててうちの家族を見るが……。

 家族総出で一斉に首を横に降り始めた。


 そりゃそうだよね、自分に置き換えて同じこと起こったら確実に暴れるでしょ?

 アゼル兄もマーニ兄も学園で何やったか思い出せば答え出るでしょ?



「陛下、うちの家族は同じような考えを持つと思いますよ?

 なんせ、兄たちのあだ名のきっかけが嫁なり婚約者なり侮辱された時だし。

 僕としても……理性振り切れるレベルで暴れたいとは思いませんし」



 覚醒は……できれば正直したくないんだよなぁ。

「覚醒する=覚醒せざるを得ない位にブチ切れた」ってことだし。



「……分かった。

 少しでもラーミルにちょっかい出そうとしたら会場から追い出す。

 それと、このことを事前に伝えておく」


「ですね、陛下が本気であること理解できるかどうか。

 ディスファ様の能力が試されますね」



 辛そうですね、陛下。

 でも、この程度のことちゃんとできないようでは王家の者として問題しかない。

 ちゃんとご自分で災厄の芽を摘んでくださいね?


【マンシェ家:中立派:男爵家】

 :アネル・マンシェ:第四部隊隊長

 → 名はアネロイド式 (電源不要で携行用の血圧計で表示部に使われる)

   姓はマンシェット (血圧計の腕に巻き付けるベルト:カフの別名)


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