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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
10:東奔西走
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昨日、十章やっと書き終えました!

というわけで、毎日更新します。

2/22(日):十章最終話投稿予定日まで。

久しぶりの毎日更新ですが、読んで頂ければ幸いです。


さて、十一章の検討始めるか。


 見たくもない男泣きのシーンを無視して首席組はさっさと撤退する。

 正直、あそこまでとは想定してなかったが……頼り過ぎだろ。



「騎士科って、いつもあんな感じなのか?」


「いや、あそこまでぶっ飛んだことされるとはこちらも想定外だ。

 だからこそ、何があるか分からんからさっさと撤退したんだよ。

 ちなみに、あれどうにかしろとか言うなよ?

 触れないのが一番だ」



 納得してくれる首席組。

 そのまま解散となって僕は寮に帰り冬季試験の勉強を進めていく。

 今回目標は領主・淑女科は五位くらいかな。

 文官科はそろそろ十位に入りたいところだ。

 追加で算術も五十……いや、六十点はいきたいな。


 となると最低でも微積分の概要は理解できてないと話にならない。

 ……うん、確率は捨てよう。

 微分はある程度学んだから残りの時間を積分に費やすか。

 それで五十点に届くだろう。


 途中夕食を食べ、継続して学ぶ。

 結構夜遅くまで学び就寝。



 そんな生活を繰り返して……冬季試験初日当日。



「……ニフェール、何感動に打ち震えてるんだよ?」


「何も厄介事無く試験受けられるって素晴らしいと思ってな」


「そんな事態に巻き込まれるのはお前だけだよ!」



 ホルターと他愛無い会話をしていると、先生が入ってきた。

 ……ティアーニ先生、まだ浮かれているようだけどそろそろ落ち着いたら?

 まぁ、直接は言わないけどさ。



 そんなこんなで試験開始。

 まぁ、最初の三日はいつもの騎士科試験なので、かなり気楽に受けられる。


 ついでに休み時間にクラスの面々がいつもよりデキたような発言をしていた。

 音読の成果が出た様だな。



 そのまま試験を受け続け、一般的な試験最終日。

 最後の試験を終えたところでクラスの面々が疲れと安堵の混ざった声を出す。



「終わった~!!

 ニフェール、王都に遊びに行こうぜ!」


「無理。

 僕は後二日試験が残ってるんだよ?」


「あ……そっか、そうだよな」


「なんで、お前等で遊んできな。

 僕はここからが本番なんだから」



 ホルターたちを追い出し食堂に昼食を取りに行くと、フェーリオたちが。

 レルカやクレイも参加なんだ。



「とりあえずは前哨戦は終わりかな?」


「だね、明日から本番だけど……レルカとクレイは大丈夫?」



 フェーリオと一緒になって今回初めて三科試験を受ける二人を心配する。



「大丈夫だって、俺たちだってそれなりに勉強したんだから」


「そうだよ、これでも文官科のツートップだからね。

 各科の首席には負けないさ」



 こちらの心配をいまいち理解できてないんだろうなぁ。



「お二人とも、そういう意味では無いのです。

 この後の二日間は事前に学んだ知力だけでなく体力と判断力も関わります。

 一日で三日分の試験を終わらせなければいけないのですから。

 事前に策を練るなりしといた方がいいですよ?」


「大丈夫ですって。

 ジル様はまだ分かりますけどフェーリオ様やニフェールは乗り切ったんでしょ?

 俺たちだってそれなりに体力ありますから」


「一応言っとくが、ニフェールであっても丸一日試験漬けだとヘトヘトだぞ?

 正直、どこかで力を抜くとか考えないと冗談抜きでキツいぞ?

 明日どうにかできても明後日頭働かなくなるからな?」



 フェーリオの指摘を聞き、青ざめる二人。

 ジル嬢も「だから言ったのに……」という雰囲気を醸し出している。



「ニフェール……事実か?」


「まぁ、事実だな。

 とは言え、僕は前回もっとろくでもない条件でやってたからなぁ……」


「もっとろくでもない条件?

 なんだよ、それ?」


「毎夜寮を抜け出して婚約者の家に行って書類仕事していたとか?

 犯罪者共潰すために暗躍してたとか?

 そういう過重労働があったからねぇ。

 それに比べたら今回は体力的には楽だと思う。

 なんせ、勉強する時間をちゃんと捻出できたし」



 レルカの問いに懇切丁寧に答えてあげると、なぜか頭を抱える二人。

 フェーリオたちは「そう言えばそうだったなぁ」とかのんきに喋っている。



「それでもそれなりの成績を叩き出している?」


「そりゃ、そうじゃないと試験受ける意味ないしね。

 ちゃんと頑張ったよ?」


「……やっぱお前バケモンだわ」


「失礼な、こんなかわいい愛玩犬に向かって何言うかな」



 なぜかレルカから「んなわけねえだろ!」とか言われたがスルー。

 クレイが呆れた視線を送ってくるが右から左に受け流す。



「まぁ、多分今回は前回ほど疲れることなく試験受けられると思う。

 ただ、僕並みの体力を二人が持っているとは思ってない。

 よくてフェーリオ程度だろ?

 なら確実に初日でへたばるから、うまく調整するんだな。

 特に昼休みに入るタイミング。

 難しいと思われる科目を昼休み直前でやるか、昼休み明け最初にやるか。

 そこの判断間違うとその後の教科に影響するぞ?」


「……マジかよ」


「文官科の算術はこの三名が毎回苦労しているんだ。

 で、パターンとして二日目の昼前最後の科目として受けている。

 それなら昼休み使って体を休めて、残りに集中できるからな」



 前回もそんな感じだった。



「で、お前等は今回初めてだから、まずはどの科目が時間かかりそうか覚えろ。

 その知識から年度末の試験に向かうつもりでいればいいと思う。

 特に、僕たちと違って二人の苦手な部分が分かりづらいんだ。

 僕らは文官科が面倒なのが共通なんだけど、二人は違うだろ?」


「確かにな、既に終わらせているからそこは被らないと言う訳だ。

 あれ?

 フェーリオ様達は初日騎士科やってるんです?」


「初日は騎士科+領主科か淑女科の残りだな。

 二日目を文官科にしている」



 フェーリオの回答を聞き、クレイは少し悩んでコメントした。



「ん~、となると僕たちも領主科+淑女科が初日になりそうだな。

 で、二日目は僕たちは騎士科、フェーリオ様たちは文官科って感じかな?」


「多分そんなとこだろう。

 互いに試験問題の情報を横流しするとか気にしにないのかねぇ?」


「そんなチンケなことする奴が三科試験をわざわざ受けないんじゃないか?

 別に文官になる奴が騎士科の試験受けても意味無いとか思ってそうだし」



 レルカがクレイの発言に反応し、僕がそれに答える。

 多分、判断する側が三科試験の存在を重要視してないんだろうなぁ。

 勉強できる奴のお遊び程度にしか考えてないんじゃない?

 侯爵方もそこまで把握できてなかったし。



「まぁ、とりあえず今回初めてなんだからさ。

 三科とはこんなもんだって分かれば十分だと思うけどね」


「そりゃそうだな。

 でもさ、他の学園生が王都に遊びに言ったりしている間試験してるのって……。

 イラっとしない?」



「「「当然!!」」」



 はっ、フェーリオやジル嬢とハモってしまった。



「だよなぁ、どうやって我慢してんの?」


「特に我慢はして無いなぁ、というかイラっとはしてもそれ以上ではないし。

 でも、例えば勉強中に『彼女とうまくいかなくて……』とか抜かしたら殴る」


「ニフェールらしい対応だよ、ホント」


「やりそうな奴がいるから怖いんだよなぁ……」



 とあるクラスメートとかですね。

 別パターンで「彼女欲しいから紹介してほしいっす!」とか言いそうな人も。



 まぁ、誰だかはここでは言わないでおくよ、ホルター&メリッス殿。



◇◇◇◇


「ふむ、それでうちの暗殺者ギルドに協力を求めたいと言う訳ね。

 だけど、内容が書かれてないじゃない。

 口頭で説明するつもりなの?」


「あぁ、そのつもりで来た」


「……他地域に仕事を頼むルールは知っているよね?

 どんな仕事するのかちゃんと納得させられないのなら受け入れられないわよ?」



 東部の娼館ギルドの長と話す俺、ヘリン。

 予想はしていたが、仕事の依頼は俺を経由して東部に連絡することになった。


 とは言え、この東部の娼館ギルドの長であるナリアが厄介だ。

 まずは東部を納得させなければならないんだが……。


 こいつは王都のババアに信奉している。

 うちのクリーでもそこまでしてないと言いたくなるくらい。

 正直、適当に流しておきたい。

 だが、こいつに許可を貰わないと東部の暗殺者を使えない。




 あ~、面倒だ。




「まず先に、この件は本来北部が動けばいい話であることは承知している。

 だが、うちの若いのが王都でやらかしちまってな。

 王都と北部で交渉した結果、北部の暗殺者と強盗は王都での仕事禁止となった」


「……何やらかしたのよ?」


「どうも、事前に娼館ギルドに仕事の許可を得ることを知らなかったらしい。

 結果、王都でやらかした挙句に騎士共にボコられたらしい。

 で、ちょうどそのシーンを見られてたらしくてな。

 王都の方から生き残った馬鹿どもと共に説教じみた手紙を貰った。

 当然、叱責担当らしい商業ギルドの奴もついてきたよ」



 いや、実際は俺たちが勝手にやったんだが、ここは嘘ついちまえ。



「それ、説教されて当然だわ。

 というか自分の部下たちに何も教えてないの?

 そっちの方が驚きなんだけど?」


「正直、王都で仕事するなんて俺も想像できなかったんだよ。

 なんであいつらが王都に行ったのか、誰に頼まれたのかも知らん。

 まぁ、そんな訳で現在俺らは北部以外で仕事ができん。

 だが、王都での仕事が入ってしまった……。

 それもいつも世話になってる大口の依頼主からだ」


「それって、急ぎなの?

 むしろ今王都側で仕事依頼しても断られるんじゃないの?

 北部発東部経由の仕事なんて、王都側が確実に不信感抱くわよ?」


「だろうな。

 でも、依頼主が大きすぎて断ることができん。

 というか、断ったら俺が死ぬ」



 侯爵家から狙われるのは避けたいんだよなぁ。



「一応言っておくけど、うちの暗殺者達と話すときにはアタシも参加するからね?

 そこで違うこと言って無いか確認させてもらうわ」


「あぁ、構わねえよ」



 これで何とか頼めそうだな。

 後は暗殺者共が何処までこちらの言い分を聞いてくれるか。

 そこは相手の性格次第なんだが、どうだかなぁ。



 そんなこんなで改めて暗殺者の長がやってきた。

 見た感じマギーさんとかとは違う、欲望に弱そうなタイプに見える。


 なんだ? もしかしてナリアとイイことしたいのか?

 妙にモジモジしているが、告ればいいのに。

 何となくだがぱっと見嫌がられているように見えるけどな。

 そこらは俺が口出しする事じゃねえか。



「んで、お前が北部の長か」


「あぁ、正直こんな依頼をすること自体情けなくて仕方がねえ。

 だが、規則は規則なんでな。

 そちらに頼らなければならなくなっちまったんだ。

 すまんが協力願いたい。

 仕事内容は――」



 そうして、依頼主の説明をして学園生の暗殺を頼む。

 ついでに王都で依頼主と合流して詳細な話をして欲しいと頼む。



「ねぇ、何でここで詳細な話ができないの?

 それと、今回の場合はオピエが王都の側に説明することになるのよ?

 その時点で説明できなければ王都での行動許可なんて出ないわよ」



 オピエってもしかして暗殺者の長の名前か?



「あぁ?

 単純に俺はメッセンジャーに近いんだよ。

 一応許可をもらうための説明は先程した通りだ。

 それ以上は俺も知らねえ。

 だからこそ本来の依頼主に逢ってくれって言ってるんだ。

 第一、どのタイミングで狙えばいいのかとかは俺も言われてねえんだよ。

 個人的には依頼主から話を聞いて改めて王都の娼館ギルドと話してほしい」



 ナリアが悩みまくっているな。

 オピエは……気にもしてなさそうだな。



「ねぇ、ヘリン?

 アンタ、状況によっては北部ギルド壊滅することになるわよ?

 その覚悟はあるのよね?」


「おいおい、どうして壊滅なんて話が出てくるんだよ?」


「アンタの提案が各地の犯罪者ギルドの規則に反している気がしたのよ。

 ここで本当のことを言わずに、現場に行ったら別の仕事をさせられたり?

 そんなことした場合、北部は消えるわよ?」



 真顔で言ってくるが、それって全犯罪者ギルドで襲撃するってことだよな?



「でもなぁ、俺も情報無いから俺なりの真実しか説明できないぜ?」


「そこがおかしいのよ。

 別地域のモノに頼むのなら、詳細な情報を出すのが当然。

 アタシたちも王都で仕事する場合はかなり慎重に情報提出するわ。

 つまり、アンタの今までの情報だけを王都に持って行っても断られて終わりよ」


「……え?」


「『え?』、じゃなくて!

 今以上の情報を王都側に提示しないと確実に拒否。

 それどころか最悪の場合、オピエ、アンタは王都で死ぬわよ?

 当然殺すのは王都の暗殺者達」



 ちょっと待て、そこまで面倒なのかよ?!

 冗談……じゃねえよな?



「おいおいナリア、俺がそんなミスすると思ってんのか?

 過去にも王都とやり取りしてんだろ?

 それと同じじゃねえか」



 おっ、オピエもっと言え!

 こいつを諦めさせるんだ!



「全く違うわよ。

 今までは王都に情報をちゃんと渡して協力を求めた。

 相手に失礼のないよう東部でも精査した上でね。

 でも、今回は何もかも足りてない。

 王都は確実に断るわね。

 余程依頼主側が王都側を納得させられる情報を提供できるのなら別だけど?」



 チラッと俺を見てきたが、俺も知らない……ことになっているしな。



「それは俺も何とも言えないな。

 正直、答えようが無い」


「……オピエ。

 この後王都の娼館ギルドへの手紙を書くわ。

 それを持って指示を仰ぎなさい。

 その結果によってはアンタの仕事は変わるかもしれないわ」


「は?

 こいつの言う学園生の暗殺だけだろ?」


「いえ、北部暗殺者ギルドの壊滅になるかもしれないってことよ。

 アタシら東部のギルドは規則を厳守するわ。

 でも、今回北部が東部を隠れ蓑にして規則違反をしようとする可能性がある。

 だからこそ、ちゃんと王都で指示を仰ぎなさい」



 ……おいおい、目がマジだろ。

 オピエ、お前こいつのこんな表情見たこと無いのか?

 めっちゃ震えてるじゃねえか。



「……その、王都側の指示を守らなかったら?」


「確実にアンタが死ぬわね。

 当然東部、北部も火の海になるでしょうね。

 わかる? それだけ危険な状況なのよ?」



 ガックンガックンと壊れたオモチャみたいに首肯するオピエ。



「アタシは明日にでも手紙を書くけど、出発はいつ位なの?」


「とりあえず一人か二人と思ってたんだが……。

 今の雰囲気だと、その学園生一人かどうかも説明がないんだよなぁ。

 おいヘリン。

 そっちはどれだけ出せる?

 出せる額によっては十名程度を編成しておくが?」



 おっ、大盤振る舞いだな。



「そうだな……念の為最大編成で頼む。

 金なら依頼主が出すから心配いらねぇ」



 この言葉にオピエが笑顔を見せる。

 ……チョロい。


 同時にナリアは絶対零度の視線を向けて来る。

 これ、どう考えても信用されてないな。



「なら一応三日後かな。

 少し早めることもできるだろうが、その位だろ。

 となると、到着は建国祭間近だな」


「じゃあ出発直前にここに来なさい。

 手紙渡すから」


「あぁ、んじゃ準備始めるから帰るぜ」


【ディーマス領娼館ギルド】

 ナリア:娼館ギルドの長(表裏とも)

 → 淋病(ガーナリア(?))から


【ディーマス領暗殺者ギルド】

 オピエ:暗殺者ギルドの長

 → オピエート (ケシの実から天然に生成される麻薬性の化合物)から

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