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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
10:東奔西走
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53

 最終的に両侯爵が手を組んでフェーリオを特訓することになった。


 一応、「砕拳女子」から情報を仕入れることを頼んでいるのは伝えておいた。

 ジル嬢がやらかす手段を理解するために必要と判断したのだろう。

 キッチリ現時点で出版している分は全て読ませるとのこと。


 ……うん、まぁ、頑張れ?

 お前の知らない所で親共がプレッシャー掛けに来てるけど、何とかできるだろ。



 そのまま話し合いは終了。

 僕らは侯爵家帰宅組とパン爺さんに顔出す組に分かれて動き出す。



「……んで、わざわざここまで来たのか?」


「うん、まぁ後で娼館ギルド集合してもいいんだけど、まずは簡単に報告かな」



 頭を抱えるパン爺さん。

 胃を抑えるんじゃないんだ。



「……分かった、とりあえず夜にピロヘースの所で再度会うとしようかのぅ。

 こちらから伝えておく。

 それと第七の調査を先行するのは分かったよ。

 そっちはすぐに方向修正しよう。

 とはいえ、他のギルドが既に北部と繋がっている可能性があるのか……」



 面倒くさそうに言わないでよ、僕も正直面倒臭いし。



「取り合えず確かに可能性があるのは強盗の残り二組と詐欺師の三組だな。

 これらはすぐに動かす。

 ……(ぼん)、お前なんか呪われてないか?」


「そんなこと無いと思うんだけどねぇ。

 呪いそうな奴らはほぼ死んでるし。

 残るは……禿あたり?」


「複数いる時点で問題だらけな気がするんだがのぅ」



 いや、それ言われてもねぇ。



「ま、まぁ、夜に会うこととしようか。

 んじゃ、僕らはこれで」


「あぁ、後程な」



 そのままチアゼム家に戻り、状況報告。



「面倒臭そうねぇ……これ、本当に落ち着くのかしら?」



 ルーシー、それは僕にも分からないよ。

 とりあえずやってみるしかないんじゃない?



「まずは出来ることから対応していくしかないだろうね。

 といっても僕らができることは襲撃位だし」


「そうよねぇ。

 北部と手を組んでいる奴らが誰かはあたしたちじゃ調べられないわよね?」


「強盗ギルドの方に情報あるのなら、まだ調べようがあるだろう。

 でも、そこに無いのなら無理だね。

 それとも一つづつ調査する?」


「無理よねぇ?

 権力で調べる環境作れば見つける自信はあるけど、何も無しではねぇ」



 デスヨネ。

 どう考えても僕たち向けの状況じゃないよ。



「とりあえずパン爺さん待ちにするしかないね。

 あ、それと強盗ギルド壊滅を詐欺師ギルドに週末話すでしょ?

 その時、相手の反応見ておいて欲しいな」


「反応?」


「強盗ギルドを再壊滅させると聞いて受け入れるのならいいんだ。

 でも、適当な理由つけて止めようとする奴が出るかもしれない。

 その場合、そいつは北部に取り込まれているかも」



 仮に北部と仲良くしているのなら強盗ギルド潰すのは止めるじゃないかなぁ。



「ん~、微妙ねぇ」


「え、何で?」


「王宮で説明受けた感じだと強盗が消えても向こうは大して気にして無さそうよ?

 むしろ、北部の奴を送り込んで乗っ取りに動くんじゃない?」



 あぁ、確かにルーシーの言う通りかも。

 オブスがどうなるか特に気にしてなかった感じはしたし。



「となると、あまり期待しない方がいいかな?」


「まぁ、相手の作戦が読めないからねぇ。

 とりあえず反応してくれたら教えるわ」


「うん、それでいいや」



 後は特にすることも無く、一旦寮に戻る。

 夕食を食べ、大急ぎでチアゼム家へ。



「お、ニフェール様来たな。

 んじゃ行くか」



 カルの声掛けで娼館街に向かう。

 ちなみに一緒に行くのはカルとルーシー。

 いつもの黒服さんに挨拶して爺さん婆さんと話し合い。



「……ニフェール、またあんたは……」



 婆さんのジト目で出迎えられてしまう。

 ラーミルさんならともかく、婆さんの視線は嬉しくないよ?



「僕のせいじゃないからその視線は止めてくれるかな?

 んで、パン爺さんから説明は聞いてるよね?」


「あぁ、あのジジイがついにボケたかと思ったが……。

 あんたの名前を聞いた途端、憐みしか感じなかったよ」


「何故に憐れみ?」


「説明不要だろう?

 カル達も納得してくれるはずさね」



 チラッとカル達を見ると、一斉に視線を逸らす。

 こ、この裏切り者ぉ!


 少々心がやさぐれた気もするが、時間ももったいないので話を進める。



「んで、現時点で怪しいのが強盗の二つに詐欺師の三つ。

 これらに裏切り者がいるのか調査をお願いしたい。

 なお、詐欺師の三つについては明日話をしに行く予定。

 まぁ、尻尾だしてくれるかは分からないけどね」


「ふむ……もし何ならここ貸そうかい?

 そして、妾たちも参加するってのは?」



 ん? ……あぁ、そういうことか。



「仲介者として二人が参加するってこと?」


「そうじゃの。

 それなら不信感は持たれんだろうし、妾等の立場的にもおかしいことは無い。

 そっちは誰がでる?」


「カルとルーシーに任せるつもり。

 僕も行ってもいいんだけど……。

 全体で話し合うならともかく今回僕が参加しても怪しまれるだけかなって」


「あぁ、確かに表向きはギルドの若手トップって感じだしねぇ。

 それならティッキィを連れて行く方がらしい(●●●)ねぇ」



 そうなんだよねぇ。

 仕方ない事ではあるんだけど。



「ちなみに裏切り者であることが確定したらどうするんだい?」


「へ? 処刑一択でしょ?

 まぁ、情報を吐かせるという手間があるかもしれないけどね」



 むしろ、加減してあげる理由が一切思い付かないんだけど?



「あぁ、なんか勘違いしているようだけど、その考えならいいのさ。

 裏切り者に変な感情持たれたら面倒だからねぇ」


「そう言うことね。

 とはいえ一緒に仕事した仲でもあるまいし、特に何も感情は無いからねぇ」


「なら安心して処刑できるよ。

 後は裏切り者がどれだけいるかだねぇ。

 パン、キッチリ働いておくれ」



 なんか嫌そうな顔してるけど?

 何、婆さんにお願いされて嫌がるって……そこが離婚の原因?



「ニフェール、哀れなジジイをこき使おうとするババアがいるんじゃが……」


「あぁ、哀れな学園生を使おうとする侯爵もいることだし普通じゃないかな?」


「……そこは少しくらい可哀想に思うべきじゃないか?」



 何、憐れんで欲しいの?

 他の奴ならともかく、僕じゃ無駄だよ?



「僕自身の苦労と比べたら特に気にならないんじゃない?」


「だめだ、こいつ普通の感性どこかに置き忘れてやがる……」



 何それ、酷いな……カル、何頷いてるんだよ!

 ルーシー、笑い過ぎ!



「お互いやるべきことをやって、今年ある程度汚れ(●●)を落とそうよ。

 来年二月にも大掃除が行われるんだし。

 綺麗になったほうが気分いいでしょ?」


「大掃除と一緒にするなよ!」


「大して変わらないよ。

 長年触れなかったから汚れ(●●)がこびりついてるだけでしょ?

 今のうちに少しづつ落としていけば、多分来年末位にはかなり綺麗になるよ?」


「来年末……お前、北部を来年制圧するのか?」



 パン爺さんには簡単すぎたかな?

 大当たりだよ。



「そりゃあねぇ。

 僕がいるのに気づかなかったとはいえ、わざわざ宣言したんだ。

 こちらもそれに対応してあげなきゃ。

 まぁ、もしかするとあちらがビビって動かない可能性もあるけどね」


「既に今年の建国祭の時点でビビったりしてな。

 なんせ強盗ギルド再壊滅、北部に味方していたはずのギルドも壊滅予定。

 時を経るごとに味方が減っていく。

 いやぁ……キッツいぞ、これ♪」



 カル、めっちゃ楽しそうだな。

 先日のシロス殿やリシアシス殿を巻き込んだ時くらいに喜んでるし。



「まぁ、そうなるように努力はしたいね。

 で、方向性は決まったね。

 婆さん、詐欺師側との調整お願い。

 カル、ルーシー、婆さんやパン爺さんと調整してうまく進めといて」


「あぁ、こちらは任せときな。

 とはいえニフェール、あんたは何もしないのかい?」


「明日友人の相談に乗る予定なんだ。

 婚約者をどうにか実家に認めさせたいって言っててね。

 それを僕と友人の兄で一緒に対処考えるのと共に友人に説明ってところかな?」


「……変なところで仕事してるんだねぇ。

 婚約者に叱られたりしないのかい?」


「既に嫉妬に焼かれかけたよ?

 まぁ、この婚約者の話は知っているから納得してもらったけど。

 流石に男性に嫉妬はしてもらいたくないしね」



 流石に遊び惚けてラーミルさんほったらかしにしているわけじゃないからなぁ。

 そこは理解してもらえているだけありがたい。

 まぁ、それにおんぶにだっこして振られるのは嫌だけど。



「……まぁ、あまり婚約者を放置するんじゃないよ」



 チラッと視線を送る婆さん。

 送られた人物……パン爺さんは滅茶苦茶苦い顔をしておられる。


 あぁ、ルーシー。それとシフィル嬢。

 猟犬のような視線は止めなさい。



「とりあえず話は終わりだけど、特に追加の会話ってある?

 無ければ……ルーシー、シフィル嬢。

 後は好きにしなさい。

 ルーシーはここでの情報を後でナットやラーミルさんに伝えるのを許可します」


「「イエッサー!!」」



 二人とも婆さんに直撃して何があったか説明を求めている。

 ……あれ、婆さん、なんで驚いているの?



「驚いて当たり前だろぅ!

 シフィル、あんた仕事はどうしたんだい!」


「既に終わらせてあります!

 むしろ、この情報の詳細を克明に取り調べるという重要な仕事が発生しました!

 さぁピロヘース様!

 私どもに過去の経験と知識から愚かな男どもの尻を叩くための情報を!!」


「ピロヘース様!

 カルを確保するためにも放置された側の対処方法を!!」



 婆さん、タジタジだねぇ。

 まぁ、若さにごり押しされてくださいまし。



「ニフェール様、あれ、どうにかできないか?」


「無理!

 というか、カルの場合はさっさとルーシーに喰われれば終わりなんだけど?」



 いや、だから、何でもじもじしてるんだよ、お前は!



(ぼん)、煽るの好きじゃのぅ。

 あれ、そう簡単には止まらんぞぃ?」


「そりゃあ、【妖魔】の突発的な男女関係の授業だからねぇ。

 特にルーシーは止まるはずがないでしょ。

 ……というか、シフィル嬢は……もしかしてトレマ殿?」



 あ、トレマ殿顔真っ赤。



「まぁ、見りゃ分かるわな。

 その通りじゃよ。

 カル程ではないにせよ、やきもきさせているようじゃぞ?」


「まぁ、そこは僕の担当じゃないからねぇ。

 ただでさえカルという問題児がいるってのにそこまで手を出せません。

 というか、婆さんならあっさり後押ししそうなんだけど?」


「そう簡単に行かないから人生ってのは面白いんじゃないかね?」



 なんか知恵ありそうな発言してるけど、この話の根幹を覚えてる?

 多分、パン爺さんが婆さん放置したから別れたとかでしょ?



「なら、当然婆さんを放置プレイした際の対処方法位は言えますよね?」


「(プイッ)」



 ……対処策言えないくせして何賢者ぶってんの!



「この手のギルドにはヘタレしか集まらないのかなぁ?」


「多分違うと思うがな。

 そっちのカリムは順調なんじゃろ?」


「うん、あいつら位に順調に行ってくれれば僕の苦労は少し軽減できるんだけど?

 ちなみにティッキィも結構未来は良さげ。

 でも、どこぞの最強最悪のヘタレがいるからねぇ」



 分かってるな、カル?

 お前のことだぞ?



「まぁ、余程のきっかけが無い限りすぐに答えは出ないんじゃないかのぅ」


「だろうけど、僕も懸念点早く終わらせたいんだよね。

 早く安心させてほしいんだよなぁ」



 チラッと見ると顔真っ赤にしているカル。

 ……分かっちゃいたけど、すぐには無理そうだな。



 なお、ルーシーとシフィル嬢の暴走に婆さんがブチ切れるまであと一時間。

 ……よく我慢できたもんだ。


 その後、チアゼム家に戻りルーシーがラーミルさんとナットに拘束される。

 そこでの説明でまた一時間。

 帰ろうかと思ったけど、なぜか睨まれるので大人しく待ってました。

 カルもカリムも巻き込んでます。


 なお、ティッキィはヴィーナが参戦してない以上解放するしかなかった。

 こちらを憐みの目で見ていたので一緒に参加するか聞いたがあっさり振られた。


 結果、寮に戻る時には真夜中。

 ちょうど満月近かった月も中天超えていた。

 ……明日起きられるかな?

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