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18

◇◇◇◇


 その後、医務室に連れていかれた二人。

 三十分ほど調べられた結果、興奮剤と自制心を無くす薬を飲んでいた。

 もしくは飲まされていたことが判明。


 またあの時の発言内容からかなりの犯罪に関わっていたと判断された。


 薬物をどこで手に入れたのか等はこれから調べることとなる。

 だが、まずはこれ以上法廷を開く意味がないと陛下が決断。

 ジーピン家の言い分がすべて受け入れられることとなった。



 プロスの刑罰は無期での鉱山労働となっている。

 並行してスティット家に騎士たちが向かい、集積地点を攻略することが決定。

 その結果によっては死刑となる可能性も出てきた。


 証人となってくれたおっちゃんは法廷からそのままジャーヴィン侯爵領に。

 事前に引き渡された犯罪者たちと共にガレー船の動力として生きることになる。


 とはいえ、プロスの刑が無期鉱山が確定。

 もしかすると死刑にランクアップすると聞き男泣きしていた。



「部下だった奴らに伝えてやるんだ!

 あいつらと万歳三唱するぜ!!」



 そう言って牢に戻っていった。



 そして……




「……」

「……」




 いや、アムル、それとフィブリラ嬢。

 そろそろ会話しような?


 その甘酸っぱい空間作られてもその……困る。

 周囲の腐った汚嬢様方が天に召されかけてますぜ?




「カールラ姉様、あれ、どうにかならない?」

「ごめん、無理。

 あそこまでなるのは全く想像つかなかったんだもの!」



 まぁ、これを想像できる人ってそうそういないと思うけど。



「女性陣が召されかけているのは?」

「アッチも無理!

 私も召されかけているもの!!」



 あんたもかい!!!

 いや、推測は出来てたけど。


 ……って、ロッティ姉様は?




「……あ、ロッティ、ロッティ!

 ダメよ召されちゃ!」

「あぁ、お義姉様……あれがパライソなのですね」




 いや、そっち行っちゃダメでしょ!

 マーニ兄、助けてあげて!!


 そして、周りがこれだけドタバタしてるのに全く反応しない二人。

 お~い、戻ってこ~い!




 このカオスが収まるまで一時間程かかった。




 でも二人は戻ってこなかった。

 仕方ないので再びアムルの耳に熱い吐息を吹きかけ強制的に戻らせた。




 アムルの驚きの声で、ロッティ姉様がパライソから戻って来たのを追記しとく。




「え、ニフェール兄さま、もう着替えたのですか?

 化粧落としも?」

「アムルがフィブリラ嬢と見つめ合っている間に終わったよ」



 そこで顔を赤らめるな。

 喜ぶお姉さま方が多いんだから。



「この後、陛下を含め国王派で簡単に話し合いを行うそうだ。

 僕たちも呼ばれているが、基本アムルは挨拶くらいでいいと思う。

 ちなみにフィブリラ嬢も呼ばれているらしいぞ。

 だからサッサと着替えと化粧落としを進めなさい」

「はい!」




 さて、陛下に呼ばれた会議室に家族&婚約者組で向かう。

 そうすると大公閣下が自ら迎えに来てくださった――歯ぎしりしながら。



「待っていたよ、さあ、陛下たちがお待ちだ(ギリギリ)。

 入ってくれ(ギリギリ)」



 父親が暴走すると面倒だというのは十分分かっているつもりだ。

 かなり面倒な実体験もしたしね。


 でも自分の父親なら追いつめることができても他者の父親は……。

 どうしたらいいんですかねぇ、これ。



「さて、皆に集まってもらったのは派閥として今回の落とし前をどうつけるかだ」



 陛下のお言葉にジャーヴィン侯爵とチアゼム侯爵が発言する。



「まずスティット家は潰さなければなりません。

 誘拐の本拠地であり人身売買の拠点である以上、潰すことは必須。

 むしろ潰さぬことには他派閥から弱気と取られるでしょう。

 まぁ、あの場にいた以上潰すなとは言わんでしょうがね」


「それと、今回プロスとスティット家代表に薬を飲ませた者。

 そしてその裏にいる家を見つけなければなりません」



 確かにあんなに人格が壊れる薬は不味すぎるなぁ。

 元々あんなもんだという言い分もあるかもしれないけど。



「多分ニフェール達が着替えている一時間の間に飲まされたと思われます。

 その間にプロス、もしくは代表に接触したものを調べることになるでしょう」


「まさか容疑者は近衛の騎士、衛兵、侍女や侍従あたりか?

 外部からの侵入者とかは?」



 チアゼム侯爵の提案に大公様が聞いてくる。

 陛下や王妃様に同様の薬物を投与されないか懸念しているのだろう。



「その可能性もありますな。

 どちらにしてもこのままだと陛下に簡単に毒薬を投与できてしまいます。

 早急に調査を!」



 その後も各種指示を終えジャーヴィン侯爵とチアゼム侯爵は退出する。

 会議室に別種の緊張感が漂う。




 そう、「うちの娘になにやった!」という大公様のイラつき。

 これに僕たちが対応しなくてはならない。


 ……王妃様、ちゃんと僕たちを守ってくださいね?

 こちらは王妃様にキラーパス出すだけですから。



「さて、ジーピン家の皆、待たせてしまったねぇ」



 大公様、キモイ。

 粘着質な彼氏みたいな行動は止めた方がいいですよ?




「質問は一つだ。

 うちのフィブリラに何をした?」




 何って何もしてないよ。

 といっても信じないんだろうけど。


 アゼル兄に視線を送り、許可をもらったうえで僕の方で話し始めた。



「僕とアムルが女装するところを王妃様の伝手で見てらっしゃいました。

 その時点でアムルとフィブリラ嬢は互いに挨拶をしたと聞いております」



 流石にこの言葉だけでは文句は言わないか。



「挨拶以降、互いに無言で見つめ合い続けております。

 やむなくアムルを驚かせ正気に戻しました。

 ですが、それがなければ法廷の再開は遅れていたでしょうね」


「は?」

「王妃様もその場面にいたと聞いております。

 確認されたら如何でしょうか?」



 首が折れるんじゃないかと思う位の勢いでねじり、王妃様をみる大公様。

 王妃様からイイ笑顔を返され愕然とする大公様。


 ん~、なぜそこまで愕然とするのでしょう?



「大公様、なぜそこまで驚かれているのでしょうか?

 フィブリラ嬢とアムルが無言で見つめ合ったのは……。

 まぁ一目惚れの範疇内かと思うのです。

 大公様の行動は何と言うか、天が裂け地が割れるかのような事態が起こった?

 そうとしか見えず困惑しております」



 純粋に質問すると、王妃様からフォローが入る。



「元々フィブリラは男性に慣れていない。

 むしろ恐怖症の気もあるくらいだ。

 それがアムル君には挨拶して、周りが見えなくなるくらいに見つめ合う。

 そりゃあ天変地異が起こったかのような反応もするな」



 え? フィブリラ嬢を見ると、恥ずかし気に頷く。



「ちなみに驚きはそれだけじゃないのだよ?」



 え? まだあるんですか?



「ニフェール君。

 君はアムル君を驚かし正気に戻した後にフィブリラと会話したな?

 あれもアムル君ほどではないが驚かされたものだ」



「え、会話ですよ?」

「その程度でも恐怖を感じるのがフィブリラだ。

 ちなみに大公もあそこまで会話は続かない」



 嘘でしょ?

 そこまでなの?


 アムルを見ると、あぁこいつまた正気を失ってる。

 フィブリラ嬢をみても同じ。

 王妃様も少々呆れているようだ。



「その二人は放置しておけ。

 そんな訳で大公一家以外の男性に声を掛け、見つめ合い、それを繰り返す。

 こんなことは初めてなのだよ」


「……それで我らに何かご要望でも?」



 相手は王妃様。

 この国で女性で一番地位の高い方。

 本来何か言われても「かしこまりました」としか言えない。

 いや言うべきではないだろう。


 ただし、アムルに無茶な要望を出すようであれば……。




「止めな、ニフェール。

 アゼルとマーニも落ち着け」




 僕の怒りの気配を感じたのか、母上が止めに入った。

 というか、アゼル兄もマーニ兄も同じ判断してたんだ。



「王妃様、うちの子たちはアムルをとても大事にしている。

 下手な発言はしないで頂きたい」



 すげぇ、下手に出ている発言のはずなのにどう聞いても脅しにしか聞こえない。



「おやおや、下手な発言したらどうなるというんだい?」



 ちょ、王妃様!

 煽っちゃダメ!





「アタシも参加して暴れてやろう。

 国が亡ぶのを王妃として見届けるがいい」





 この言葉と同時に四兄弟の誰よりも濃密な覇気が王妃様を襲っているはず。

 はず、という単語を使ったのは周囲の面々にはうっすら感じるのみ。


 もしかして指向性持たせてる?

 そんなのアゼル兄でもできないよ。

 流石【邪神】様。




 権力の王妃様 VS 暴力の【邪神】様




 睨み合いのまま第一ラウンド開始するかと思った。

 だが、その前に双方引いたようだ。



「【岩砕】と争う程イカれているつもりは無い。

 アムル君にフィブリラとお友達になって欲しいだけだ」



 ……【岩砕】?

 初めて聞いたんですけど?


 アゼル兄、マーニ兄に視線を送ると、二人とも知らないようだ。

 まさか、学園でのあだ名?

 ……触れない方がよさそうだ。



「友達? それ自体は構わんが、アムルを王都に置いていくつもりは無いよ」

「あ……」




 あれ、王妃様、もしかしてアムルを大公様の家に住まわせるつもりだった?




「その……ダメか?」


「流石にそれはダメだ。

 こちらとしては定期的に王都とジーピン領を行き来して友達付き合いする。

 手紙とかのやり取りとかもアリだな。

 それ以上は親として認められん。

 まだ双方十歳なのを忘れるな」




 ガックリする王妃様。




 気持ちは分かるんですけどね。

 フィブリラ嬢が普通に男性に接点を持つチャンス。

 これを捨てるなんてとんでもない!


 ただ双方家族がいて、双方親兄弟が愛情を注いでいるんだよ?

 なら引き離すのは愚策だろうに。



「アムルは過去に婚約者の我儘で婚約解消している。

 当然、フィブリラ嬢が同じことをするとは思っていない。

 だが、息子のために安全策を取るのは当然だろう?」


「……確かセリン家だったか?

 確か、そこの女性が後妻じゃなかったか?」



 ラーミルさんを指して言う。

 よくご存じで。



「ああ、そして今はニフェールの婚約者だ」

「はぁ?!」



 そんな驚かないでくださいよ。



「色々あるんだよ、それ以上は気にするな。

 ジーピン家としては婚約者として認めているんだ。

 それ以上でもそれ以下でもない。

 それとも邪魔するのかい?

 うちの【狂犬】がアンタの喉笛を噛み切るよ?」



 母上が言ったと同時に殺気を王妃様に放つ。

 衛兵が制止しようとするが……。

 アゼル兄とマーニ兄が殺気含みの睨みつけを行い逆に動けなくなる。



 こちらの状況を見て、王妃様は両手をあげて降参のポーズをとる。



「何もしないさ。

 ジーピン家に手を出すなんて愚か者の所業をする気は無い」



 王妃様の発言を聞いて殺気を止める。

 兄さんたちも衛兵へ睨みつけるのを止めると衛兵たちの膝が嗤っている。

 むしろ倒れなかったのは評価してもいいんじゃない?



「最近アンジーナ元子爵とか愚か者が増えたんでね。

 たまには実力を理解させないと」

「あぁ、あの衛兵が暴走した件か」



 左頬の傷の件ですね。



「全く、お前たちを王都に置いておけばよかったものを、先々代共は……」


「それはそっちの問題だ。

 アタシたちには関係ない」


「そりゃそうだが、愚痴ぐらい言わせておくれ」



 王家も色々あったんですね。



「それはそうと、アムル君が学園生になるときに王宮に部屋をやろうか?

 それなら大公家との行き来もし易く――」

「――お断りします」



 母上が何か言う前に即断る。



「……なぜだい?」


「男爵子息如きが王宮に部屋を持つと聞いてどれだけの学生が嫉妬しますかね?

 そしてその嫉妬がどれだけ暴走しますかね?

 僕の左頬はたかだか侯爵子弟の側近の末席に入った。

 それだけで刺されているんですけど?」


「確かにアムルの頬に同じものができるのは避けたいね」



 母上からの援護もあり引くつもりになっているようだ。

 ついでに追い打ちしとくか。




「それに、学園入学までに今の暴走が止まりますかね?」




 ……皆黙ってしまった。



 感づいているのだろう。

「無理じゃね?」と思っているのだろう。



「まずは暴走が止まるように、オンとオフを自分の意志でできるように。

 そこまでできるようになってから次を考えるべきでは?」



「……夫人、ニフェールよこせ。

 吾の部下にしたい」



「断る、ジャーヴィン侯爵とチアゼム侯爵から本気で泣かれてしまう。

 ジャーヴィン侯爵三男の側近として王宮に入りそうだがそれ以上は止めておけ」


「確かフェーリオだったか。

 ジルが苦労しそうだから無理か……」



 フェーリオ、お前王妃様から信用されてないぞ?

 ジル嬢、苦労してるのみられてるぞ?



「仕方ない、これ以上は無理そうだ。

 大公、父親としての嫉妬以外に言いたいことはあるか?」

「嫉妬って……とりあえず今は無いですね」



「ならばこの場は終わりということで、陛下、よいか?」

「ああ、構わん」



 陛下、目立ちませんでしたね。

 ほぼうちの母上と王妃様の頂上決戦で終わっちゃいましたもんね。

 もしかしてうちの父親並の風景一体化能力でもお持ちで?



「あぁニフェール、二人を頼む」



 アムル、また、そしてまだ見つめ合っていたのかい。

 やむなく、アムルの耳たぶを甘噛みすると「ピャッ!」と悲鳴を上げる。

 全く、気持ちは分かるが一日で三度も繰り返すか?



「アムル、そしてフィブリラ嬢、邪魔して悪かったな。

 とはいえ、こちらの会議も終わったので割り込ませてもらった」

「あ、いえ、会議終わったのに気づかなくてごめんなさい」



 アムル、正直は美徳なんだが……。

 会議一切聞いてませんといっているのに気づいてるか?


 大人たちの表情を見てみろ?

 生暖かい視線と呆れの表情が「もう、離さない!」と絡みついているんだが?


 フィブリラ嬢もそこまで気が回っていないようだ。



「アムル、フィブリラ嬢とお友達になりたく――」

「なりたいです!」


「――ないか? って、先走らんでいいぞ?

 フィブリラ嬢、うちのアムルとお友達にな――」

「なります!!」


「――ってくれませんか?

 って、フィブリラ嬢まで真似しなくていい」



 ちょっと別の意味で精神的な疲れを感じつつ何とか続きを説明する。



「で、二人が友達になるのは大公様もうちも構わない。

 ただし、大きな懸念点がある。

 ふたりとも、すぐに二人の世界に入っちゃうだろ?」



 そこで一緒になって顔赤らめない!

 いや、二人とも可愛いけど。



「現在大公家、ジーピン家双方の悩みがそれだ。

『そんな状態で十四になって学園に入って大丈夫か?』

 そう思われている」

「あぁ……」



 そこまでは理解できているのか。



「ちなみに、簡単に解決できるとは誰も思っちゃいない。

 とはいえ二人がちゃんと治す気があるならいい。

 でもその気が無ければ二人が学園入るのをずらす。

 そんなことも検討しなくてはいけない」




「え゛、嫌です!」

「アムル君と学園生活送りたいです!」




 気持ちは理解できるけど、即答ですね。

 大公様、頭抱えない!



「今の問題点が理解できたならば僕が二人に願うのは一つ、自制しろ。

 暴走さえしなければお友達でいるのは問題ないんだからな?

 そこを気を付けるようにしてくれ」




「……難しいです」

「私も……」




「そのために定期的に会えるようにする。

 元々アムルはジーピン領で、フィブリラ嬢は王都で生活しているんだろ?

 基本、普段から会い続けることはできない。

 で、年に二回ほど、具体的には夏と冬に会えるようにしたらどうだ?」



 純粋な四つの瞳で見られてしまった……止めてくれ!


 僕はそんな純粋じゃないんだ!

 ラーミルさんとサカリ場を開きたいだけのエロガキなんだ!



「ニフェール君、それでうまくいくのかね?」

「いや、そんなの知りませんよ」




「はぁ?」




 いや、なぜ僕が正しい回答を知っていると思ったんですか、大公様?

 何とか事態を進ませるために右往左往しているというのに。



「現状このまま近づかせていたら食事もせずに二人見つめ合うような気がします。

 なので、自制を覚えろと言ってるにすぎません。

 次回二人が会うときにどうなっているのかで次を考えればよろしいのでは?

 急いてもことを仕損じるだけだと思いますよ?」

「むぅ……」



 大公様から不安な発言が出てきている。

 だが、こんな事態に完璧な対処を求めないで欲しい。

 僕がそういう対処の第一人者なわけじゃないんだから。



◇◇◇◇


「プロス、そしてスティット家代表はどうなった?」


「どちらも精神が壊れた様ですね。

 下手にこちらの情報を流されるよりはむしろ壊れて欲しかったので。

 まぁ及第点でしょう」



「そうか。とはいえジーピン家……国王派か。

 邪魔してくれたのぅ」

「対処されますか?」



 私からの処分提案に対して即座に応えてくる当主様。



「いや、ジーピン家なんて小粒なところに直接何かやってもなぁ。

 大して金にならんし時間の無駄だ。

 やるなら国王派でも上の方だ」

「さようですか」



 私は当主様の回答に特に感情を見せぬよう受け流す。



「最近衛兵を管理していた家を潰すとか引き締めを行っているようだ。

 だが、あれ以外にもろくでなし共がいるのではないか?」

「確かあと二人程学園にいたはずです」


「そいつらを使って混乱を起こせとストマに伝えよ。

 王都の有象無象を使っても良いから大きめの騒ぎを起こせとな。

 薬を使っても構わんと言っとけ」


「かしこまりました」




 私は当主様より受けた指示をストマ様に伝えるべく執務室に戻る。


 全く、脳みそにクルミでも入っているんじゃないのか、あの当主は。

 力だけ強くなった赤子の遊び。


 周りには迷惑を振りまいて最終的な益は微々たるもの。

 状況によっては多大な損を被る。

 月のない夜のようで、先が見えない。



 ただでさえこの薬は国内で所持製造は罪であるのに当たり前のように作り使う。


 いつまでもバレないと思っているのかもしれないが、それは無いだろう。

 既に貴族派全体が信用されてない。


 王家でも我らを捕まえるために網を張っている可能性がある。

 今回薬を使った以上、投与した者を探すだろう。


 処することになるだろうが……仕方あるまい。



 我らにとって唯一の光はストマ様がこの事態を理解していること。

 そして対処するために動いていること。


 とはいえ、経験値が絶対的に足らない。

 色々試しているようだが想定外だったり期待と違ったりと困惑しているようだ。


 とはいえ腐ってはいない。

 貴族たる立ち位置を認識しているだけでも当主の何倍もマシだ。


 あぁ、ストマ様。

 どうかディーマス家を腐臭のする犯罪者一家から貴族たるにふさわしい家に。


 その為ならば我らは汚泥にでも塗れましょう。


 三章「婚約」、これにて終了となります。

 

 なんでかここまで長い話になってしまいました。

 予定では領地に戻ってキャッキャウフフな生活して王都に戻って三章終わりだったんです。

 大体七話あたりまででしょうか。

 

 それがなぜか誘拐犯が出てきたりそのまま裁判ネタ(二度目)になったり【傾国】なんてあだ名がつくようになったりしてしまったんです。


 こんな作品作ったのは誰だぁ!!(作者です)

 

 

 

 さて、この後四章書き始めますが一切準備できていない為、ある程度毎日投稿できるようになるまで書き溜めてから投稿しようと考えております。

 ですが、どこまでいけるか自分でも進捗が読めません。

 

 なので、準備が整うまで毎週日曜に活動報告に進捗を出します。

 その時点である程度の区切りが付いたら次の日(月曜)から毎日更新。

 無理そうであれば次の日曜に再度活動報告。

 

 一応想定(という名の妄想)では4/15位から毎日投稿に移れるかな?と考えています。

 

 なお、四章の章名は決まってませんが「学び」「学業」「学園風景」辺りかなぁ。

 少し時を戻し、婚約直後(三章の五話あたり)の学園内から開始予定。

 まぁ学園内だけで終わるはずがないのですが。

 

 では、三章までご覧いただきありがとうございました。

 四章をお楽しみに。

 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] なんでこの国滅ぼさないの?
[良い点] 徐々に黒幕の動きが露わになってきました♪ [気になる点] ジーピン家とは一体??? [一言] 投稿感謝です^^ ニフェールが夢見るキャッキャウフフライフは、きっと遠い…… 読者のウキウ…
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