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【連載版】狂犬の……  作者: いずみあおば
10:東奔西走
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39

◇◇◇◇


 あの「不動の構え」のお陰でクラスメート全員、剣を振る訓練に移行できた。

 強盗ギルドの件は待ち状態。

 ダンスの件は継続訓練中。

 手紙の件は王宮側に報告済み、内容は事前に知ったことと同じなので保留。

 修道院襲撃はまだ作戦検討中。

 


 あぁ、北部に向かった商業ギルドの方が戻ってきました。

 暗殺者と強盗以外のギルドは頭が地面にめり込むレベルで謝罪してたそうです。

 ですが、本来の二ギルドが微妙にふてくされているとのこと。

 とはいえ、向こうで北部以外の仕事禁止を言い渡したそうです。

 筋を通すパターンも含めてらしいので、彼らはこれ以上手を出せないでしょう。

 ちゃんと守ればですけどね。



 それ故、一番残っている面倒事。




 ホルター!

 早くセリナ様への返信書けや!!




「いや、ちょっと待ってくれ!

 うまく書けないんだ!!」



 放課後、周囲に誰もいない教室でホルターが情けないことを言いだす。



「うまい文章なんか誰も期待してねえよ!

 そんなことより、相手の事を思っていることが分かる文章を書けばいいだけだ!

 それと、お前のせいで他の方々の返信が送れないんだよ!!」



 ロッティ姉様、ラーミルさん、そしてティッキィまで返信完成してます。


 一人だけ別に返すのは修道院側に怪しまれる不安があるので、纏めて送りたい。

 だが、ホルターが……。



「なぁ、ホルター。

 手紙貰ってそろそろ一週間経つぞ?

 流石に返信しないとセリナ様だって不安になるだろうに……」


「いや、分かるんだけど……お前ならなんて返す?」


「知るかっ!

 お前宛ての文章読んで無いのに返せるわけないだろ!!

 ……おい、まさか僕に読んで欲しいのか?」



 音読してやっても構わんぞ?



「いや、それは無い!」


「なら急げ。

 それと、それが終わったらペスメー殿交えて三人で話し合いだ。

 建国祭の時期にお前のご両親にセリナ様のこと話すんだからな?

 やること積みあがってるぞ?」


「あぁ、そっちもあったな。

 兄貴には会って色々話したよ。

 セリナ様とのことも受け入れてくれた。

 両親との話し合いについてもフォローしてもらえる予定だ」



 ……まぁ、そりゃあ受け入れるだろうよ。

 とはいえ、フォロー要員が頑張ってもお前が頑張らないと意味無いんだぞ?

 そこちゃんと覚悟決めとけよ?



「それなら早く話し合いできるように返信書け。

 あんまりのんびりしていると冬季試験が待ってるぞ?」


「止めてくれ! 思い出さないようにしてたのに!!」



 記憶から抹消してどうする!



「一応確認だが、ちゃんと音読してるんだよな?」


「あぁ、やってるぞ。

 読み飛ばしは減ってきた気がするな。

 まぁ、どこまで点数に影響出るかは分からんけどな」


「そりゃそうだ、やってみなけりゃわからんよ。

 でも読み飛ばしが減ったならくだらないミスは減るんじゃね?」



 結果的に全体の底上げになればいいんだよ。

 まずは確実にミス減らせ?



「とりあえず明日には手紙寄越せ。

 そしたらラーミルさんの方で纏めて送る。

 んじゃ、僕は図書室行くから」


「なんだ、勉強か?」


「そりゃ冬季試験近いもの。

 僕だってのんびりしてられないからね」



 対数はとりあえず終わらせた。

 なんとかフェーリオ達に追いつけるよう微分の理解に入っている。

 けどなぁ……やはり難しい。

 まぁ、対数のような文章が理解できないシロモノじゃないけどね。



 そのまま別れて図書館で勉強。

 試験勉強の為か、同じように学ぶ人が少し増えてきた。

 ……数名、滅茶苦茶必死そうだけど、もしかして三年か?

 目が血走ってるけど、もしかして来年も三年になりそうなのかな?


 あまり刺激しないように気を付けつつ日が落ちるまで勉強し続けた。



 夕食を食べ、寮の自室に戻り勉強を続ける。

 そうすると、冬の時期に合わない鳥の鳴き声が聞こえて来た。


 え、何だ?

 急ぎのネタってあったっけ?



 急ぎ双剣を装備し音の方向に向かうとカリムが待っていた。



「どうした?」


「パン様が強盗ギルド襲撃の件で話があるそうです。

 今から娼館ギルドの方へお越し願えますか?」


「そりゃ構わないけど、一応ニフィで行った方がいいか?」


「新しい強盗ギルドの長に据える人物も連れて来たと書いてありました。

 なので、化粧は必要かと。

 なお、ラーミル様に準備はお願いしてあります」



 おっ、気が利くねぇ。



 二人して急ぎチアゼム家に向かい、化粧後皆で娼館ギルドへ。

 いつも通り黒服たちに挨拶して婆さんの執務室に。



「急な手紙に反応してくれてすまないね」



 僕は今ニフィの立場なので、カルが婆さんと話し合う。



「気にすんな、で、新しい長ってのは?」


「この子だよ」



 そう言ってパン爺さんの隣にいる男性を紹介された。

 大体……アゼル兄よりちょっと年上って感じかな?



「初めまして……だな。

 おれはスケッツオ、パンの爺さんに次期強盗ギルドの長となれと言われている」


「あぁ、カルだ。

 知ってるかもしれないが暗殺者ギルドの長をしている。

 で、ジジイ、こいつにどこまで話した?」


「暗殺者ギルドが手を貸してくれるからオブス消してまともなギルドに戻せとな。

 あまり深くは説明しておらん」



 おいおい……。

 カルも呆れた顔をしている。



「怯えられても困るし、まずはやるべきことさえ分かっているのならそれでいい。

 詳細はこいつが長になった後教えても構わんだろう。

 あまりのんびりしてもギルドにとって問題でしかないからな」


「いや、覚悟持たせるのが大変だというのは分からなくもねぇ。

 だが、あまりにもヘタレた奴を置いておくと後々面倒にしかならんぞ?」


「分かっておるよ。

 だが、あまりにも時間が無いのだ。

 先ほど言ったが、ゆっくりしているとオブスの勢力が大きくなりすぎる。

 そして、その場合壊滅させたら何が残る?

 元々オブスを嫌っていた三ギルドの面々以外いなくなるが?」



 あ……そういうこと?

 まだこいつのグループが残っているから強盗ギルドの維持が可能。

 こいつらがオブスに着いたらその時点で……ってことか。


 とりあえず上に立たせて、少しずつ現実を突きつけていくってことですね。

 時間に余裕があれば現実を事前に見せておくという手もあるけど……。

 多分間に合わないんでしょうね。


 婆さんに手を上げ発言の許可を貰い、パン爺さんに方向性の認識合わせを行う。

 ついでに責任の所在もかな?



「パン殿、こちらのスケッツオ殿がちゃんと強盗ギルドの長を今後演じきること。

 それはそちらの責任で行っていただけるのですよね?」


「演じきるって……まぁ、そうじゃな。

 そこはこちらの範疇じゃよ」


「オブスたちを消すのに協力は出来ますね?」


「三ギルド、そしてスケッツオたちも含めてそちらの指示に従う。

 裏切りはせんよ」



 まぁ、パン爺さんが裏切るとは一切思ってませんけどね。

 スケッツオとやらのコントロールはそっちでお願いしますね?



「カル様、とりあえずは良いのではないでしょうか?

 強盗ギルドが新しくなってどうなるか。

 スケッツオ殿がオブスたちのようになるかはパン殿にお任せということで」


「あ~、そういうことか。

 もしスケッツオがオブス化したらジジイから連絡入るんだろう。

 その時に仕事として受ければいいってことか」


「ええ、そこの責任範疇はパン殿もご理解いただけているようですし。

 暗殺者ギルドとしては特に予定は変わりません。

 なら、普通に受けてよいのではないかと」



 パン爺さんが恐ろしいものを見たような表情をしているが……なじぇ?

 まぁ、いっか。


 そう考えているとルーシーが質問してきた。



「ニフィ、今の話だけじゃ流石に受け入れられない点があるわ。

 報酬はどうするの?

 王都内ギルドの粛清だから必要なことというのは分かるわ?

 でもただ働きはギルドの財政を背負う者として許可できません」



 ルーシー、言いたいことは分かる。

 でもお前、僕の回答分かってんだろ?

 表情もっと隠せよ。

 婆さんも呆れた表情してお前を見ているぞ?


 あ、もしかしてスケッツオに聞かせるために言ってるのかな?

 それならいいんだけど。



「後日、詐欺師ギルドの御三方を呼んでオブス配下の者達を消すこと説明します。

 確か彼らは十倍でも払うから暗殺をしてくれと騒いでましたからね。

 そこからむしり取ればよろしい」



 ルーシー、その「よくできました」って反応は……。



「……一応言っておきますけど、流石に十倍は無しですからね?

 確かに金は欲しいですけど、本気で十倍むしり取ったら後々何か言われそう。

 今後も仲良くすべきだと思うから、適度に抑えた方が良くないです?

 多くて三倍程度とか?」


「まぁ、それは理解できるわ。

 こちらも詐欺師ギルドとギスギスしたくないもの。

 二倍から三倍程度で調整しましょう」



 金額的も合格のようですね。


 スケッツオとうちのカリム&ナットが引いてるけど……ま、いっか。

 というかカル、なんだよその「ルーシー、怖え……」って。

 小声で言ったつもりみたいだが、当人にばっちり聞こえているぞ?

 そっちは顔見えてないようだけど、頬がヒクついてるぞ?


 そこのジジババ!

 こっそり笑うな!



「あ、それとパン殿、今の強盗ギルドの場所と間取りをお教えください。

 策を練るにも情報無いと無理です」


「あぁ、それは数日中に渡そう。

 少し待っててくれ、この場を作るのを優先したからまだできてない」


「んじゃジジイ、それできたらこっちによこせ。

 では、オブスたちを消すタイミングは改めて伝える。

 こちらも準備が必要だからな。

 ジジイ、あんたが窓口でいいか?」


「あぁ、それでいい」


「ババア、タイミングは後で伝えるが、詐欺師ギルドの三人と会えるように。

 そこで報酬を確保したい」


「まぁ、そうだねぇ……。

 あいつらからしたらダメンシャの弔い合戦だ。

 多分ノッてくるだろうね」



 これでノッてこないと財政的にきついんですけどね。

 暴動の時に金銭的にただ働きしちゃったからなぁ。

 いや、後で僕の爵位という形で返すつもりなんだろうけどさ。



「んじゃ、うちらは作戦を練るかね。

 ある程度まとまったらジジイとババアに連絡する。

 

 そこでスケジュールを決めて後は実行だな」


「あぁ、後はそっちに任せるよ」



 その後チアゼム家に戻りラーミルさん含めて話し合い。

 とはいえ大した話はなく、明日マーニ兄に第二部隊の予定聞いてみる位か?

 まぁ、ラーミルさんとイチャつきたかったので満足なんですが。


 化粧を落とし寮に戻る。

 流石にもう今日は勉強は無理だな。

 このまま寝るか。




 そして次の日。

 ホルターが手紙を渡してきた。

 ……目真っ赤だぞ?



「もしかして徹夜か?」


「かなり近い。

 書き終わったのは日が昇る直前くらいだった。

 流石に今寝たらこの時間に起きれないのは確定だからな」


「……今日、実技系授業無かったよな?」


「確か、そうだったはず」



 なら大丈夫か?

 居眠りしても見なかったことにしてやるよ。



「放課後に渡してくるから。 後は任せろ」


「あぁ、後は任せた……」



 そう言い残してホルターは旅立った……眠りの国に。


 まぁ、教師にボコられてくれ。

 そこは僕は何も言わんから。



 そして昼休み。



「あら、今日も来られますの?」


「そんな寂しいこと言わないでくださいよ。

 婚約者に逢いに行きたいだけなんですから。

 まぁ、手紙渡したら王宮に急ぎますけど」


「酷いですわねぇ、ほんの少し餌あげたら後は放置ですか……」


「失礼極まりないですねぇ。

 王都、そして国のために苦労している人物を揶揄(からか)って何が楽しいんでしょう?」



 ジル嬢と他愛もない話をしていると、フェーリオが泣きついてきた。



「……なぁ、二人とも。

 もう少しギスギスした雰囲気を抑えてくれないか?」


「あら、婚約者の想いを理解してくださらないとは……」


「あぁ、寄り子の苦労を理解してくださらないとは……」


「お前ら絶対仲良いだろ?!」



 フェーリオ、そんな羨ましそうに見るなよ。

 そんな仲間に入りたいのか?

 胃薬必要になっちゃうぞ?



「取りあえず、ジャーヴィン侯爵とマーニ兄に表に出せない話をしに行きます。

 そこでちょっと王都のゴミ片付ける話をしてきます。

 そこで騎士たちをどう配置するかするくらいですねぇ」


「第二部隊だけで十分なんですか?」


「周辺の制圧だけなので。

 内部制圧は僕の方で行います。

 まぁ、暴動の時より楽ですよ、あの時と違って手伝いもちゃんといますし」



 暴動の時には人手が足りなかったからねぇ。

 というか、人手がいてもサボってやがるし……まぁ、消したけど。



「とはいえ、味方同士の顔合わせは出来ないんですけどね。

 流石にそればらすのは不味すぎますし」


「あぁ……」



 うちの面々、立場的に犯罪者側ですから。

 まぁ、勘づいている方も居られるでしょうけどね。



 その後、午後の授業を経て放課後。

 急ぎチアゼム家に向かい、ホルターの手紙をラーミルさんに手渡す。



「……もしかして、ホルター様って手紙書くの苦手なのでしょうか?」


「そうかもしれません。

 ご両親にセリナ様のこと報告するのでもかなり苦労してましたから。

 多分今後もこのくらいかかる前提でいた方がよろしいかと」


「まぁ、そこは仕方ないですね。

 これらは急ぎ送っておきますわ」



 そして急ぎ王宮へ。

 



【元強盗ギルド】

・スケッツオ:元強盗ギルド、パンから長要員として選ばれた。

 → 統合失調症から

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