表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王様と勇者くん  作者: 鈴澄泪
6/19

全知全能の神

「参ったな」

夢から目覚めて最初に呟いた一言

夢の中で神々しい光を放つ白い布1枚の変質者が其処にいた・・・。

「警察は・・・」

「ちょいちょいちょいー!待った待った!お兄さん!見てわかんない私が何者か!」

「変質者?」

金髪ロン毛にヒゲ、しかも布1枚纏っただけで上から降りてきた時に見たくも無い物も見せ付けられた。

街で夜出会って居れば間違いなく変質者その者である。

「残念!あーそうか教会とか行ってないから知らないか~!そう私は世界の創造主にして」

「変質者!」

「違う!話は最後まで聞くと先生から習いませんでしたか?授業中は私語厳禁とか!」

何だろう、超面倒臭い人が夢に出てきた・・・

とりあえず、黙って変質者の話を聞くことにした。

「私は神ゼウス!全知全能の神!君は・・・勇治・・・そう勇ちゃんね!君は中々腕っぷしがあるね!うんうん、とりあえず何だけど明日、王さまに謁見しておいで、それであとはまあ流れに任せて、みたいな感じでよろしく」

勝手に何を言い出すのやら

挙手してみる。

「はい!勇ちゃん!」

「もし行かなかったらどうなります?」

夢なのだからまあ、そんなに酷いことはされないだろう

「うーん、寿命を減らそうかな?十分の一に」

馬鹿か!コイツ馬鹿か!

「いや、明日はちょっと予定が詰まってましてもう朝から晩までケツカッチンなんですよ~!」

嘘である、夢で見たから謁見させて下さいとか言ったらたちまち牢屋にぶちこまれかねない!


「その点は大丈夫!予定は全部キャンセルしといたから~♪まあ、全知全能だし~それくらい余裕みた 」

全力のグーパンチをゼウスの頬に叩き込んだ!

あ!綺麗に入った!

勢い良くゼウスは吹っ飛ぶ

「ちょいちょいちょいー!あんた何全力のグーパンチで神様ぶん殴ってるの!?」

「いや、これは夢なのかなぁーって」

「かなぁーって!じゃ、無いわよ!こうゆう時って普通自分の頬っぺたつねりなさいよ!本当に親の顔が見てみたいは!!」

殴った感触はリアルだった、どうやら単なる夢では無いらしい。

「手を出しなさい」

素直に手を出したくない・・・

「早くなさい!」

怖いよこの人、少しお姉入ってるし・・・

渋々手を出す。

ゼウスは僕に1枚の金貨を見せる。

「アフロディーテのレリーフの金貨だ、朝起きたら手の中を覗いてみると良いこの金貨が御告げの証だ」

そう言い残して上へとゼウスは上がって行く

「必ずや王さまに会うのだぞ!」

上から声掛けんな!また汚ねぇもん見ちまうだろうが!!


そうして、朝

目が覚めると

・・・残念なことに金貨を握りしめていた


さて、気が進まないが寿命を人質というか、命質に取られては仕方ない、城の前まで行ってみる。

何時見てもデカイ、そして立派

こんな所に来て良い訳がない、だが、そんなことも言ってられない何せこっちは命が掛かっている。

衛兵に王様に謁見を申し込みたいと伝えた。

紹介状か何かお持ちですか?と聞かれる。

ですよね!

大変言い難いのですがと前置きし、夢の御告げのことを伝える。

流石に衛兵もキレ始める。

あの変質者覚えてろよ!と半ば自棄を起こし掛けた時

「何事ですか?」と綺麗な服を着た偉い人とおぼしき方が声を掛けてきた。

事情を説明して謁見をお願いすると笑いながら

「分かりました一応確認してみましょう、詰所でお待ちなさい」と言って中に消えた。

程なくするとさっきの偉い人が帰ってきた。

やることはやったし、これで帰れる、寿命は下準備の悪い変質者の責任で僕は悪くないから無かったことして貰おう。

どうも、お騒がせしましたと帰ろうとすると

「王は貴方に御会いになるそうです、謁見の間までご案内しますどうぞこちらへ」

とすんなり通されてしまった。

どうしようどうしよう!

王さまと謁見とかどうしよう!

なに話すの?もう嫌な予感しかしない

謁見の間に通され待つ様に言われる。


王さまは現れた。

姿を勝手に見るわけにもいかず黙って言葉を待つ


「面をあげよ」

良く通る声でそれでいてなんて威厳のある声だ。

王さまの顔をこんなに近くで見るのは初めてだ

あー、緊張する。

王さまが口を開いた。

「何ゆえ謁見を望んだ?」

あんな恥ずかしい話をしないといけないのか?

「御告げありまして、勇ちゃんは結構腕っぷし有るんだし王さまをちょっと手伝ってあげてよと神様が夢で言うので」

途中途中無駄な箇所は飛ばして要約して御告げの説明して、金貨のことは伏せておいた。

が、こうゆう場所で話なれないので変な言葉使いになってしまった。

あれ?

何か物凄く堪えてません?

スッごっく顔引き吊ってますけど?

「では、お主は勇者なのか!?」

え?なんでそうなるの?ただ、会えと言われただけですよ!

ここでちゃんと否定しないと不味いことになる。

「いや、勇者ではないですが勇治といいます、みんな勇ちゃんとか勇くんとかで呼んでます」

答えた途端、露骨に困った顔してるよこの王さま!

いやいやいや、無理だから!絶対に勇者とか無理だから!

「おお、では勇者よ!聞いて欲しい」

スルースキルキターーー!!

大事だよ!勇者じゃないってところは凄く大事だよ!

なし崩しとかで決めて良い案件では断じてないよー!

「御待ちください!私は勇者ではなくて勇治です」

うわー、また露骨に物凄く嫌そうな顔しやがった!!

人差し指2本立てて

そうDA・YO・NE~!

とか、言ってそうなくらいの腹立つ表情しやがって!

「そうか、済まない勇治こと勇くんだったな、最近歳のせいか物忘れ酷くて申し訳ない」

はぁ、やっと諦めたか

まあ、王さまも大分歳でも有るし、勇者~!とか賢者~!とか

そんな存在に甘えたくはなるか、出来心出来心

「改めて言おう、勇者くん!そちに」

「御待ちください王さま!何か真ん中に一文字増えた様に聴こえましたが?」


沈黙が流れる・・・


王さま全然懲りてねぇー!コイツ全然懲りてねぇー!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ